遊戯(episode310)
アケミさんも再登場。
タコの下処理はともかくとして、胡蝶さんのところに魔力水を補充して別れました。いや、別に話すことなかったし。あ、なんかお礼した方が良かったのかな?
とりあえず未涼さんに今日の顛末は報告しとかなきゃ。あ、あと久しぶりに源三パパに会いに行きますか。
「ただいま」
「おかえりなさい、CEO。こちらを」
未涼さんになんか一枚の紙を渡された。なんか通告書? みたいなのが書いてあった。なんだよ、これ? えーと、なになに?
「貴様は我々古森沢覇権派を敵に回した! 必ず報復するから覚えておくがいい!」
……なにこれ?
「見ての通りの宣戦布告文書ね。あなたどこで何をやってきたの?」
「まあまあ落ち着いて。順を追って説明するから」
ということで会議室に戻って保乃さんも交えてかくかくしかじか。未涼さんは分かりやすく頭を抱えた。
「つまり、古森沢の覇権派と本家である穏健派との争いに巻き込まれた上にどちらからも敵視されている、という訳ね」
「という訳なんですよ。いやあ、参った参った」
「笑ってる場合か! ああ、もう、これは色んなものの調達に苦労しそうね」
「どういう事なの?」
「会社の備品とかそういうのは通販で買ってるんだけど、古森沢の系列なのよね」
あー、なるほど。いざとなったら供給を止められるのね。まあ無くなって困るようなものではないし、不便ならその辺のスーパーとかで買ってくれば。
「その辺のスーパーとかも古森沢よ」
「マジかー」
ということは下手したら日常生活すら送れないって事? それはまずいなあ。
「あ、それはそうと源三パパのところに行くんだけど二人も行く?」
「オーナーに? そういえばしばらく会ってないですし、お礼とか言いたいかも」
「あ、私も。あと凪沙お姉様にも会いたいです」
まあ凪沙が居るのかは分からないけど行くだけ行ってみますか。
源三パパのパチンコ屋はいつもそこにある。どうしようもない客層だけどみんな元気そうだ。
珍しく夜も遅いのにアケミさんがパチンコ打ってた。なんかイライラしてる?
とりあえず声掛けますか。
「アケミさん」
「何よ! 今出ないんだからちょっと待なさ……あっ、ティアちゃん!?」
「お久しぶりです」
「うわぁーん、ティアちゃん、ちょっと聞いてよ、私、仕事クビになっちゃったの!」
なんか聞き捨てならない事を言われた気がする。ちょっと落ち着こう。とりあえず源三パパに会いに来たんだ。でもアケミさんを放ってはおけない。
詳しく話を聞いてみたらなんでも店に査察が入って脱税がどうとかで系列店舗含めて全部潰れたらしい。オマケにお金がなくなったからと「旦那」がアケミさんのお金を盗んで夜逃げしたんだとか。
「ならここでパチンコ打ってちゃダメじゃないですか」
「いやでもなんか一人になりたくなくてね。ここなら誰かいるかなって」
それで財布に入ってるなけなしのお金でパチンコに来たみたい。出たら出た分だけここにいれる、一人にならないですむ、みたいに考えて延々と閉店まで打つつもりだったらしい。
「そしたらティアちゃんがいて、もう感動しちゃってさあ!」
「わかりました。わかりましたから。それなら例のメイド喫茶に雇ってもらったらどうですか?」
「いやあ、あの格好はさすがに抵抗があるというか」
「言ってる場合ですか!」
というか、アケミさん、普段からスケスケの衣装着てるのにメイド服は恥ずかしいのか? 半分裸の格好の方が恥ずかしいと思うんだけど。
「えーと、アケミさん。もし、メイド喫茶が嫌ならうちに来てください。スタッフは随時募集してますので。良いよね、未涼さん、保乃さん」
「まあCEOがいいなら。それにアケミさんなら気心も知れてますし」
「アケミ姉さんなら私も歓迎ですよ。一緒に頑張りましょ」
どうやら未涼さんも保乃さんも賛成らしい。なんかその場でアケミさんが泣き出してしまった。
「あの、店内のでの騒ぎは困りますので」
「あ、凪沙」
「ダメよ。今は仕事中なんだから。お客様方、パチンコでお遊びでないのでしたら速やかにご退店をお願いし……」
「凪沙お姉様! お久しぶりです!」
「わっ、ちょっと保乃ちゃん!? 待って待って!」
凪沙が注意を言い終わらないうちに保乃さんが凪沙に飛びついた。あー、まあ、なんというか。感動の再会だね!
「あの、源三パパに会いに来たんだけど」
「オーナーなら今来客中よ。なんでもお兄さんとか?」
「リュージさん?」
「やだ、お義父さんなら私がわかるわよ」
この娘、既にリュージさんまで「義父」呼びらしい。しかしリュージさんじゃないとしたら……あっ、なんかいたヤツ!
私は駆け出して……アケミさんの方は二人に任せたよ! ついでに凪沙にも。私は事務所に飛び込んだ。そこにはあの本家であったメガネくん、一太とかいう奴がいた。
「また貴様か」
「また、とはご挨拶ですね。こちらこそまたお会い出来るとは思いませんでした」
「ふん、古森沢に立ち塞がるなら叩き潰すのみ」
私とメガネくんの会話が喧嘩腰なのがわかったのか、源三パパが割って入ってきた。
「イチ兄。とにかくその条件は呑めない。帰ってくれ」
「呑めるか呑めないかなどではない。呑むしか選択肢はないのだ。そうでなければこの店ごと潰すまで」
「イチ兄!」
「ふん、本家に楯突いた事を悔やむがいい。今までは見逃してやってただけだということもな!」
そう言ってメガネ野郎は帰ろうとしたので足元によく滑るようにツルツルの氷を置いてやった。すると革靴はよく滑るらしくすてーんと転んじまったよ。
「くっ、なんだこの床は。何かとんでもない滑りやすさだぞ。安全配慮が出来てないのか、この店は!」
立ち上がろうとしたのでまたすてーん。踏ん張ろうとした足元に再び氷。もちろんすぐ消した。今度は顔面から突っ込んだ。
「ぐおおおおおお、メガネが、クソ、損害賠償を請求してやるからな!」
メガネのフレームが折れながらも再びメガネをかけて立ち上がり去っていった。何があったのかを源三パパに聞かなくちゃね!




