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第三百六話 再港

よく考えると「アンヌ」と「アンナ」(宿屋長女)、それから「オリヴィア(赤薔薇)」と「オリビエ(宿屋の女主人)」って名前似てるね! ……私のバカ。

 まずはこの世界で育てられる果樹を仕入れて来るところから始めよう。まずはアンダーゲートかなあ。とりあえずパンドーロちゃんを連れて行こうか。えっ、アディも行くの? 何しに? デートに行くんじゃないんだが?


「ちっ、違うよ! 村で育てる果物って奴がどんなものか知りたいんだよ!」


 まあ村人さんたちの口に入るものでもあるし、ゴンドザの街で売ってるものと被らない方がいいもんね。それじゃあまずはゴンドザの街かな。なるべく重なんないように仕入れなきゃ。


 二人を連れてゴンドザまで転移テレポート。別に秘密にするつもりは無いし、時短だよ時短。


「すっげー。ここがゴンドザかあ」


 あー、アディはまだ来たこと無かったのか。ん?それだとアディ連れて来た意味無いよね? いやまあ連れて来ちゃったもんはもう仕方ないか。


「欲しいものがあっても買わないよ?」

「わかってるよ」

「ダメですか?」

「あー、パンドーロちゃんは理由によるかな。お土産はどの道買わないとだし」


 私はパンドーロちゃん、いや、子どもたちには甘いのだ。えっ、アディ? クソガキには甘くないよ!


 とりあえず市場を見て回る。うん、小麦とかの穀物ばっかりだね。たまに木の実があるかなってくらいだ。


「果物って無いの?」

「甘い果実とか? うーん、あっても買わないんじゃないかな?」

「うん、それならその分小麦買ったり、塩買ったりするもの」


 あーなるほど。食べることは生きることなのか。食べることイコール娯楽には繋がらないから必要なければ食べない。


「野菜とかは?」

「食べたくないけど食べないと病気になるって」

「前にお野菜嫌いな子が倒れちゃった事があるから食べてる」


 二人ともになんとなくだが栄養に関しての知識はあるみたいだ。ならば果物だって栄養になるということを教えればいいんだよ。レモン一個に含まれるビタミンCはレモン五個分だぜ! ちょっと何言ってるか分からない。


 私は市場に置いてある実をひとつとり、お金を払う。嗜好品らしく割といい値段だ。いやまあお金の使い道ないし、これくらいは平気だけどね。とう、鑑定サイコメトリ


【プラメルの実:青い実は未熟で食べると腹痛を起こす。黄色い実は完熟したもの。酸味が多く甘みはそこまでない】


 ……罰ゲームかな? い、いや、でもこれも売られてるということは需要があるということ。だよね、店員さん?


「いやあ、長くやってて見つけたら並べるようにしてるが買ってくれたのはあんたが初めてだよ」


 店員さぁん!? ううっ、なんか裏切られた気がする。まあそれでも乗りかかった船だ。せっかくだからこの実を持って帰ってアンヌになんか作ってもらおう。店員さん、この実全部ください。あ、びっくりしてる? してるよねえ。まあいいや。使い方は任せよう。


 よし、次々。とまあ見て回ったけど穀物類ばかりで果物はなかった。野菜とかは豊富だったけどね。


 ということで次の目的地に。ほら、手を繋いで行くよ。目指すはアンダーゲート! という訳で何度か転移を繰り返してアンダーゲート到着。まあ転移の繰り返し回数もだいぶ少なくなりました。


 さてさてアンダーゲートに来たらとりあえず行くところがある。領主様のところもだけどまずはここに行かなきゃね。


「いらっしゃいませ、海鳥の羽ばたき亭にようこそ! 席は空いてますからお好きなところに!」

「あ、ウルリカちゃん。こんにちは」

「あー! キューさんだ! お父さん、お母さん、キューさんだよ。キューさんが帰ってきた!」


 いや別にここが家とかじゃないんだけど。確かにお世話にはなってましたが。なんでパンドーロちゃんもアディも私の事ジト目で見てるのさ!


「まあまあ! ようこそいらっしゃいました! その節はお世話になりました。お陰様でみんな元気でやっていますよ」


 この店の女主人、オリビエさんだ。未亡人になり損ねた人。きっと未亡人だった方が稼げただろうになあ。


「やあ、キューさん。ようこそ。お元気そうでなによりです」

「エイリークさんもお元気そうで。……なんかやつれてます?」

「ははは、そんなことは無いですよ。ちょっと睡眠時間が削れてるだけで」


 なんで睡眠時間が削れてるのかは聞かない方がいいみたい。きっとオリビエさんが微笑んでるのが答えだろう、そう、答えは聞いていない!


「あ、いらっしゃいませ!」


 厨房からイレーヌちゃんも顔を出してきた。この子のご飯は美味しいのだ。なんか本人いわく、最近ではお父さんが疲れてるから料理は一手に請け負ってるらしい。うーむ、次はアンヌとコロンバちゃんも連れてこよう。


 美味しさに舌鼓を打ちながらご飯を食べた後に、ウルリカちゃんに市場を案内してもらう事になりました。歳の頃は二人と同じくらいだし、頭の良さもパンドーロちゃんとタメ張れるくらいだろうから話は合うんじゃないかな?


 市場というか通りには魚屋が沢山。さすがは港町だ。山の上の村の人間であるアディは魚を見たことがないらしく派手にビビっていた。あ、パンドーロちゃんは見たことあるんだって。まあエッジの街は割と何でもあるからなあ。でも見たのは塩漬けだったそうな。


「うわっ、何この魚!?」

「これ、魚じゃなくてなんか気持ち悪いものだよ」

「魔物!? 魔物なの?」


 なんか三人が騒いでたので見たらそこにはうねうねしてる触手を生やした物体がいた。まあ八洲に住んでた私にはわかるよ。これはタコだ。ぶつ切りにして小麦粉ボールの中に入れ、ソースとマヨネーズ、かつおぶしに青のりでいただくものだ。料理は出来ないけどたこ焼きは専用鉄板で練習したから出来るよ! たこ焼きとお好み焼きは私でも作れる料理なのだ! あ、モダン焼きとかの種類がある方じゃなくておやつにもなる方ね。


 とりあえずタコは買っておこう。あ、生き物だからアイテムボックスに入らない? うん、じゃあとりあえず店に戻って料理の準備しましょう。えっ、果物? 後回し後回し。

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