EP23 義足の少年と一角獣3/5
検査中、八咫烏の影響でどう数値が変わっているか、異常な数値が出ていないか不安で、ドキドキしながら診察とメンテナンスを受けていたがー
「サイバーレッグは問題ないです。本当に戦闘を行っているのか疑うくらい負荷が掛かっていないです、上手く使えてますよ」
検査は順調で1時間ほどで終了、検査結果を主治医から聞くと、苦笑いをしてしまうローズィー。たぶん八咫烏のオーラの力で、過剰な負荷を無効化しているのだろうと予測は出来る
「あの…あまりデータとしては、使いづらいかもしれません」
ローズィーの様な軍に所属しており、サイボーグ化手術を受けている人間やアスリートたちはデータを渡し、技術開発の礎になっている
「タケハヤさんのデータだけを使っているわけではありませんからね。同じ様な状況の色々な人のデータを総合的に見て、活かしているので、問題ありませんよ」
「子供用の人工肢は、まだ難しいんですか?」
「そうですね。タケハヤさんも知っての通り、欠損した部位を補う為、健康な部分までサイボーグ化する為、成長期や成長期前の子供のサイボーグ化は、まだまだ実用化は出来ません。従来の残っている筋肉と連動するAIシートを使った義肢では、サイボーグ化で得られる様な動きには及びません、性能向上には問題点も多いです」
「そうですか」
「お知り合いに義肢が必要なお子さんがいるのですか?」
「いえ、こちらに伺う途中で、ラグビーをやりたいって言う義足の子供に会いまして」
ローズィーがそう言うと、主治医は「あぁ」と納得するように
「アドル君ですかね…彼はまだ体は小さく12歳の成長期でもありますから、サイボーグ化は出来ません。もちろん、義肢の問題で健常者とはラグビーをさせてあげられないのですが、あの子の場合は、別の問題がありまして…彼の義足は、歩くだけなら問題ないはずですが…」
主治医の言葉に疑問を持つ。アドルは上手く歩けていなかった
「でも歩くのがやっとって感じで、私が見た時も倒れてました」
「はい、歩けないのは、彼の心の問題なのです」
「心の問題?ラグビーをやりたいって、だから努力して病院まで歩くと言ってました。意志はつよいと思いましたけど」
「それは本心だと思います。我々もカウンセラーと話しているのですが、上手く歩こうとすると…親の考えに囚われているようで」
「親の考え?」
「歩いて欲しくないんですよ。親が子離れ出来てない。アドル君は、無意識に親の考えに囚われて、力をセーブしてしまっているようで」
「そんな」
「本人と家族の問題なので、我々もどうしようもなくて…あぁ、愚痴を言って申し訳ないです」
予定通り検査とメンテナンスは終わり、病院の出入り口に向かい、腕組みをして納得出来ないように唸っているローズィー
(…うーん、子供の成長が嬉しくない親なんていないと思うけど)
出入り口の自動扉で、ちょうど病院に辿り着いたアドルと鉢合わせる。義足をつけたまま車椅子に乗っている
「あっお姉さん」
「あっ…アドルくん」
アドルは、バツが悪そうにしてローズィーの顔を見ない。ローズィーは気になる、母親がいないのだ
「お母さんは?」
「車を停めに行ってる」
「そうなんだね」
話を聞くと、あの後に母と押し問答があり、結局歩く事を否定され、車で送られたようだ
「僕、頑張っても上手く出来ないんだ」
アドルはポロポロと涙をこぼす
「そんなこと言わないで」
「僕、ラグビーもうまくなかったんだ。他の子より体も小さくて、ママは僕には向いてないって…でも好きなんだ…」
ローズィーは「大丈夫だよ」と言ってあげたかった、励ましてあげたかった。だが片足を失ってしまった彼は、今のチームメイトとは、一緒にプレイは出来ない…そう思うと、どんな言葉をかければいいか分からなかったのだ
「アドルくん」
その時、ローズィーは急な耳鳴りと頭痛に襲われ、ガクッと膝をつく
「お姉ちゃん!?」
「大丈夫…(これは…ギュウガの時と…一緒!?)」




