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戦闘動物保護部隊CAPUt!!〜愛しい駆除対象の英雄たち〜  作者: 柴犬乃ぐんて
第2部【異世界転移は、悪夢の始まり】
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85/103

EP22 いつか帰る場所5/5

正午、食堂


 久しぶりに長く寝てしまったマルティナは、珍しくボーっとしながら、遅い朝食を兼ねた昼食を1人で取っている

 整備員たちの視線を感じ、見るとプイっと視線をそらされる


 視線を感じるのは、いつもの事だが、違和感を感じる。皆が隠し事をしているのはわかる。でも敵意は感じない。軍に属している人間たちの独特な人を疑う様な、試す様な、嫌な隠しごとではないのだ


(きっとまた整備員でフザケて何かを企んでいるんだな)


食事を済ませ、食器を返却に行くと、キッチンスタッフが珍しくマルティナに話しかけてくる


「マルティナ隊長、今日の夕食なんですけど、何時頃に?」

「ん?」


すると、マルティナの後ろから整備員が顔を出し


「だ、大丈夫です!!」


と返答になってない言葉を発し、マルティナをその場から引き離す


「なんなんだろ…」


少し困惑しながら、隊員室に向かうと、部屋に近づけば近づくほど、人が多くなっていく


「おい、そろそろ来るぞ」

「待って、電気はいつ消すの!?」

「びっくりして、攻撃仕掛けてこないよな」

「猫じゃないんだから」


と、隊員室からも声が聞こえ、部屋の前に着いた頃には、シーンとしている


(…どういう顔して入ればいいのやら)


ドアを開けると、廊下も部屋も電気が消え、真っ暗になる

グッと身構えるマルティナの前に、オレンジ色の温かく優しい光が目に飛び込んでくる

それはユラユラと揺らめき、辺りを照らしている


ロウソクの小さな光


ロウソクは、大きな苺3つとクッキーで作られたメッセージプレートが乗せられた3号サイズの小さなホールケーキに立てられている


それを持っているのは……雷斗だ


「隊長…誕生日おめでとうございます」


「えっ!?」


電気がつき、部屋が明るくなると雷斗の後ろに隊員たちが並んでおり、整備員、事務、キッチンスタッフも部屋に集合しており、部屋は大きなクリスマスツリーが飾られ、壁や天井にはイルミネーションされていて、メリークリスマスの文字と『マルティナ隊長、誕生日おめでとうございます』と書かれたプレートが掲げられている


「誕生日おめでとうございます&メリークリスマース!!!!」


至る所でクラッカーが鳴り、マルティナの誕生日を祝福する


「えっ…あっ……そうか」


マルティナは自分の誕生日も忘れていた、任務のスケジュールの管理はしていて、日にちは頭に入っているのだが、そこに自分自身の事が抜け落ちていた


「隊長、隊員室は一応火気厳禁なんで早く消して下さい」


雷斗が小声で冷静に言うので、フッと強めに吹き、ロウソクの火を消すと、ローズィーと白がプレゼントを持ってマルティナに詰め寄る


「隊長、おめでとうございます」

「ありがとう、2人とも」


白は小物を入れるバッグ、ローズィーはヘアブラシをマルティナに渡す


「旅行の時に使う小さいバッグを探してるって言っていたので」

「私は隊長の黒い髪をもっと艶々にして欲しくて選びました」


その様子を見ているカナタと雷斗は目を丸くする


「お前ら、いつの間にプレゼント用意したんだよ」


雷斗がそう言うと、ローズィーは


「この間のニューヨークで買ったんだよ」

「マジか」


それを聞いて白が雷斗に詰め寄る


「いつもお世話になっているのに、覚えてなかったの!?」

「…プレゼントまで用意するとは思わなかっただけだろ」

「えー」


雷斗と白のやり取りを見て、仲が戻っているようでホッとするカナタ


「カナタもプレゼントが無い、なんて事ないよな」


ローズィーがそう言うと、カナタは


「…この前は、大変だったから…」

「それは、そうだけどさぁ。白は日本に帰ってすぐに買いに行ったらしいよ…水族館に行くより前にさ」

「う…」

「カナタは隊長よりも、白との水族館デートに頭がいっぱいだった、と白状しろ」


ローズィーは嬉しそうに意地悪く、カナタをイジる


「あの隊長!!」


ワチャワチャと騒ぐ4人の視線を一気に奪う、マルティナにかけられる強い声を発した男


ライオネル・M・ロード


大きな身体、強面でキズのある顔


その男の手には、ふわふわで温かそうな緑色のマフラーが抱えられている


「これ…誕生日プレゼント…です。…テヅクリの」


どんどん小さくなるライオネルの声


「ん?なあに?」

「不格好ですけど、初めてマフラーを編んでみました!!」


えっ!?


その場にいた全員が沈黙する


「編んでくれたの?ライオネル君が!?」


マルティナは目を丸くして驚いている


「隊長が何が好きか、考えても分からなくて…何を贈っていいか、分からないから…手作りの何かが良いかなって思って」


それを聞いた女性陣全員が


「重《おも》!!!!」


と声を揃えて言うと、ライオネルはビクっとし、うなだれる


「…そうだよな」


肩を落とすライオネルに近づくマルティナは、ライオネルに抱えられている緑色のマフラーを手に取ると


「ありがとうライオネル君、最近みどり色が好きでね」


そう言いながら、首に巻く

柔らかく温かいが、編んでいる毛糸にライオネルの力強さを感じる


ふとファルベグリーンの太い腕を思い出す


「なんで緑なの?」

「サンタは本来、緑なんで…幸せな気分になるかなと」

「ふふふ、本当にありがとうライオネル君、大切にするよ」


マルティナが笑顔でそう言うと、ライオネルは号泣している

それを茶化したりしながら笑い合い、隊員たちはマルティナの誕生日とクリスマスを過ごす


「宇宙ステーションっていつがイブになるんだ!?」

「何回も夜が来るんだから、ずっとイブでいいんだよ」

「えっイブって前日って意味じゃないのか?」

「イブは当日の夜って言う意味で」

「カナタ、細かい」


などなど、その日はワイワイと談笑が続いた


「ライオネル君」


マフラーを巻いたままのマルティナが、ライオネルを呼ぶ


「はい」

「いつか…いつになるかは、分からないけど…君が本当の事を全部言える日が来たら、私も本当の事を全部君に話す。ただ、今は信じて欲しい、私は、君やカナタ君と同じ思いだよ。世界中の命を守りたい、皆が当たり前に帰るべき家に帰れる日を目指している。だからライオネル君、その日が来るまで、カプトとしての私を支えて欲しい」

「もちろんですよ、隊長」

「全部が終わったら、人間としても君に頼ってみようかな」

「えっ?」


マルティナは、そう言うとライオネルの驚いた表情を楽しむかのように、笑顔を見せる


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