EP21 対エルドキナ!!毒霧の中の死闘3/4
「めんどくせぇ」
雷斗は瞬時にマシンガンを撃つ
銃弾はエルドキナの口腔の上顎を捉えるが、攻撃を意識しているエルドキナには、銃弾は通らない。モンスター特有のオートで発動している防御魔法の効果だ
紫色に光るエルドキナの体、すると雷斗の左から突風を感じる
『キュァァァァアァァァ』
その風は毒霧も振り払い、エルドキナは自身の右側の頬から右目にかけて、パックリと切り裂かれている
雷斗が風の吹いた方を見ると、カナタが日本刀を振り上げており、カナタの斬撃でエルドキナが負傷した事が分かる
「助かった、カナタ」
「雷斗のおかげだ、エルドキナの防御の紫の光が見えたから」
『顔が、顔が、目が痛い、痛い…なぜ…我を』
霧が晴れていくと、大通りの真ん中で、エルドキナが裂けた顔を気にしている
右目の眼球は斬れて、頬は鱗が裂け肉が見える、しかし傷は浅く、致命傷ではない
『お前たち人間は、なぜ我を殺そうとするのだ。食べるわけでもないのに…』
そう言ってエルドキナは再び2人を襲う
雷斗はマシンガンで、カナタは日本刀で戦う
徐々に移動すると広い道路上に出る
そこは遮る建物がなく風通しがいい為、毒霧が風で流され停滞しない
エルドキナは、締め上げるか、噛み殺すか、叩き潰すかの攻撃方法を取っていた、背部の毒弾を当てようと試みるも、2人の鮮やかな前後左右の連携で、狙いが定まらない
雷斗は尾を狙い、銃撃をする
銃弾はエルドキナを傷付ける事は出来ないものの、ダメージはあるらしく雷斗の攻撃を嫌がり、尾を振り反撃するが、雷斗は持ち前の身体能力で躱すと、カウンターの様にカナタの斬撃がやってくる
先程はかすめただけだが、カナタの斬撃はまともに喰らえば致命傷になる
そう思ったエルドキナは、カナタの攻撃を回避する事に全神経を向ける、そう思うと雷斗の銃撃が襲ってくる。それに気を取られては、斬撃に殺られる
『人間が!!!!』
尾を大きく振ると、雷斗が距離を取り、カナタはその場でしゃがみ避ける
一瞬
ほんの一瞬だけ、カナタの動きが止まる
『ここだ!!』
エルドキナは、そのスキを逃さず瞬時に身体を縮め、身体を振り上げると、胴体でカナタを叩きつけようとする
全長30mもある巨大な蛇、全身筋肉ともいえる蛇の巨大な体がのしかかれば、全身の骨は一瞬でバラバラになる
ヒュン
エルドキナは、風を切り裂く音を聴く
眼の前のカナタの刀による斬撃の音ではない
しかしその音を聴いた瞬間から、身体に力が入らず、倒れてしまう
約3秒後、バンっという乾いた銃声が聴こえる
カナタと雷斗のヘルメットのバイザーには、マルティナローズィー班の位置、そしてライオネル白班の位置が表示されている
双眼鏡を覗き込んでいるライオネル
「よくやった、ヒットだ」
隣にいる白が持つ狙撃銃の銃口は、硝煙を吐いている
「……っはぁ」
息を止めていた白は、ライオネルの言葉を聞き、ホッとした様に、呼吸を始める
白の放った玉鋼の銃弾は、カナタが斬りつけたエルドキナの右目から飛び込み、脳の脳幹と呼ばれる部位に直撃していた。蛇の脳は小さい。しかしエルドキナはモンスターと融合する事で脳が巨大化、感情や思考する力、テレパシーなどの力を得ていた。身体は動かないがまだテレパシーは使えている
『なぜだ。身体が動かない…痛い…苦しい…我が何をしたと言うのだ』
エルドキナの声が、カナタと雷斗の脳に響く
『静かに暮らしていたかっただけなのに、お前達、人間は我の住処を奪い、我を執拗に追いかけて…』
カナタと雷斗は横たわるエルドキナに近づく
『お前達と何が違う……ただ生きる事も許されないのか!!』
カナタは悲哀に満ちた表情をしてしまう
『何が違う!!我とお前達と何が違う!!その身に宿した力の違いだけじゃないか!!』
エルドキナの言葉に、カナタは衝撃を受けてしまう。八咫烏の力を宿した自分と、モンスターを取り込んだエルドキナとの違い…
ガダダダダダダダダダ
雷斗が狙撃された右目にマシンガンの銃口を向けて、乱射する
エルドキナの頭は、完全に肉片と化して、絶命する
「うるせぇ、キマイラは倒さなければいけない、人類の敵だ。お前に恨みがあるわけじゃねぇが…悪いな」
雷斗の気丈な態度に、カナタは自分の覚悟が揺らいでしまった
雷斗がエルドキナが自分の正体に気づいていると判断し、カナタにそれを察せないように口封じをしただけなのだが…
夕暮れの中、エルドキナの死骸を見ているカナタ
太陽光の色温度は高くなり、夕日は辺りをオレンジ色に染める、長く伸びたカナタの影は、哀愁を感じさせている
その後、マルティナとローズィーが合流し、エルドキナの討伐を確認
白の正確な狙撃は、アンホの兵達を驚かせた
もちろん、その狙撃を確実のものとしたカナタと雷斗の連携は大いに称賛された




