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戦闘動物保護部隊CAPUt!!〜愛しい駆除対象の英雄たち〜  作者: 柴犬乃ぐんて
第2部【異世界転移は、悪夢の始まり】
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EP21 対エルドキナ!!毒霧の中の死闘1/4

エルドキナ討伐作戦は、意識の外からによる玉鋼の銃弾による脳の狙撃作戦である。エルドキナは基本的に臆病な性格であり、自分が《《敵わない》》と思った相手にはすぐに身を隠してしまう


 最初に目撃されたのは、香港市東部の山岳地帯だったが、アジア連合軍と当時の地球世界政府軍が追い込んだ結果、この海南島まで移動した、今は隔離区画で、厳重に隔離され、そこから逃げないように監視されている


ではなぜ駆除されていないか?


 それは太平洋大災害で廃墟となっている三亜市に隔離出来た事、そして中国軍の海軍基地が現地のそばにある事で、今まで地球世界政府軍もカプトも、監視と反撃は許されても、そこでの故意による戦闘は許されなかった

 そしてエルドキナの毒による攻撃の最大射程は1km、毒弾は弧を描く様に飛ぶが着弾時に霧の様に広がり、一定時間は立ち入る事が困難になる、だから爆撃による攻撃しか有効ではないとされているが、それを中国軍が許すわけもなかった


 中国軍も加盟しているアジア連合からの要請もあり、地球世界政府は監視する事しか出来なかった


 流れはブリッツがアメリカ首都ワシントンDCを襲った事で変わる


 あの事件は国内に駆除不能になっているキマイラを抱えている国家の不安が一気に高まった、そして地球世界政府軍とカプトが再編された事をきっかけに、中国もエルドキナの討伐を依頼してきたのだ

 それでももちろん爆撃なんて出来ない。だからエルドキナの感知範囲外からの狙撃が唯一の攻撃方法と言っても過言ではない

しかしエルドキナは臆病でなかなか姿を現さない為、その狙撃自体が困難である

 元々は冬眠するはずである蛇だが、エルドキナはキマイラ化してそれを克服、それでも低温度の場所では動きが鈍くなるが、この海南島は東洋のハワイと言われるほど、温暖な気候だ。それでも一番気温が下がる12月が作戦決行日に選ばれ、尚且つカナタが説明した様に、この時期のエルドキナは、雄雌どちらかを攻撃する特性があった為、男女に分かれた二人一組《ツーマンセル》での囮を用いて、姿を現したところを狙撃で駆除しようとしているのだ


グリニッジ標準時

12月23日7時

現地時間

12月23日15時、この日の日の入り時間は18時10分。太陽が西に傾いて来た頃、作戦は開始される



 まず隔離区画は、地球世界政府と中国政府の共同出資により、エルドキナが越えられない高さ30mの壁で、鳳凰島より北側の海岸線から、臨春嶺森林公園を通り、鳳凰嶺公園を通り海岸まで囲われている


 東側の鳳凰島側の海岸に上陸するカナタと雷斗

南側の大東海側から上陸するマルティナとローズィー

 そこから臨春嶺森林公園の白の狙撃場所にエルドキナを誘導する手筈だ


 鹿回頭公園側は3方向海に囲まれている為、臆病なエルドキナが寝床にせず、あまり立ち入らないし、逃げ場を失う為近づかない事も考慮されている



 エルドキナの毒を無効化する宇宙服にも似た防護服、とは言え21世紀の宇宙服よりもスマートで、ロボットアニメやSF映画の宇宙服の様に細身で動きやすい設計になっている


「なんだよ、カナタ」


雷斗の出で立ちに、思わず自分と見比べる


「おんなじ物、着てるのに…なんか…」


心做しか雷斗の姿が、自分とは違う


「少女漫画と少年漫画くらいの差があるような」

「…俺、漫画読まないからわかんねーよ」

「本当か?」

「整備班の連中が話してる漫画やアニメの話なんて、さっぱりわかんねー」

「…あれはニッチな層のアニメだからな…」


 休憩中、ワイワイと整備室で話す整備員の事を思い出す


「雷斗はどんな子供だったんだよ」

「おい、作戦中だぞ」

「大丈夫だ、今日女性をターゲットにしてるなら感知されても攻撃はされないし、男性を狙う日なら、毒弾がもう飛んで来ている」


 辺りは静まり返っている。波の音と木々の葉音、廃墟をかすめる風の音…確かに何も起こらない

 廃墟を見て、雷斗は何かを思い出すように話し始める


「…あんまりいい環境で育ってはないな、まともに育ってたら、こんな仕事してないさ」

「こんな仕事って」

「動物保護やモンスター討伐をこんな仕事って言ってるんじゃねえよ。今にも毒で殺られるかもしれない状況で、子供の頃の話をしてる…異常な職場にだ」

「まぁな」


二人は少し笑う


「お前はどうなんだよカナタ。動物が好きで、助けたいって言うのなら、獣医でも良かっただろ?」

「俺はさ、俺ってじいちゃんが剣豪って呼ばれるくらい凄い人でさ、その血を継ぐ剣の秀才なんて言われて」

「自慢話か」

「かもな、自慢だったんだよ。じいちゃんが…そのじいちゃんに憧れて、じいちゃんに褒められたくて、剣を覚えたんだけどさ……じいちゃんが熊に襲われた時」

「熊にやられたのか?」


 雷斗の質問に、カナタは一瞬黙る。そして言葉を選ぶように


「じいちゃんは大丈夫だよ、一太刀さ。じいちゃんは正しい事をした…でも俺は…それからじいちゃんとは話さなくなったんだ」

「熊を殺したからか」

「あぁ…親には怒られたよ。熊じゃなくて、じいちゃんに死んで欲しかったのか!!って」

「……」

「頭では分かってる、じいちゃんは正しい。自分の命を守る為に動いたんだし、熊を野放しにしていたら、近所の人が殺されていたかもしれない、俺が死んでいたかもしれない……でも俺は…俺の心は、理解してあげようとしなかった。大見得切って言ってやったんだよ。俺は誰も殺さない剣を目指すんだ…って」

「それでカプトか」

「あぁ、じいちゃんとは喧嘩したまま、それからすぐに老衰で亡くなったよ。喧嘩したままだったけど、喧嘩したままだからこそ、俺は皆が生きる世界を作ったぞってあの世で会ったら話してあげたい」

「なるほどな…じゃあもし、エグゼやカラーズがカナタと同じ目的だったら、どちらかに味方するか?」

「どうだろうな…分からないよ。人間としてちゃんと答えを見つけないといけない事だと思うし」

「人間としてな」


雷斗は、どこか遠い目をする


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