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戦闘動物保護部隊CAPUt!!〜愛しい駆除対象の英雄たち〜  作者: 柴犬乃ぐんて
第2部【異世界転移は、悪夢の始まり】
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EP19 雨宮死す!?消えた第1小隊??? 4/4

正面入口の停留所にアルファステーションの小型スペースシップが着くと、エアロックが繋がれ、雨宮と第1小隊の3人が帰ってくる


「ちょっと遅くなっちゃったね」


マルティナがそう言うと、ふと入り口に1人整備員が待機している事に気付く


「どうしたんだい?」

「マルティナ隊長には関係ないです。雨宮主任、フブキ整備長がお呼びです」


雨宮は不思議そうな顔をしながら「おう」と返答すると、その整備員と共に歩き出すが


「私も整備長に報告があるんだ、一緒に行くよ。2人は先に食事にしてくれ」


マルティナがそう言うと、白が首を横に振り


「整備の工作室散らかしたままだから、片付けないといけないので、私たちも行きます」

「…散らかしたのは、白だろ。私たちもって」


と、雷斗も文句を言いながら、3人とも雨宮について行く


その道中、整備長室の前を通る雨宮と3人

案内役の整備員は整備長室には入らず、通り過ぎる


「あれ、どこにいるんだ、整備長」

「主任、黙ってついて来て下さい」

「お、おう」


この時、カナタ、ライオネル、ローズィー、アサクラが整備長室の中にいたのだが、すれ違ってしまっている


雨宮とマルティナたちは倉庫に到着する

扉を開けると、鬼の形相…いや、鬼になったフブキがヨウマオを含む4人の縛られた整備員達を椅子にして、雨宮を待っている


その様子に、呆然とする第1小隊


「ど…どうした…んですか…整備長」


雨宮が恐る恐るたずねる


「雨宮、これはお前が製作したって事で間違いないな。どういう目的で作ったか、聞かせてもらおうか?」


養生シートが剥がされ、水着姿でグラビアアイドルポーズをした白の立像が現れる



「キャーーーーーー」



白の叫び声がステーションに響きわたる


近くにいたライオネルとアサクラが、カナタとローズィーよりも先に倉庫に到着し、その後の事は、皆が知る通りである



この出来事で、雨宮と4人の整備員は、社会的に死んだと言われても過言ではない



翌日の整備室で作業をする第1第2小隊


「あの…白ちゃん…次の射撃データ収集だけど」

「アナタ誰、しゃべりかけないで、変態」


白に声をかける雨宮、しかし白は見向きもせず、冷たくあしらう。涙目になる雨宮だったが、自分がやった事が原因でしかないので、ガックシと頭を下げ、雷斗に説明し、言付けしてもらう


その様子をみて、やれやれと小さなため息をつくマルティナ。その隣にはフブキもいる


「元橋白、すまなかった。うちの雨宮が」


と、フブキが頭を下げる。そのさまに驚く一同、特に慌てるのは白だ


「整備長が頭を下げないで下さい。あの変態……雨宮さんが悪いんですから」

「あぁ、だから俺が謝っている」

「でも」

「怒りを収めては頂けないか」

「なんで整備長が…雨宮さんなんかクビにした方がいいですよ…この事がもし他のステーションに知られたり、民間の人が知ったら、大変です」

「俺はそれでもあいつを雇用するよ。俺はあいつのメンツや人間性を買っているんじゃない、技術力を買っている、それ以外で誰かに迷惑をかけたり、失敗したり、常識はずれな行動もするだろう、それでもあいつを雇っているのは俺だ。俺の責任であいつ…ひいては全整備員がここで働いている。だからあいつらが誰かに迷惑をかければ、俺が謝る、他の誰かにそれをさせるつもりはない、そして」


フブキは、パンっと拳で自分の手のひらを叩く


「俺があいつらを怒り、叱る。これもマルティナ隊長やライオネルだろうと、世界政府のお偉いさんであろうと、一般人であろうと、誰でもあろうが他の奴らにそれをやらせるつもりはない、あいつらを怒れるのは、俺だけなんだ。それが俺の責任なんだよ、元橋白」

「それってパワハラとは違うんですか」

「他から見たら同じだろうな。この件を外に持ち出したら、みんなクビになるだろうな、俺より上の、体裁やメンツで仕事をしている奴らの手でな」


白が難しい顔をしていると、マルティナが


「普段からフブキ整備長が怒りや威圧を使って仕事をさせているならパワハラだよ?いつもは自主性を重んじているのがカプトの整備部隊、それを指揮しているのがフブキ整備長だ。今回は雨宮君達が悪い事をした、だからフブキ整備長が怒った。それだけだよ」

「言いくるめられてる…気がする」

「今回の被害者…実際に何か性的な事をされたわけじゃないけど、肖像権を侵害されたのは、白君だ。許す許さないも白君次第だよ」

「やっぱり気持ち悪いですよ…あんなの、それに隊長だって女神像作られて、雷斗もブロマイド集なんて作られてるんですよ」

「あぁ、あれね」

「隊長はまだ女神像だからいいですけど…私のは、あんな姿の…」


白が涙声で、言葉が詰まる

すると、ローズィーが


「白の気持ちは理解出来る。自分の知らないところで、あんなの作られてたら私だって、気持ちが悪いよ………でもたぶん理由があると思うよ、雨宮って肝心なところ、バカだけどさ」


すると、カナタが


「雨宮ってさ、後輩思いでさ…整備員も俺たちもステーション生活って地上と隔離されてて、娯楽もないし…プライベートもあんまりない生活をしているだろ?…実はマルティナ隊長の女神像と白の人形については、明確な理由があってさ、フヨウ教は白も知ってるだろ?」

「うん」

「隊長を崇拝する理由って、マルティナ隊長って戦乙女とか戦女神って呼ばれてて、その戦歴がカプト内で有名で、男女問わず憧れの対象なんだよ。隊長の近くにいれば【死なない】って」


マルティナは、アムカ事案など隊が全滅するほどの戦闘でも必ず生きて帰って来た、だから『戦乙女』と呼ばれているのだ


「カプトや世界政府軍の仕事って緊急の出動で、死地へ向かう事もあるだろ、だからお守りや心の拠り所が必要でさ、隊長の女神像がその役割をして…広まったんだ」

「うん」

「雷斗のブロマイドも似たようなもんさ、推しがいる生活の方が生きる気力が湧くって、女性整備員の希望があってね」


そこまで黙って聞いていたライオネルが、んんっっと咳払いをし、カナタと目を合わせる

(言うのか?)

ライオネルがそんな表情をすると、カナタはうなづく


「実は白のフィギュアって、ライオネル副隊長が事前に気づいて、流通を止めてて、存在は極一部の人しか知らなかったんだ」


すると、ライオネルが


「あれは、たぶんその時に作った人形だな。前の掃除の時に、白のこと好きな整備員達ではダストシュートに捨てきれなかったんだろ、それを今回、フブキ整備長が捨ててくれたって事さ。その時、矢面に立っていたのは雨宮だし、今回もそうだろ?あの量のエロ本、本当に雨宮だけの物だと思うか?あいつはあいつなりに、整備員のメンタルケアしてるんだよ……性欲って言うのは生きていれば出て来てしまう、あのエロ本だって、ステーションでの性被害を抑える目的で雨宮は入荷していたし、話を聞けばあの立像も元々白を守りたくて製造したらしい…だけどその行動は間違ってるぞって、俺もフブキ整備長も厳重注意したんだ。優しいくせに行動が馬鹿なんだよ、雨宮は」


白は納得していない、納得していないが


「雨宮さんだけが悪いわけじゃない…環境のせいもあるって事?だからって私が我慢するのは、違うんじゃないんですか」


フブキが答える


「元橋は我慢しなくていい。だからアイツらの文句は俺に言ってくれ、俺がこっぴどく懲らしめてやる。元橋の気が済むまで、俺に言えばいい」

「それじゃフブキさんが、私からも文句言われて、雨宮さんたちを叱って、怖がられて…」


フブキが整備員に怖がられている事は知っている、パワハラだと愚痴を言う人もいるくらいだ


「憎まれ役は俺の仕事でもあるんだ」


その言葉を聞いて、白は思わずマルティナをみる


「隊長も」


すると、マルティナは笑いながら


「私は《《仕事では》》憎まれ役になりたくはないよ、白君」

「うん」


マルティナが、ヴァルバリキアに変身してでも、平和を目指そうとしている理由を知っている白は、フブキの行動とマルティナの行動が同じにみえる


「今回の事は、納得は出来ません。でも私がみんなの希望になっているなら、遠慮しないで、ちゃんと話しかけて下さいって整備員の皆に言って下さい」


白は不満ではあるし、納得も出来ないが、みんなの気持ちも考えながら言う


「お茶会、白目当てだって気づいてなかったのか」


ローズィーがそう言うと、白は目を丸くする


「皆、白のこと好きなんだよ。今回はやり方間違えてたけどさ。白も周りの皆が白の事好きだって事に気づけて良かったな…一人にばっかり気を取られてるから、気づけなかったんじゃないの?」


ローズィーは意地悪そうに、カナタを見ながら言う

カナタは、顔を赤くしながら


「ローズィー、俺を見るんじゃないよ」


と言うと、白も恥ずかしそうにしている


「どういう事だ?」


雷斗がキョトンとした顔で、そう言うと皆が一斉に雷斗を見る


「本気か…雷斗」


ローズィーは震えながら、雷斗の正面に立ち、目をみる


「なんだよ」

「本気で、2人の空気感が変わった事に気づいてないのか?」

「空気感?白とカナタの??」


信じられないと絶句するローズィー


「まさかここまで、空気が読めないとはね…」


マルティナも苦笑いしている

全く状況を掴めてない雷斗は少し不機嫌になり


「いいから、作業進めようぜ。白も気が済んだだろ」


ムッとしながら雷斗が言うと、白もフブキに声をかけ、会釈すると、フブキは握手を求め、2人は握手をし、その場を治めた



作業が終わり、夕食前

皆が手洗いを済ませ、部屋に戻ったり、食堂へ行く中、雷斗はローズィーを呼び止める


「あのさ、白とカナタ…何かあったのか?」

「本当に何も感じてないのか?」

「言えよ」

「こんな事、本来は私が言うような事じゃないけどさ、あの2人、お互いを異性として意識してるって事だよ」


その瞬間、雷斗の瞳孔がきゅっと縮まったように見えるローズィー


「そうか」


雷斗は、静かにそう言うとローズィーを置いて、居住区画へと歩き出す


白は、食事前にシャワーを浴びる事をルーティンとしている


小走りで自室に戻っている白。ドアを開けたタイミングで白を呼ぶ声がする


「おい、白」


振り返ると、雷斗が


バン!!!!


突然、雷斗に部屋の中に突き飛ばされると、そのまま胸ぐらを掴まれ、壁に押し付けられる


「お前、お前の物じゃないんだよ。体も、心も、お前の物じゃないんだ!!!!」

「…雷斗…痛いよ」


壁に押し付けられ、腕で喉を押さえられ、白の足は床から少し浮くような体勢になり、思うように息が出来ない


「雷斗《《さん》》だろ。呼び捨てを許した覚えはないがな」

「でも…時間が経って仲良くなったら…普通」

「お前は普通じゃないんだ、お前はお前じゃないんだぞ」

「そうだけど……私にも…心は……ある」

「それは偽物だ!!心はお前の物じゃない」


今度は床に叩きつけられる


「俺をこれ以上…苛立たせるな」


そう捨て台詞を言って去る雷斗


床にうずくまったまま、白は大粒の涙を流し、声を出して泣く事しか出来なかった


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