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戦闘動物保護部隊CAPUt!!〜愛しい駆除対象の英雄たち〜  作者: 柴犬乃ぐんて
第1部【戦闘動物保護部隊CAPUt】
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EP17 生まれる疑念3/3

「ライオネル君は、ブリッツに追いかけられて、カササギを離れて、モンスターは既存の生物と交配ではなく、融合する事でキマイラになるって聞いたと報告したよね?」

「はい」


そうライオネルは、そう報告した

しかしブリッツは雷斗だ。マルティナが本人に確認しても、まず3人を追ったという事実は無いし、融合の事も話していないと言う


ただライオネルが言った、融合は事実だ。無下に扱う事も出来なかったし、ライオネルがどうやってその情報を得たのか問い詰めるわけにもいかなかった…絶妙な嘘だったのだ


「ブリッツから聞いたって言うのは…嘘だよね…私達がブリッツに遭遇したのは4回、その中ではっきりと声を聞いたのは3回、今回とギュウガ事案、八咫烏の件だ。ブリッツはいつも、多くの情報は語らない…彼は常に人類絶滅という情報しか言ってないんだ。考えにくいんだよ、モンスターの情報を言うなんて…それに」


マルティナは、真剣な目つきでライオネルの目を見る


「ライオネル君、君は感情が高ぶっている時、努めてふざける傾向にある…今にして思えばおかしいんだよ。八咫烏の件、あの時、私たちと合流した時、真っ先に君が報告するべき所をカナタ君とローズィー君が意気揚々と私に報告してきたよね?」

「…そうでしたっけ?」

「君は何か考え事をしていたんじゃないの?…今みたいに…ライオネル君は考え事が深いと、他の事が手につかなくなるからね…タン中将との晩酌もそういう理由だと私は理解しているんだよ」

「俺の事、よく見てくれてますね」

「隊員の事は見ているつもりだよ。特に副隊長の君の事はね。…情報提供者がいるのかな?」


情報提供者がいるかもしれない。マルティナにはデメリットでしかない。もしモンスターの正確な情報を持っているとすれば、それはアムカ派のキマイラだと考えられるのだ

 しかもそれがライオネルと繋がっているかもしれないというのは、マルティナには不都合以外の何物でもなく、もしライオネルが、アムカ派に属しているとしたら…最悪の場合…

 そして雷斗と白のどちらかがライオネルに情報を渡している事も考えなければならない。その場合は雷斗が情報を渡すことは考えにくい、あるとすれば白だ


ライオネルは迷っていた。自分がファルベグリーンだと言ってしまいたい。マルティナなら味方になってくれるはずだ…しかし八咫烏を裏切る事になるし、もしかしたら拘束をされるかもしれないし、カプトの所属ではなくなるだろう、霊獣を集めるという目的が達成出来なくなる


「…隊長とはいえ、答えられません」


ライオネルは、目を閉じ、口をつぐむ


「ライオネル君、私は君を信じて、今回の出張に付き合ってもらったんだよ。君がタン中将を裏切るとは思えない…が」


マルティナはそう言うと、少しだけ心がチクリと痛む


「俺が戦争を起こしたい奴らに加担していると!?」


思わず声を荒げるライオネル


「私を信じさせてくれ、ライオネル君」

「戦争なんて俺が望む理由はありません。ごめんなさい、目的は同じはずです。同じく俺も平和を望んでいます。望んでいるからこそ、まだこの情報は言えないんです」


ライオネルの言葉に、自身を見ている気分になるマルティナ


私も平和を望んでいる。望んでいるからこそ、今はヴァルバリキアとして、ブリッツ側にいる

ライオネルが独自の動きをするのは予想外ではあったが、独自のルートで平和を模索しているなら、それを尊重するべきだろう…モンスター側の事を自分が受持ち、人間側の事をライオネルに任せるのも手なのかもしれない


「いつか話してくれると約束してくれるかな?」

「はい、もちろんです」


コーヒーカップを持ち、ライオネルに突き出す。ライオネルもカップを持つと、コンっと2人はカップを合わせる


「隊長」

「ん?」

「隊長も、俺達を頼ってください。貴女を守るヒーローに俺はなりたい」

「了解だよ」


そう返事をするマルティナは、グリーンの事を思い出す

モンスター側で戦争を止められない場合は、グリーンを頼ろう、何が何でも自分の意志を伝えようと決心した



マンハッタン島のブリッツとアンホとブルーの戦闘で破壊された場所は、米軍によって規制線が貼られていた。アンホは対モンスター及びファルベとの戦闘を目的とした部隊だ、だからすぐに米軍や現地の消防や警察に引き継ぎをしていた


ローズィーは規制線の外にいた

あれから雷斗と連絡がつかない、2人がいたBARは戦闘をした区画とは別の区画だったので、戦闘に巻き込まれたとは考えられないが、アレックスからの連絡を見て「出ろよ。迎えに来て貰えって」という言葉を思い出し、気づかって連絡をしないのかとも思えたし、雷斗に少し惹かれている自分を、否定された気分になっていた


雷斗があの時そう言ったのには理由がある


すぐにマンハッタン島が戦闘の舞台になる事を知っている雷斗は、ローズィーを遠ざけたかったのだ。そこに元夫であるアレックスからの連絡だ、安心して自分は戦いに行けたのだ

ブルーを相手にしてしまった為、想定よりも被害が大きくなってしまい、白もレッドに殺られかけた事もあり、今雷斗は体の震えが止まらなかった


もし白がレッドの金色のオーラ、分離の効果を持つ攻撃を喰らっていたらと思うと…

ヴァルバリキア、マルティナが言う様に神音《カノン》にはアムカが封印されている。つまりレッドの分離の攻撃を喰らってしまい、アムカと神音《カノン》が分離する可能性があった

もう神音《カノン》を戦いに出すわけにはいかない


先程の戦闘が終わった直後を思い出す


神音《カノン》を連れ、転移魔法陣でヴァルバリキアの元へ向かった

ヴァルバリキアは廃ビルの一室にいた。タンたちと会っていた部屋だ


「薬を頼む!!レッドにやられた」


ブリッツは赤いオーラにやられたらしいと言いながら、神音《カノン》の治療をヴァルバリキアに頼む


「酷い怪我だね。ここまでとは」


ヴァルバリキアは、手から分泌液を出すと、神音《カノン》の触手を撫でるように塗っていく

すると、みるみるうちに触手は回復していく。治療しながら、互いの状況を報告し合う


「ありがとう…隊長」

「しばらく解放はしない方がいい」


神音《カノン》は白に戻り、ブリッツも雷斗に戻る


「隊長も、お腹を怪我してる?」

「グリーンの金オーラの攻撃でね」


ヴァルバリキアは、まだ自身を治療している


「ブルーより、グリーン、それよりもレッドの方がオーラの扱いに長けているって事か」


雷斗がヴァルバリキアの傷を見ながらそう言う


「そうだね。しかし3箇所にそれぞれファルベが現れるなんて、私たちは運が無いね」


治療を終え、ヴァルバリキアはマルティナに戻る


「白君は、日本に戻ってカナタ君と合流を急ごう。私もすぐに白鷺に戻る…雷斗君はどうする?」

「偶然だがローズィーとバーで飲んでいた…襲撃前には別れたが」

「状況的にはローズィー君と合流の必要はないと思うけど、連絡はしなさい。仲間が同じ場所で戦闘に巻き込まれているかもしれないって思ってるのは辛いよね、3人とも状況は同じだよ」

「あぁ」


マンハッタンに戻り、規制線の内側がよく見える近辺で一番高いビルに登り、状況を見ている

ローズィーからの連絡があった。ローズィーは生きている。アレックスと一緒にいて、ニュースを見て連絡してきているのなら、この通話には出ない方がいいだろう…今は愛した人といれるならその方がいい、そう思いながら雷斗は連絡を絶っていた


「やっぱり、ここにいたか」


振り返るとローズィーがいる


「なんで!?」

「雷斗って任務の時、こういう高い場所から警戒してる事多いなって思ってさ。来てみたんだよ」

「いや、旦那と一緒に居たんじゃねぇのか」

「アレックスは元夫だって言ってるだろ?あいつはもう新しい奥さんがいて、新しい家族がいるんだ。私に構う理由はないのにさ」

「…アレックスも子供を亡くしたのは同じだろ」

「…そうだな」


2人は、サイレンが鳴りやまないマンハッタンの街並みを見つめる


「ブリッツは何がしたいんだろうな」


ローズィーがボソッと言う


「人類の絶滅だって言ってるじゃないか」


雷斗はさも当然だろという感じで言うが、ローズィーは納得していない


「これは女の勘だと思って欲しいんだけど…ブリッツはさ、誰か守ってるんじゃないのかな」

「何!?」

「隊長と副隊長とカナタには連絡ついたんだけどさ。日本にもブリッツが現れたらしい…日本を攻撃していたキマイラを連れて逃げたって」

「そうなのか」

「うん、ここでブリッツはあんなに複数に大規模な攻撃出来るのに、日本にいるキマイラがピンチになったら、すぐに向かったみたいだ…それに本気でブリッツが暴れたら、この規模の被害じゃ収まらなかった様な気がしてさ…あいつは日本にいたカノンとか言うキマイラを気にかけている。ここでの戦闘からも退き、日本には増援ではなく、逃げる為に現れたんだろう」


雷斗は答えない


「本気で人類絶滅をするなら、出来るはずなんだ…何か…あると思うんだけど…私は感だけで、理詰め出来ないからなぁ、雷斗はどう思う?」

「俺は言葉通りだと思うけどな、すぐには出来ない理由があるんだろ?」

「そりゃ、そうか…で、雷斗はどこのホテルなんだ?」

「えっ?」

「言っただろ、ホテル取ってないって。大丈夫変な事はしないから」

「こういうのって、男女の立場が反対で、そのセリフ言うんじゃないのか?」


雷斗は笑いながらそう言うと、ローズィーも笑う

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