EP14 魔法が科学に!?【マジックポケット】3/4
その日の夜、同じホテルの別々の部屋を取ったマルティナとライオネルだが、マルティナの部屋に集まる
「あれはヤバイ技術ですよ。…もし飲水をデータ化して、別場所に送る事が簡単に出来る様になれば…インフラはアーガスハイインダストリーの独占になってしまう」
ライオネルが幼少の時に暮らしていた村は、水を汲みに行くのでさえ、重労働だった
ウィリアムが言うように、カプセルの様な物にデータ化して運べるのなら、運搬は格段に良くなるだろう
しかし、水を独占出来る技術になってしまうし、インフラに深刻な事態を招きかねない技術に、焦りを感じている
「私達にあれを見せたって事は、地球世界政府が牛耳るつもりで話が進んでいるって事じゃないのかな」
「地球世界政府がインフラ!?」
「今はモンスターが居るから地球世界政府が各国の上に居るんだ。モンスターを駆除した世界の次に用意する世界では、あの魔法陣システムでインフラの覇権を取るつもりなのかな」
「…アーガスハイインダストリーは、軍事産業ですよ。そうはならないでしょ」
「モンスターを相手にしている今、この技術を発表して、モンスター絶滅後の世界の覇権を握るのは、どこかを各国に選ばせる意図もあるのかもしれないし、戦争の火種になる事も分かっているから…戦力を整えているのかもしれないね。」
「これじゃあ、アムカやブリッツを倒したって、平和なんて来ないじゃないか」
「アムカ?」
ライオネルがアムカの名を出した事に引っかかるマルティナ。マルティナの表情を見て、ライオネルは
「強いキマイラって意味ですよ」
と言うが、マルティナは納得出来る様な出来ない様な微妙な表情をするが、そこは話を続ける
「…モンスターの絶滅も、あの技術の開発も、数年でどうなる物でも無いと思うけど、そうなるとやはり地球世界政府はブリッツの動き次第かな」
「アンホや各国がブリッツに対してどう動くかで、今後の状況は変わりそうですね」
「ブリッツを重要視しているからこそ、私達カプトには、禁足地のキマイラ駆除と霊獣の保護を任せてるんでしょうね」
「なるほど」
「そして、それを更に利用しようと企んでいる人がいる」
「隊長はモントゴメリー将軍やフー将軍の派閥争いとは、別に黒幕を考えているんですか?」
「私の見立てでは、2人とも戦後の覇権を争う可能性はあるけど、基本的にはそこは政治の部分だ、一軍人だけでどうこう出来ないでしょ?そこに戦争という選択肢を取らせる黒幕がいるだろうと思っている…政治家なのか、政治家を操る企業家なのか、【マジックポケット】はその要因になり得るカードではあるかな」
マルティナは時計を見る
現地時間23:45(イングランドはグリニッジ標準時との時差は無い)
「明日、何時になるか分からないけど、タン中将もこの街に来てくれる予定になっている、ライオネル君、一緒にいてくれるね?」
「もちろんですよ」
ライオネルは、悩んでいた
まずモンスターの被害を無くす事、そしてブリッツの人類絶滅作戦に対応する事が地球世界政府軍の中にある『アンホ』の仕事であり、それを円滑に行える様に禁足地のキマイラ討伐や霊獣捜索を【カプト】が担う役割だ
しかし実際は、ブリッツ討伐、モンスター絶滅後の覇権争いを始めている
マルティナやタンなど、一部のアンホとカプトの隊員や将校がそこに危機感を持っている事は、いい事だと思うし、もちろんブリッツ討伐、モンスター絶滅後の世界をみて動き始めても良いと思う
ただそれは、ブリッツをただのキマイラだと仮定した場合だ
地球世界政府や各国の政治家や民衆のブリッツに対する危機感は、高くないという事だ
…だからブリッツは、米国を襲ったのではないか
そしてそこまで知恵があるとしたら
しかもライオネルは、アムカが復活する事、そしてアムカとブリッツが敵対していて、モンスター同士でも戦争をしようとしている事を知っている
その情報は、ライオネルとカナタとローズィーの3人しか知らない事
どうにか、マルティナやタンにその情報を渡さなければ
モンスター同士の戦争の規模が見えないし、その同士討ちを利用出来れば、地球世界政府軍の被害が少なく、モンスターを絶滅させる事が出来るはずだ
そこまで考えて、ライオネルはゾクッとする
モンスターも、人間同士の戦争を利用して、人類を絶滅させようとしているとしたら…




