EP14 魔法が科学に!?【マジックポケット】2/4
グリニッジ標準時、11月24日 13:45
イングランド中部 ペナイン山脈南端に位置する工業都市に、アーガスハイインダストリーの航空機製造部門がある
広大な敷地に4階建てで高くは無いが、横に広い建物の中、受付で名を言うマルティナとライオネルは、その中の奥の奥の小さな部屋に通される
そこにはアーガスハイインダストリー航空機開発部の男と、彼の部下達がマルティナ達を迎え入れる
「はじめまして、鷹値専務から伺っています。私は航空機開発部部長のウィリアム・エルモアと申します。カプトのマルティナ・フヨウ隊長とライオネル・ロード副隊長にお会い出来る日を待っていました」
ウィリアムは、マルティナに握手を求め、マルティナはされるがままに握手する
「個人的に、マルティナ隊長のファンでして…一般にはニュースにもなりませんが、地球世界政府軍に英雄がいると聞いた時は、本当にヒーローがいるんだと、子供の頃の様にワクワクしましたよ」
やけにテンションが高いウィリアムに、マルティナとライオネル、そして彼の部下達も苦笑している
「いや~私、昔から日本のヒーロー番組やアニメに出てくる防衛隊のマシンに憧れがありましてね。この仕事を選んだのですよー」
「なんだか、うちの整備員達と雰囲気が似てる…気がする」
ライオネルがマルティナに小声で言うと、マルティナはクスッと笑う
「ウィリアムさん、受領する機体には、新型の疑似重力システムが使われていると聞きました。我々の整備班にシステム不良の際の講習を受けさせたいのですが、守秘義務もあるでしょうし、受領後と前でしたら、御社はどちらが都合が宜しいでしょう?」
マルティナがウィリアムに尋ねると、ウィリアムは顔を横に振り
「改良型ではありますが、これから一般販売を目指している為に開発した新型です。整備方法はこちらで講習しましょう」
それを聞いて、ライオネルは驚く
「一般販売!?疑似重力システムはブラックボックス化したシステムだったでしょ」
疑似重力システムは太平洋大災害後、アーガスハイインダストリーが開発した物だったが、そのシステムはある1人の科学者が開発し、モンスターに襲われ亡くなった為、詳細なプログラムはブラックボックスとなっていた。その為プログラムの改良が出来ず、コピーをするしかなかったのだ
「解明出来たんですよー」
ウィリアムが後ろにいた部下の1人を紹介する
「彼は、疑似重力システムの開発者の孫、イアン・スミスです」
紹介されたイアンは、作業着姿で目には濃いクマを作っている
「どうも…親族なんで気づけた事なんですが、うちの爺さん音楽と絵が好きだった…そうなんです」
資料をデスクに広げ、モニターにはプログラムを表示させるイアン
「音楽と絵?」
ライオネルが尋ねると
「はい、図形譜って知ってますか?」
ライオネルはさっぱり分からないので、マルティナを見る
「通常の五線譜じゃなくて、自由に書いている譜面で、色んな絵や図形を描く譜面…で合っているかな」
マルティナが答えると、イアンは大きく頷くと、モニターにプログラムを表示させる
「はい、爺さんのプログラムは、図形譜の様に組まれているのが特徴で、それが暗号にもなっているので、解読方法が長年不明だったのです…しかし、貴方達カプトが、太平洋大災害に現れた魔法陣は、モンスターの転移魔法だと発見してくれたので解読の糸口を発見出来ました」
イアンは先ほどのプログラムの横に、3種類の図形を表示させる
「1つ目はベータ地区にブリッツが現れた時に出現した魔法陣、2つ目はギュウガ事案の際に、上空に無数に現れ、火の玉を発動させた魔法陣、そして3つ目がファルベブリッツがギュウガを玉に変えた時に展開した魔法陣を動画から解読し、図形にした物です」
マルティナとライオネルが見比べる
「似てるね」
「って、どういう事です。なぜ似てるんですか?」
混乱するライオネル。自分たちがファルベに変身する時も魔法陣が現れる、それもまたこの図形と酷似しているのだ、混乱するのも無理はない
イアンは頭を搔く
「なぜかは、正直分かりません。しかしこの魔法陣の力をプログラムに落とし込んでいる事は確かです」
「つまり、それって…魔法陣は、魔法ではなくて、科学…前に隊長が仮説を言っていた…」
ライオネルは、マルティナをみる
「モンスターの文明がある可能性があるって事だよね」
「はい、爺さんは何かしらの方法で、その文明とコンタクトを取り、重力をコントロールする魔法陣を知っていた…それをプログラムに落とし込んでシステムを構築したのだと思われます」
イアンの説明に2人は、呆然とする
すると、ウィリアムが話し始める
「魔法陣の解読が進み、ブラックボックスが解消され、この魔法陣技術を世に送り出す事が決定しました。これからアーガスハイインダストリーに、新たなプログラム開発部を立ち上げ、魔法陣を使える、生み出す事が出来る人材を育成する為にも、まず家庭用航空機などの機体に搭載し、一般販売する事になったのです。ですがまだ、どうやれば何をコントロール出来るか、データ化出来るかは分かってないんです、なのでカプトの整備班の皆様にこの技術を教えて、解読して欲しいという願望もあったりします」
ライオネルはポカンとしている
「なんだか、凄い時代だなぁ」
「凄いなんて物ではないよライオネル君、火や水をデータ化する事が出来て、出し入れ自由になるかもしれないし、ブリッツがギュウガを玉にした様に、生きている者もデータ化出来てしまうかもしれないんだ」
「それって、ギュウガをまた出現させる事が出来るって事ですか?」
「ギュウガの力だけを出力する兵器も作れるって事だよ」
その言葉を聞き、ウィリアムの目が光る
「兵器なんて、まだまだ先の話ですよ。昔あったアニメや漫画みたいに、何でも取り出せるポケットや、ペットをカプセルに入れたり、家やバイクや武器をカプセルに入れて、いつでも取り出せる時代を作りたいのですよ。この技術を【マジックポケット】と仮称してます」
ウィリアムは笑顔である
その後、工場の案内や、新型のスペック紹介、実機の確認、そして夕食をアーガスハイインダストリーの社員達と同席する2人
その間、ライオネルは【マジックポケット】の可能性と危険性をだんだんと理解していく




