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戦闘動物保護部隊CAPUt!!〜愛しい駆除対象の英雄たち〜  作者: 柴犬乃ぐんて
第1部【戦闘動物保護部隊CAPUt】
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46/102

EP13 休暇!!思い出の地へ 2/4

白を背負って、個室区画へ向かうカナタ。白はカナタの背中でスースーと寝息をたてている


「…カナタ」


白は寝言の様にカナタの名を呼ぶ


「なんだ?」


返事は返ってこない、やはり寝言なのだろう


「……カナタ…」


また白が寝言を言う

ふふっと笑みをこぼすカナタ


「…カナタ…私の事…嫌いにならないでね…」


どういう夢を見てるのか、半覚醒状態で現実と夢の境が分からないのか、ハッキリと白は寝言を言う


「大丈夫だよ」


カナタは答えてみる

すると、白が言葉を続ける


「カナタの事、好き…皆の事、好き……離れる日が来るのが…怖いの」


白の腕がぎゅっとカナタの身体を引き寄せる


「…私の事…嫌いにならないで」

「うん」

「ありがとう」


白はまた寝息を立てる


「不安…なのかな、どんな夢見てるんだか」


白の部屋に着くと、白の指紋でドアを開け、ベッドに寝かせる


「うんんっ…あっ寝ちゃってた」


背負われてた、うつ伏せ状態から、仰向けに寝かせた事で、少し目を覚ましてしまう白


「運んでくれたんだ、ありがとう」

「うん、じゃあ俺、部屋に戻るよ」

「あっカナタ、休暇中は、何か用事ある?」

「いや、特にないけど?」

「もし良かったらだけど……水族館に行ってみたい」

「あぁ、いいよ」

「ありがとう」


満面の笑みを浮かべる白


「俺も少し寝るから、夕食の時にでも、どこに行くか話そうか」

「うん、じゃあおやすみ」

「おやすみ」


カナタが部屋から出ていくと、白は枕をぎゅっと抱きしめる




翌日のお昼、食堂兼談話室にローズィーが行くと隊員は誰もおらず、整備員の雨宮と整備長のフブキと他数名しか昼食をとっていない

キョロキョロと誰かを探す様に周りをみるローズィー


「誰か探してるのか?」


整備長のフブキがローズィーに声をかける


「いえ、隊員誰も居ないなって」

「隊長と副隊長は、アルファ地区に出張だとかで、朝早く白鷺で出て行ったぞ」

「昨日そんな話をしてたかも、カナタは?」


今度は雨宮が答える


「白ちゃん連れて、カナタの実家に近い水族館に行くって言ってた」


数人の整備員が絶句する。白ちゃんが、カナタとなど声にならない声を出しながら、うろたえる


「2人で?」

「同郷だし、休暇に帰省するついでじゃないのか」

「ふーん」


そこに雷斗がやってくる


「雷斗、お前は帰ったりしないのか?」


雷斗は食券を買いながら


「飯食べたら、月の定期便で地球に行こうと思ってんよ」


雷斗が言う『月の定期便』とは、地球世界政府管轄の公社が運航しており、いくつかの軌道衛星上の宇宙ステーションを回り、月と地球を往復するスペースシップの定期便の事だ。毎日2便、このカプトステーションのある宙域の停留所には、AM9:00とPM14:00に地球方面へ、AM10:00とPM16:00に月方面の定期便がやってくる

自力で大気圏突破、大気圏突入が出来る「アーガスハイインダストリー社」のスペースシップを採用している


「みんな居なくなるのか…私も帰ってみようかな」


ローズィーの家族はもう居ない。だから帰省しても家族に会う事は出来ないが、カプトに入隊してから行けてない墓参りに行く時間があるし、戻れば【アムカ事案】の舞台となってしまったあの街に戻れば、【ホワド】と【ヴァルバリキア】の事を調べられるかもしれない



ローズィーは小さなスーツケースに簡単な荷物を纏める、必要な消耗品は現地で買えばいいという考えだ


軌道衛星上のシャトルステーション、PM14:00の定期便に乗るローズィー。もちろん同じ便に雷斗がいる


定期便はシャトルステーションから出発30分後には、大気圏に突入し、アメリカのフロリダ州にある宇宙港に到着する


現地は5時間の時差があり、すでに夜である


そのフロリダの宇宙港から車で30分の空港から、ローズィーの目的地ニューヨークまでは飛行機で約3時間


車で行く事も考えたが、寝ずに走って明日の朝になる。今日の朝の便で日本に帰ったカナタと白も明日には日本に着くかな、など考えながら、目的のニューヨーク行きの待合室に行くと、雷斗がいる


「ん?ローズィーもニューヨーク行きか」

「それはこっちのセリフだ。雷斗は旅行か?」

「会いたい人がいてな」

「ふーん」


飛行機がニューヨークに着き、機を降り、荷物受取所で荷物を待つ雷斗に、ローズィーは声をかけ、別れる


現地時間で23時を超えているので、ローズィーは空港のそばのビジネスホテルに1晩泊まる


翌日25日、朝からローズィーは目的地へ向かう予定にしていたが、せっかくの休みだ、ゆっくり寝て生気を養おうと、チェックアウト時間いっぱいまで部屋でくつろぎ、ホテルを後にする


雲が多くスッキリとしない空模様

それを自分の心の様だと思いながら、ホテルの近くのショッピングモールで、ウィンドウショッピングを楽しむ


いざ目的地に行こうとすると、中々足が進まないのだ


意を決して地下鉄に乗り、ある高層ビルを目指す


トップ・オブ・ザ・ロックと言われる高層ビルにある展望台で、ローズィーはウェディングフォトを撮影していた。もう一度、その場所に行ってみようと思った。1週間という休暇はこれから増えるかもしれないが、無いかもしれないとも思えた。カプトとして、ファルベとして、前にも増して「いつ死んでも不思議ではない」、この機を逃すと二度とその場所には、立ち入らない気がしたのだ


現地時間、25日17時45分

帰宅ラッシュの時間、ローズィーの乗る電車がホームに着くと、濡れた傘を持っている人達と入れ替わりに電車を降りる

ホームも人が通った跡が濡れており、改札を抜け、地上へ出る階段は水浸しで、多くの人々が雨宿りをしている


「雨か」


構内の売店に傘が置いているだろうか、外に出てビルの間を抜けるか、すぐタクシーが捕まるかなど…考えていると、ローズィーの視線は、雑踏の中、こちらを見る男性と目が合う


そしてその男性は、ローズィーに気づき、ホッとした様な表情を一瞬見せると、目を逸らし、口を一文字に結び、ローズィーに近づいてくる


「ローズ、元気だったんだね」

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