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戦闘動物保護部隊CAPUt!!〜愛しい駆除対象の英雄たち〜  作者: 柴犬乃ぐんて
第1部【戦闘動物保護部隊CAPUt】
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41/102

EP12 レッド覚醒!!放て超必殺技!!!!1/4

 比較的見通しの良い丘の上、レッドは両手を広げ風を感じ、音や匂い、五感でオルトロを探す

 資料で残っているオルトロの写真は、ピントも合っていなければ、シャッタースピードでブレも起こっていたが、2つのオオカミの頭は確認出来ている、しかし全体像が写っているのではない為、五感で探すこのやり方の方が早く発見出来るかもしれない


 シエラモレナ山脈の64地区、禁足地となる前はこの気候に適している常緑樹コルクガシの栽培がされていた、しかし管理者を失ったこの禁足地では、45年以上経っても人が入らなかった為、オリーブやコルクガシなどが乱雑な硬葉樹林を形成している


 このシエラモレナ山脈には、イベリアオオカミが生息していたが、モンスターによりキマイラ化したイベリアオオカミ「オルトロ」により、絶滅させられてしまった、とカナタの持っている図鑑には書いてあった

 そもそもイベリアオオカミが、絶滅危惧種になったのは、人による生息地の減少や家畜被害を理由に駆除された結果だった

 イベリアオオカミは、人の子を育て共に生活していたという逸話も残っている


そんな動物のキマイラ化、レッドはマルティナの言葉を思い出していた


「命と真剣に向き合ってくれカナタ君、君の……いや私達がモンスターの命を奪う行為は、自然の摂理から外れた行為だ」


「私達は駆除という言葉を使って、人間の都合でモンスターの命を奪っているって事を忘れないで欲しい」


「私たちの目的は、動物や人をモンスターから守る事、それこそが我々の仕事だ。だから駆除という仕事は、仕事としてやらなきゃいけない。でも相手の生命を奪うのだから、仕事だからと考える事を辞めるのではなく、効率だけを考えるのでは無く、敬意を持って欲しい…私達はモンスターと戦争をしているんじゃないんだ」


「カナタ君、一緒にやってくれるかい?君にしか救えない命がある」




「俺にしか出来ない、やり方があるかもしれない」


無数の獣の気配がある、大型の獣もいるが、嫌な感じも危険な感じもしない


すると肌に触れる風に、ピリピリとした刺激を感じる

匂いも先ほどから感じる草木の匂いの中にかすかに生臭い血の匂いがする。しかし獣特有の匂いではない。キマイラは捕食しないというのが定説だ、という事は動物が別の何かを捕食している匂いでも無いはずと、レッドは考える


「行ってみるしかない」


レッドは丘を降り、匂いのする方へ走る

5分ほど走った時、目の前の森の中に人影を見つける


「人!?」


注意深くその影を観察する

人にしては大きく、シルエットはよく見れば頭の部分には何もない


『なんだ、お前は』


突然、その森の奥からする声に、レッドは身構える


「しゃべったのか!?」

『鳥か?いや翼が無いな、やはり人か?気持ちが悪いが、言葉も通じるらしい』


森の中から、ゆっくり現れる人影

 人型は人型である。ただしシルエットがそうなだけ、巨大なオオカミが頭から左右に裂け、双方に分かれ腕の様に見えているのだ。割れた身体を補う様に肉や内臓が隆起し、2足歩行で立っているが、その脚は四足歩行の後ろ足の様な形状をしているが、足はオオカミの足を大きくした感じだ

前足だった部分は、骨がなくなり皮だけの鞭の様な触手になっている


「…オルトロ」


レッドがそう呟くと、それが答える


『そんな名で呼ばれた事もあったなぁ。随分と前に思えるが、昨日の様にも思える』


左右に分かれているオオカミの頭がしゃべる


「(しゃべるキマイラ!?)」


これまで対峙したキマイラ、モンスター共に言葉が通じた事は無い、なのにオルトロは自分達人間と同じ言葉を発した


『貴様も待っているんだろ…お前もアムカ様を何年も何年も待ち続けてんだな………いつからか、あのお方の匂いが薄まり感じる事が出来なくなっていったから…しかし今日、あのお方の匂いを感じた』


オルトロの鼻がピクンと動く


『貴様からはアムカ様の匂いがしないな…近くに来ているはずと思ったが?』


声は次第に大きくなり、レッドを威嚇する


レッドの記憶にある【アムカ】は、6年前に北米で災害級に被害を出した【アムカ事案】の名称にもなったキマイラの名前だ

その被害者の中にローズィーとその家族がいる事を、レッドは知っている


『お前もあのお方を感じて、ここに来たのだろう?』

「俺は違う…お前を倒しに来た」


レッドは右手を握るとオーラを纏う


『貴様、俺を殺そうと言うのか、この俺を』


バキッバキッと音がし、オルトロの体が1.5倍に肥大化する



「アムカは6年前に駆除された、お前の飼い主はもう迎えに来ない」

『貴様!!俺は犬じゃないぞ!!』


飛び掛かってくるオルトロ

レッドは両手にオーラを溜め、オルトロとの格闘戦を始める


前足だった触手が振るわれ、レッドは避けながら間合いを詰める。詰め寄ったレッドにオルトロは右の顔で噛み付く攻撃をする

カウンターでその顔を殴ろうとするが、躱され太い脚での回し蹴りがレッドの頭にヒット


レッドは辛うじてその回し蹴りをガードし、直接頭に当たらない様にしていた…が、攻撃出来ずに後退する


それに追い打ちをかけるオルトロ


オルトロのダッシュは、レッドの想定よりも速く、途端に距離を詰められる


今度は左の顔が咆哮をあげる

その声に、一瞬金縛りにあった様に身体が硬直するレッド


2本の触手がレッドを襲う。その触手が数発鞭打ちをすると、ドロップキックの様な両足蹴りをレッドに打ち込む


レッドは転がり倒れるが、受け身を取り、すぐに立ち上がる


『その刃は飾りか!?』


レッドの腰に付いている刀を見ながらオルトロは笑う


3人が通常攻撃に使うオーラは、同じ性質を持っているが、一度に形成出来る量や継続力などに差がある


容量はグリーン>レッド>ブルー

継続力はブルー>グリーン>レッド

形成能力はグリーン>レッド>ブルー

瞬発力ではレッド>グリーン>ブルー


一撃の破壊力は、レッドが1番高い


ブルーやグリーンが言うには、金色のスーパーオーラを使用すると、感覚的には、出力が10倍になり、自分に触れている物までオーラの影響を受ける様になる。ただし継続力はブルーの場合は、いつまでも使える感じだったが、周りの瓦礫を集めて巨大化したファルベキング(仮)のグリーンは、継続力は普通のオーラより格段に落ちていると感じた。2人はスーパーオーラを使うと、破壊力、形成力、瞬発力は10倍以上に上がるが、継続力は比例して落ちると仮定している


つまりレッドがスーパーオーラを使える様になったとして、威力は2人よりも格段に上がるが、使用回数や時間は2人より制限があり、一撃必殺の技になると踏んでいる


だがレッドは、そのスーパーオーラの覚醒に至っていない


「(条件がやはり違うのか!?)」


キマイラとの接触がスーパーオーラの覚醒条件ではない様だ




クロ助の導きで、カナタのいる場所を探すライオネルとローズィー


「あっ!!」


と、ローズィーが声を上げる


「どうした?」


ローズィーのドローンバイクが止まった為、ライオネルも止まる


「なんかブレードの回転が落ちてる」

「そうか、速度合わせようか?」

「いえ、先に行ってて下さい。何か詰まったのかも、少し見ます」

「そうか?」

「もしカナタがピンチになったら、誰かがすぐ助けないといけないんだから、行って下さい」


ライオネルは心配をするが、ローズィーの言葉を了承し、先を急ぐ

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