EP11 軍と軍事産業と新任務3/4
パーティー会場になっている超高層ビルのホテルのエントランス。地球世界政府高官達を見送るマルティナやタンなど、地球世界政府軍の隊員達
腕時計を見るマルティナ。その横にはタンが居る
「そろそろ部屋に戻らないと」
「朝イチの便だったか」
「はい」
近くにいたサイラス少佐に声をかけ、自室に戻ろうとするマルティナ。タンもそれを追うように、周りに挨拶をする
タンは小走りに急ぎ、マルティナとエレベーターで追いつく
「…何か掴めたか。無理してでもこんなパーティーに顔を出したかいはあったか?」
「ブリッツという不確定要素が現れても、彼らが考えてる事は、モンスターがいなくなった世界の覇権争いだと言う事は、よく分かりました」
マルティナはどこか物悲しく、淡々とそう言葉にする
タンは、そんなマルティナを憂う
エレベーターが来ると2人は乗り、マルティナは65階、タンは78階のボタンを押し、動き出す
「6年前…ローズィーがあの怪我を負った【アムカ事案】で、地球世界政府が把握している強力なキマイラ、アムカは居なくなり、モンスターは権力を維持する為の『道具』でしかなくなった…ブリッツを殺れば…政府軍も戦争の道具になる日も近いだろう」
「そんな事…私は認められません…」
「アーガスハイインダストリーは、50年前の【太平洋大災害】の前から、秘密裏に何か動いていた事は掴んでいる。彼らの尻尾を掴もうにも、ここまでカプトを縮小されては、私も動かす駒が少なくなってしまった…許して欲しい」
「司令が謝らないで下さい…私も戦争を止めたくて、軍からカプトに移籍したんです。貴方に憧れて…」
「もう7年も前か」
「移籍は7年ですが、8年前です。あの合同作戦は…」
「ライオネルも一緒だったな」
「はい」
「8年前と6年前の動きは、25年前のモンスターの脅威終息宣言に似ている。あの時も元々カプトに所属する前から動物保護の為に戦っていた私達は反対したが、無視されたよ。実態とは乖離していたからな。そして今回だ」
「…」
「ブリッツの脅威があるにも拘らず、権力争いの為の戦争の準備を始めているとみていい…彼らのシナリオを、戦争のきっかけにする事柄を先に潰せれば、戦争は止められる…8年前と同じ様にな」
「はい」
「マルティナ。政府軍、並びにどの国にも霊獣の力を奪われてはいけない、その力を彼らは戦争に使おうとするだろう。カプトが霊獣を手に入れても、霊獣の力を手に入れたカプトを潰しにかかる可能性もある」
「はい、わかっています」
「ファルベ達が霊獣の力を手に入れて、人類の敵になれば、当分は人類同士で争う事は無いかもしれんが、その時は人類は滅んでしまうだろう…どうサイコロが転んでもマルティナ、お前は茨の道を進む事になるぞ」
「わかっております」
「私はお前たちを本当の家族だと思っている。くだらない戦争を止めて、モンスターの脅威も駆逐し、生き残ってくれよ」
「はい」
「アンホの中に私の同志がまだいる。お前たちの援護は任せなさい」
「はい…司令」
65階に着くが、マルティナは降りずに扉を閉める
すると再び上昇するエレベーター。突然タンに抱きつくマルティナ
「おいおい、嫁に怒られちまう」
タンはおどけるが、マルティナはタンに抱きついたまま
「私は、貴方の娘です。私たちは貴方の子だと思っています。司令は奥様とお嬢様の命を…顧みず…私たちの、人類の命を救って下さった、絶対にこの恩はお返し致します」
「ありがとう。だがお前達の命あっての事だからな」
タンは優しくマルティナの頭を撫でる
78階に着き、降りるタン。マルティナは再び65階を押す
「このまま部屋まで来るのかと思ったぞ」
笑ってみせるタン
「先に向こうに行ったら、奥さんに言いつけますよ。セクハラが酷いって」
マルティナはそう言いながら、敬礼をし、扉を閉める
タンはエレベーターの減少する階数表示を見つめ、65階で止まったところを確認すると、自室に戻っていく




