EP11 軍と軍事産業と新任務2/4
同刻
イプシロンステーション改め、カプトステーション
食堂 兼談話室
入口から入って一番よく見える壁に手作りの看板が天井から吊るしてある
【新生カプト!!&アンホ(小さく)誕生お祝いパーティー ステーションVer】
と書かれている
ビュッフェ形式で料理が並び、基本的には立食だが、部屋の隅に椅子が並べられている
「私も超高級ホテルの料理食べたかったなぁ」
平皿にミートソースパスタと唐揚げを2つのせ、椅子に座って食べている白は、今頃豪華な食事をしているであろうマルティナを想像する
「出席者もいつものメンバーだしねぇ」
整備員の男どもが料理に群がり、平皿に味が混ざってしまうなど細かい事は考えてないのだろう、これでもかと積み上げている
「せめてもっと落ち着いて食べて欲しいわ」
唐揚げを一口食べる白。その隣にはカナタが居る
「再編成されても、賑やかで良かったじゃないか。整備員の皆イプシロンの時と変わってないんだし」
「でもタン司令はアンホに行っちゃったし、事務員さんも半分異動で、キムさんと経理の山田さんの2人になっちゃったよ。今日は隊長もいないから寂しいよ」
白は、パスタをクルクルと巻き続けながら話す
「白は隊長好きだよなぁ」
「うん大好き。カナタも好きでしょ?」
「隊長は凄い人だよ。尊敬はしてる」
「なにそれ、好きでいいじゃん」
「隊長を好きって言うのは、あの人みたいな人を言うんだ」
カナタの指差す方向に、ライオネルがいる
騒がしい輪から離れ、物思いにふけながら、赤ワインをグラスで飲んでいる
「副隊長は、司令がいなくなって寂しがってるだけだよ」
「白、よく見て。飲んでいるのは赤ワインだ」
「それがどうしたの?」
「副隊長は日本酒が大好きで、タン司令はビールが好きなんだ、司令を思うなら、ビールを飲むだろ?」
「そういうものなの?」
2人が観察するライオネルは、赤ワインを一口、口に含み、ゆっくり飲むと、ため息をつきながら、また虚空を見つめる
「今日のパーティーな。隊長は赤のドレスを着るらしい」
「えっ本当!?それで赤ワイン飲んで物思いにふけってるの!?キモくない!?」
「なぁ」
2人は笑いながら楽しく話す
そんな2人を見ている雷斗。雷斗の周りには整備員の女性陣が場所を取り合っている
白を観る雷斗は6年前、18歳の時の事を思い出す
破壊された荒れ果てた大地、軍の兵器やモンスターと軍人達の死体が辺りに散らばっている
その中でモンスターとは違う形状の化け物が、雷斗に言う
「私が彼女を止めるから、その時が来たら、君の手で終わらせて…雷斗」
「どうしたんですか?」
雷斗の隣にいた整備員の大岡ミオが、雷斗の表情がどこか気持ちがここに無い様な気がして尋ねる
「ちょっとこの時間が長く続いて欲しいなって思ってさ」
雷斗はミオの皿からウィンナーを取って食べると、ミオは頬を赤らめる
ローズィーがその行為をみて、雷斗の頭を叩く
「っ、なんだよ」
雷斗は叩かれた事に驚き、声をあげる
「お前は本当に…」
ローズィーが呆れているが、ミオは気にしないで下さいとジェスチャーをしている
ローズィーと雷斗は言い合いをしながらも、みんなでワイワイと賑わい、食事を楽しむ
時計は夜の22時を示す
「さぁ、そろそろお開きにするか」
ワインで顔を赤くしているライオネルが、そう言うと、皆で食堂を片付け、洗い物、ゴミを集める者、酔って寝てしまっている者を介抱する者など三者三様、千差万別に動き、料理を提供してくれた調理スタッフさん達に感謝を述べながら、食堂を後にする
「明日、隊長が帰ってきたらミーティングだ。13時には戻るそうだから、それまでに起きて準備しておけよ〜」
「了解」
ライオネルが言うと、隊員達は返事をする…が、ライオネルはその返事をあまり聞いていない様子だ
「副隊長、どうしたんだ?」
ライオネルの様子にカナタは心配をするが
「隊長がいないから、酔っ払ってるだけじゃないの?」
と、ローズィーは眠そうに目を擦りながら「じゃあ、おやすみ」とすぐに自室に戻っていく
1人食堂に残っているライオネルは時計を見る
針は22時半を回っている
ふ~っと長く深いため息
「隊長…俺は心配ですよ…戦乙女を利用しようとする者を蹴散らす…せめてアナタのヒーローになれれば」




