EP10 解散!!イプシロン隊4/5
30分後、白鷺、カササギを待機させている広場に、現地警察と公安警察、政府軍がごった返す
茶部の身柄は公安が逮捕拘束するが、政府軍の介入は避けられないだろう
「捜査には協力するが、後は彼らの仕事だ。我々は口を出せないな」
マルティナは、みんなを集めて話す
「カナタ君、災難だったね」
「いえ」
肩を落としているカナタの様子をみるマルティナは、自分のリサーチ不足も嘆く
「茶部がギュウガ事案の指揮をしていた事は私も調書で知ってはいたが…まったく」
挙手するライオネル
「隊長、いいですか?」
「なんだいライオネル君」
「レーザーライフルなんて代物を、地球世界政府軍の尉官に渡す《《軍》》が存在しているって言う事でしょうか?」
「それは一概に言えないよ。企業からの横流しかもしれない、日本にも重工業の工場はあるからね」
確かにそうだ、カプトの特殊弾も日本で生産されている
「しかし政府軍がカプトに偽情報を渡した事…茶部さんの単独犯でしょうか?」
「ライオネル君、君の心配はもっともだし、私も個人的には気になる所ではある、しかし我々には捜査権はないんだ。いいかい?今回の事については我々は被害者以外の立ち振る舞いは出来ない」
その時、遠くで大勢の叫び声が聞こえる
「熊だ!!!!」
すぐに声の方へ走る一同
現地警察と政府軍の兵が集まる場所の森林側に、ライトで照らされている熊が確認出来る
「やめろ!!撃つな!!」
誰よりも先に兵達と熊の間に割って入るカナタ
「絶滅危惧種のツキノワグマだ。皆そのまま下がって」
熊の方を見ながら、兵達に下がる合図を送る
マルティナやライオネルは、対処方法を小声で兵達に教えながら、下がる手助けをする
カナタは、疑問に思う。ツキノワグマは基本的に昼行性だ。こんな夜中に、しかも人が集まっている場所に現れるだろうか?
ツキノワグマの様子を観察する。耳に赤いタグが付けられている
「お前、そうか」
その赤いタグは、茶部が怪我させ保護した個体に付けた物で、カナタは度々保護された施設を訪問したり、ウェブで声をかけていた
この森へ返す時も、この場所だったし、カナタはそれにも立ち会っている
あの時、何度も何度も振り返り、森へ帰る熊は、確かにこの赤いタグが付けられていた
その個体の後ろに小さな個体が2匹いる
「子どもを見せに来てくれたのか?ありがとうな。でもここは危険だから森へお帰り」
熊は、それを理解した様に、森の中に進んでいく
小熊も後を追うが、カナタはその姿を見て、ハッとする
色が、ツキノワグマではない…暗がりでちゃんと見えたわけじゃない、しかし茶色掛かった毛色に見える……つまりハイブリッドの可能性が…
カナタは後ろから肩を掴まれ、ビクっと反応する
掴んだのはマルティナだ
「カナタ君、これも我々の仕事ではない。それに不正確な情報を地元猟友会に渡して、ツキノワグマを駆除されても困るからな。司令も言ってただろ、静観だ」
「はい」
「これは誰の問題なのか、よく考えなければ、必要以上に傷ついたり、傷つけたりしてしまう。もしあの子がハイブリッド種で、人間に被害を出しても同じ事だ。我々にはどうする事も出来ない」
「はい」
「君は、あの子達を害獣として見てないよね。きっと猟友会の人達も同じなんだ、でも仕事としてやらなければいけない時がある…我々と同じだ」
「はい」
「あの子も君に子供を見せたのは、殺させる為じゃないだろ?」
「はい」
色々あって気落ちしているカナタの頭を、ワシャワシャと撫でるマルティナ
すると、マルティナは振り返り、その場にいた皆に言う
「さぁ、撤収だ。昼行性の動物を起こすくらいの騒ぎは終わりだ。いいな」
全体の撤収作業が開始され、カナタ達も作業を開始する
カナタはマルティナを見る。各所に的確に指示したり、意見を聞いて、こちらの行動を変えていたりしている
立ち止まりマルティナを見ているカナタに気づく白
「カナタ〜、作業しなよ〜。隊長に見惚れないでよ」
「そんなんじゃないよ…隊長ってさ、やっぱり凄いなって」
尊敬の眼差しでマルティナを見ているカナタの目は、純粋で光っている
「そりゃ隊長だもん」
白も何故か自慢する様に言う
「モンスターも助けたいって思ってる人なんだろうな」
その言葉に、白は先ほどまでとは違い、少し嬉しそうに
「……うん、そうだよ」
とカナタの言葉を肯定する




