EP10 解散!!イプシロン隊1/5
作戦室にカナタ達が集まると、タン、マルティナ、ライオネルが遅れて入ってくる
「すまない、状況は?」
タンがオペレーターのキムに聞く
「今回は日本、旧東北地方、ツキノワグマが生息する106地区でモンスターの目撃報告です」
「なるほど…知っての通りツキノワグマは大災害後、数を大きく減らし、絶滅危惧種となっている。それからこの地区では、時折ヒグマとのハイブリッド個体が確認されている」
タンが言うと、カナタは、なんとも言えない悲しそうな表情をする
「ツキノワグマも種を残そうと必死なんでしょうけど、それでハイブリッド個体を産んでしまっているのが現状です。21世紀の前半は、ハイブリッド個体はUMA的に語られるだけだったらしいけど」
その表情をみるマルティナは
「ハイブリッド個体はヒグマよりも凶暴性が増していると思われる。現場は森の中になるし、モンスターと戦うにしても、ツキノワグマを保護するにしても、接近戦が想定される」
マルティナは、カナタの目を見る
つまりカナタの剣術スキルにかかっていると言っているのだ
「ハイブリッド個体が、モンスターに融合されるのが一番厄介か」
ライオネルは、確認する様に言うと
「ハイブリッド個体は駆除対象ですか?」
雷斗の質問に、タンが答える
「難しい質問ではあるが、襲われない限り、我々の立場としては、静観したい……ツキノワグマの個体数を守るのであれば、駆除も選択肢ではある」
タンの返答に、雷斗は不満な表情が垣間見える
「住宅地区に近ければ仕方がないんじゃないか?」
ローズィーがそう言うと
「それは、大丈夫です」
キムが端末を操作し、近隣マップを表示する
「今回のモンスターの目撃報告は、政府軍からの情報です。住宅地区より20km離れているツキノワグマ生息地区で、上空を飛行中にモンスターらしき影を目撃したと」
「らしき?」
ローズィーが疑問を持つ
「不確定な情報です。なのでカプトに任せると」
「妥当ではあるけど…」
ローズィーには、ある懸念が生じる
「ここって…去年のあの件の場所に近いんじゃ…」
「去年保護された個体は、適正な治療を受けて保護区へ返されたよ。でも絶滅危惧種なんだ、そうそう会えはしないよ」
カナタは、少し嬉しそうに話している。ローズィーは、その表情を見て、カナタが気にしないのであれば、これ以上言う必要もないので、黙る
パンっと手を叩くマルティナ
「では任務を整理する。我々はこれより旧東北106地区に向かい、モンスターの索敵任務を行う。目撃が未確認の目撃例の為、現地到着時より24時間を目処にする。ツキノワグマ保護地区でもある為、武器の使用には最大限の厳重な注意、ハイブリッド種を発見しても、駆除は基本的には現地の猟友会に任せる事、襲撃時のみの対応を行う…以上で宜しいですか、司令」
「承認する。今は政府軍の軍縮に伴い、カプト本部もバタバタしているのが現状だ………」
タンは、言葉に詰まると、ゆっくり話し始める
「先ほどの会議で…」
「司令、今は」
「いや、マルティナ、こういうのは早い方がいい。24時間後には状況は変わっている。任務中に聞くよりもいいだろう?」
「…了解」
ライオネル以外の4人は何事だろうと、顔を見合わせる
「明日、グリニッジ標準時10月27日AM0:00より、我々イプシロン隊は、イプシロン地区の任務から外れる」
4人は声を出して驚く
「どう言う事ですか!?」
「クビですか」
「待って、意味がわかんない」
「うるせー、司令の言う事聞けよ」
と、ガヤガヤと話し始めてしまう
すると、またマルティナはパンっと手を叩き
「とは言え、任務優先だ。任務中は我々はまだイプシロン隊だ。先に言っておくが、新たな任務を任されるだけだ。しかしまだ辞令前の為、詳細は言えない」
4人は明らかに不満な顔をする
「そんな顔をされても、私は何も言えないぞ…司令が勝手に情報を漏らしただけだ」
マルティナは、困りながら、タンをジト目で見る
「0時までは、私が言ったと言う情報を漏らすなよ。ガハハハ」
タンは笑うが、他は誰も笑っていない
「第1小隊は、白鷺にて上空から索敵。第2小隊は、森林を索敵」
「了解(一同)」
『整備員は退避。各機発進シークエンスに入る』
2機のスペースシップの格納庫から整備員が捌ける
『気密ロック解除、昇降機ダウン』
格納庫の床がゆっくりと下がり、宇宙空間へ出る。眼下には地球が広がっている
『1番機、どうぞ』
「了解、こちら1番機SUN099「白鷺」ギアロック解除」
マルティナがギアロックを解除すると、タイヤが機体に格納される
「白鷺、出ます」
発進する白鷺
『2番機、どうぞ』
「2番機SUN105鵲。ギアロック解除する」
同じくギアロックを解除するライオネル
「カササギ、発進する」
発進する2番機カササギ
『ダストコンテナ、エアロックより射出します』
キムの号令で、射出されるダストコンテナ
白鷺、カササギ、ダストコンテナが大気圏に突入していく
その様子を作戦室の大型モニターで見る、タン
周りには10人ほどの整備員がいる
モニターに映されているダストコンテナが、バッと明るくなって消失していく
その様子を見て、嗚咽する、泣き叫ぶ、敬礼し涙を浮かべている整備員達
「特別に最後を見せたんだ。早く仕事に戻りなさい」
タンが優しく言うと、泣きながら感謝の言葉を述べ、整備員達は退出する
「現在のイプシロン隊、最後の出撃ですものね。整備員さん達もお辛いんでしょう」
「彼らはまだ、知らないよ。辞令は明日出るから」
「えっ!?」
「彼らが見ていたのは、ダストコンテナさ」
「あのダストコンテナに何が?」
キムは首を傾げながら、タンに問う
「彼らの生きる希望だった物だよ。辛いが仕方がない」
「????」




