EP1 戦闘動物保護部隊CAPUt(カプト)2/4
第四次世界大戦は終結、モンスターやキマイラの戦闘と、在来生物を守る動物保護の観点からキマイラを生み出さない取り組み、あの太平洋爆発はなぜ起こったか、海面上昇と地殻変動による人道支援を優先的に行える組織が必要だとし、地球世界政府が誕生する。その組織の誕生にも利権絡みの大国の意思はあるが、ここでは割愛する
モンスターは2年という驚異的な早さで地球を蹂躙した。しかしその後の終息も早かった
モンスターの襲来から5年、モンスターはあらゆる地球生物と交配し、数多くのキマイラが誕生していた。モンスターには通常兵器でも対処可能だったが、キマイラはモンスターと別の種との交配の為、それが陸海空のどの生物であるか、何科の生物との交配であるか、一次的な戦闘では正確な対処が難しく、駆除は熾烈を極める戦いになり、多くの人命を奪う結果になる事が多かった。この頃にようやく地球世界政府が発足される
モンスターの襲来から12年、各地でモンスターに対抗していた各国の有志は、地球世界政府直属の部隊に任命され、統率。戦闘動物保護部隊(combat animal protection unit。通称CAPUt)となる。カプトが設立してからは、多くの税金、武装も投入されたが、キマイラは交配能力はなく、種を保つ事が出来ないという研究が発表される。つまりキマイラが増えれば増えるほど、モンスター同士の交配が出来ず、モンスターの絶対数が減り、モンスター襲来から25年経った頃には、人類の驚異となる数の生物にはなっていなかった
各国にあったカプトは縮小するが、即時対応も求められる仕事でもある為、「α】ヨーロッパ・北アジア(シベリア)」「β】北アメリカ・ラテンアメリカ」「γ】アフリカ、西アジア(オリエント)」「δ】中央アジア・南アジア」、「ε】東アジア・東南アジア・オセアニア」の五つの区分けをし、それぞれ軌道衛星上に宇宙ステーションを有し、即時に各国に部隊を派遣出来る体制を整えていた...その計画が完了したのが、今年の1月、つい半年前の事である
軌道衛星上にある宇宙ステーションと言えば、SF要素満載の夢物語に感じるが、実状は30年前の旧式スペースシップを改修して大気圏再突入も離脱も可能にした機体が2機、それを押し込める様な巨大な格納庫。それに取って付けたような六畳一間の整備員と隊員たちの居住スペースと簡素な談話室、兼食堂。会議室や隊員の控え室も簡素な作り
宇宙の孤島。宇宙の監獄。宇宙漂流の刑など散々な言われようだった
「飲まなきゃ、やってられるか」
「司令が言うことではないですね」
次の日、結局遅刻して会議室に現れたタン司令、マルティナに叱られ言い訳をする
「隊長、しょうがないです。我々の部隊には娯楽が少なすぎます」
「今日の任務で日本のお土産、司令に買って帰りますから」
「やはり日本酒が美味いからな、酒がいいですよね」
「隊長、話を進めて下さい」
「部隊の精神安定剤として、ペットを飼う許可を!!!!」
と隊員たちが思い思いに話し始め、マルティナは大きなため息をつく
「はい、じゃあ。今日の偵察任務を無事にこなし、目標を確認。あわよくば駆除した者の意見を1つだけ採用しましょう」
マルティナがそう言うと、わーーーっと1人を除いて隊員が喜ぶ
「では、作戦の概要を説明する」
今度は皆がマルティナに注目する
「日本の旧関西地方に鳥類のキマイラが5日前に目撃されています」
マルティナがそう言うと、隊員たちがざわつく
「ごめんなさい隊長、いいですか?」
「なんだい、カナタ君」
カナタ・マテラスが発言を求める
「5日も前って、なぜ緊急出動がされないんです。地域住民の被害は?」
「いい質問だよ。この任務は先程も言ったが、基本的には偵察任務。あわよくば駆除なんだ。カプトには5日前の目撃という報告が来ているが、現地の役所に確認したところ、40年以上前にすでに目撃例があり、それから幾度となく目撃されている。戦後の混乱時にモンスターから住人を守ったとの記録があると言う」
「40年以上前!?モンスターから守った、マジ!?」
普通のキマイラではあり得ない行動に、最年少の女性で金髪ロングの三つ編みをシニヨンにした元橋 白が唖然とする
「そう、だから近隣住人は駆除をためらっている。その鳥類キマイラは20mを越える金色のカラス...しかし5日前に目撃した時は、そのキマイラは真っ黒になっていたらしい」
「それで、金色から黒に変化し有害なキマイラになってしまったか、または別個体か、偵察しろってか」
銀髪のサブリムマッシュ、奥二重の黄色い瞳、女性整備員のアイドル的存在である城 雷斗が口に手を当て考える
「あぁ、察しがいいな、雷斗君。そもそも害がないキマイラというのも、考えがたいし、同じ姿のキマイラの目撃例も現在まで世界で報告はない」
「交配し子孫を残した可能性も視野にいれるべきですね」
ライオネルが発言すると、青い髪のウルフボブ、身体のラインは太すぎず、細くもない男性顔負けのマッシブルな筋肉をしている女性、ローズマリー・タケハヤ(通称ローズィー)が問題点を指摘する
「難しくないですか?通常の索敵任務は通常兵器で対処可能なモンスターが対象です。今回はモンスターの索敵ではなく、万全の対策で望まなきゃいけないキマイラの索敵をするんですよ。しかもその相手が無害か有害か分からないなんて...」
「ローズィー君の言いたい事はもっともだ。基本的には考えられる最大級の武装をし、任務に臨むべきだろう」
マルティナ隊長の言葉に、先程や普段は賑やかな隊員達が真剣な目付きをしている
つまり索敵任務とはいえ、死を覚悟しなければならない状況に陥る可能性が非常に高いという事だ
その重い雰囲気にタン司令は口を開く
「私は基地司令という立場である為、現場に出向く事は出来ない、しかし私は皆をある意味家族以上の存在だと思っているし、それは整備員や非戦闘作業員も同じだろう。直接手助けをする事は出来ない事がくやしい。絶対に無理はするな。自分達も現地の住人達も全員生きて帰る事を優先しろ」
「了解(一同)」
一呼吸おき、マルティナが指示を出す
「我々カプトε(イプシロン)、これより目的地、旧関西34番地区の住人への現地情報精査を第1小隊、私、雷斗君、白君。キマイラ索敵班は第2小隊、ライオネル副隊長、ローズィー君、カナタ君。今から17分後、午前11時40分に各機に搭乗し、45分に発進する」
「了解(一同)」
「司令、行って参ります。帰ったら2時間半の遅刻のペナルティ受けて貰いますね」
「ね(一同)」
「わかった、わかった。早く行ってこい。そして早く帰ってこい」
「了解(一同)」
『整備員は退避。各機発進シークエンスに入る』
2機のスペースシップの格納庫から整備員が捌ける
『気密ロック解除、昇降機ダウン』
格納庫の床がゆっくりと下がり、宇宙空間へ出る。眼下には地球が広がっている
『1番機、どうぞ』
1番機には、マルティナ、雷斗、白が搭乗している
「了解、こちら1番機SUN099「白鷺」ギアロック解除」
マルティナがギアロックを解除すると、タイヤが機体に格納される
「白鷺、出ます」
白鷺のエンジンが回転し、疑似重力システムが作動、前部に疑似重力を発生させ、機体が前傾姿勢を取ると、後部ノズルから推進剤を噴射すると、一気に格納庫から飛び出し地球に向けて降りていく
『2番機、どうぞ』
2番機には、ライオネル、ローズィー、カナタが搭乗している
「2番機SUN105 鵲。ギアロック解除する」
同じくギアロックを解除するライオネル
「カササギ、発進する」
同じシークエンスで飛び出す2番機カササギ
2機は地球の青色に吸い込まれていく




