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戦闘動物保護部隊CAPUt!!〜愛しい駆除対象の英雄たち〜  作者: 柴犬乃ぐんて
第1部【戦闘動物保護部隊CAPUt】
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2/102

EP1 戦闘動物保護部隊CAPUt(カプト)1/4

これは未知の生命体の出現したのち、生態系が崩壊してしまった世界で、未知の生命体と戦いながら動物保護をする部隊に所属する青年達が


【神の使い】と出会い


特別な力を経て『変身』し


人類と動物と【神の使い】たちを守る為に


仲間を信じ

仲間を助け

仲間に助けられ


傷つき

笑い

喜び

悲しみ


仲間と戦い

仲間を倒し


夢の世界を目指すまでの物語





▽▽▽▽▽



子供の頃、TV番組でサバンナの特集を見た事がある


ある母ライオンの物語


老いたオスを中心としたライオンの群れにいた、母ライオンと2匹の子供

ある日、別の群れの若いオスが老いたオスを襲い群れを乗っ取った。若いオスは、次々と群れの幼獣を殺し始めた


我が子を守る為、群れから離れた母ライオンは2匹の子を連れてサバンナをさまよい、子を育てていた

ライオンはメスが集団で狩りをする動物だ、1匹だけの母ライオンは狩りが難しく、2匹の我が子を満足に食べさせる事が出来ず、母は4日も満足な獲物を得ていなかった


サバンナのオアシス、茂みの中、体勢を低くし辺りをうかがう母ライオン

そこに群れから離れていたシマウマの子供が水を得る為にやってくる


近くに寄れば飛びかかれる


母ライオンも体力がなくなっている、目と鼻の先にしか飛びかかれない


あと一歩

あと一歩



子に食べ物を与える為に

子の命を守る為に


あと一歩


ピクンと耳を立て、顔を上げるシマウマ


警戒された!!

バッと茂みから飛び出す母ライオン

シマウマはそれに反応し、飛び上がる

飛び上がったシマウマに合わせ、爪をたて、ジャンプし喉仏に食らいつく

空中で回転し、地面にシマウマを叩きつけた


母ライオンは、獲物を得たのだった


番組は子育てを頑張る母ライオンの感動の物語として放送されていた

しかし僕は思った


子を亡くしたシマウマの悲劇の物語も、同時にそこに存在しているんだ




動物図鑑のライオンのページを見ながら、その番組を思い出す青年


赤毛のくせっ毛、細身であるが筋肉質で日々鍛えられている事がわかる腕、名前はカナタ・マテラスと言う


彼が見ているライオンのページには “ 絶滅 ” の文字がある


「ライオンって、どんなに勇ましかったんだろう」


TV番組で見た過去の資料映像としてのライオン

カナタは絶滅したライオンと言う動物に思いを馳せた 


時計を見る


20:59


「あっ司令が出てる番組」

そう言いながら、モニターの電源を入れる


◆◆◆◆◆


2XXX年。空が突然大爆発を起こした


 爆発した空は太平洋の広い範囲。日本、オーストラリア、中国の観測記録によると、巨大な魔法陣にも似た何かが空を覆い、爆発を起こした...と言われている。なぜならその情報も正確では無いからだ、爆発は大気圏外にも影響を及ぼし、多くの気象、軍事衛星も軌道がズレ落下、国際宇宙ステーションが唯一、その魔法陣らしき模様の撮影に成功していた

 爆発による巨大な津波が多くの都市を飲み込んだ、そして同時に大規模な地殻変動により20m以上海面が上昇し、多くの島国と太平洋沿岸部の国が一瞬で壊滅してしまったのである

 世界的に大規模な人道支援を必要としていたが、中東戦争から派生したヨーロッパ戦争により、大国は身動きが取れなかった


 爆発から1週間後、津波から難を逃れていた各地にも災いがやってくる。見たことの無い獣の群れが、人や生き物を襲っていたのだ


 表だって戦争に参加していなかった国は、軍を派遣しそれに対応。しかし軍事力の少ない国はその獣に多大な被害を出す


 ヨーロッパ各国は戦争を継続していた為、対応に遅れ多大な被害を出し、世界はその謎の生物「モンスター」に対応を迫られた

 モンスターは爬虫類とも哺乳類とも違うゴツゴツとした肌、ヒトデの様な外見を持っているが、2足歩行の生物のように歩き、足と手と頭の部位が決まっているわけではなく、一番高い位置にある突起を頭のように動かす。

 先端には目があるが、そこを切り落としても、別の突起部位に目が開き、その部分を一番高い位置にし、頭の様に動かす


そしてその生物が暴れると、電波等の通信障害を起こし、混乱を生んだ


まさに未知の化物だった


 一ヶ月後、仮にモンスターと言われていた獣の遺伝子の解析が進むと地球の生物ではない事が結論づけられ、宗教戦争の色合いが強かった中東戦争は戦う意義を失い、それに伴うヨーロッパ戦争はモンスターの対応に注力する事で停戦。第四次世界大戦は終結した...が、モンスターの被害は終わらなかった


1年後、モンスターが在来生物と種を残す事が判明する


さらに1年後、地球はモンスターに蹂躙され、生態系は破壊されていた



「戦後50周年、太平洋大規模災害を考える!!」と言うTV番組が放送されている。


MCのタレント、動物の専門家、若いコメンテーター、女子アナウンサー、そして少し体脂肪を蓄えた体格のいい軍服の老人が掛け合い、戦後の説明をしていたのだ


「モンスターと在来の地球生物が交配し生まれた生物を「キマイラ」と呼ぶのは、なぜなのでしょうか?」


 女子アナが動物専門家に尋ねる


「キマイラとは、人工的に病原体などを作製し、基礎研究に用いられたりと、医学、遺伝子学、発生生物学など色んな分野で研究されている生物学のキメラの語源ともなった神話の怪物です。モンスターとかけ合わさり、遺伝子が混ざり合い、モンスターと元となった種の特徴を持つ新種をキマイラと呼ぶようになったのです」


 それを聞きコメンテーターが発言する


「最初にモンスターが発見された時、大国の生物兵器を疑われたと聞いてます」

「はい。ですから大国はモンスターの死体を回収し、遺伝子解析を進めました」

「そこでも大国同士で争ったんですよね。人類の危機にどうかしてますよ」

「でも今だから言える事ですよ。当時はまさか地球外生命体とは誰も思いませんでしたから......世界大戦中でもありましたし、各国が疑心暗鬼になっていましたから」


◆◆◆◆◆


 長テーブルと椅子が並ぶ殺風景な談話室、そこに設置してあるモニターにその番組が映し出されている


「司令が出てる番組、もうやってるんだね」


 談話室に入るなり、モニターに目をやりそう呟く長身の女性、マルティナ・フヨウ。肌は透き通るほどの白、髪は肩甲骨にかかるほど長い艶のある黒髪で、黒ではあるがその艶で青や緑に輝いている様に見える美しい髪。女性は番組に出ている体格のいい男性と同じ軍服を着ている


「お疲れ様、ライオネル君」


 モニターの前に立っている褐色の肌の男性、ライオネル・M・ロード。髪は短髪の緑、頬から口にかけて過去に裂けた事がある様な傷がある。この男性も同じく軍服を着ている


「司令のコメントはどう?」

「まだ最初の挨拶したくらいですよ」

「おかしなコメントしなかった?」

「マルティナ隊長じゃないんだから」

「ふーん、私は不適切発言が多いと...ライオネル君は言いたいの」

「見てて下さい。このコメンテーター、鼻につくんで」


 2人はモニターに目をやるとコメンテーターが発言している



◆◆◆◆◆



「あの時のモンスターへの対応の遅れがなければ、キマイラを生むこともなかったわけです。モンスターは大きくても2m、キマイラを生んでしまう交配した動物によっては50mを越える事もあるのですよ。そしてそれが大国の開発した生物兵器ではない確証は未だ無いんですよ。あえて人口削減と地球世界政府の発足の為にモンスターの侵攻を許したという疑念は、払拭出来ていません。地球世界政府は説明をするべきなんです。モンスターは人災でもあるのです」

 コメンテーターが熱弁している


◆◆◆◆◆


「うん、何かしら細胞が拒否してる」

「でしょ。司令はよく耐えていますよ」


 モニターに映る司令は、目を瞑り、眉間にシワを寄せている。そんな司令を察するかのように話を進めるMC


◆◆◆◆◆


「そんな中、現状での戦争継続を良しとせず、命令に背き自主的にモンスターから市民を守る軍人たちが各地で兵をあげました。これが現在の戦闘動物保護部隊、combat animal protecion unit。通称CAPUt《カプト》の発足に繋がるのです」


 MCの言葉に反応し、カプトの発足から現在までの活動記録が画面に表示される


「CAPUt東アジア及び東南アジア及びオセアニア方面部隊司令のタン・フェイフォンさんは発足当時からの隊員と聞いておりますが?」


 MCは軍服の男に話を振る、マルティナやライオネルに司令と呼ばれていた男だ


「はい、我々は当時東アジアに派兵されていたのですが、モンスターの襲来により、敵味方、人間、動物など関係なく襲われ、当時の事を思い出すと今でも悪夢よりも悪夢であったと思います。本当に敵味方関係なく蹂躙されたのです。そこで敵と手を取り合ってでも生きようと思うのは、必然の判断だと全員が思い、立ち上がり、人間、動物関係なくモンスターから命を救うことを考え、実行しました......決して判断や対応が遅かったわけでは無いのです。全てが後手に回るほど戦争で既に人類は疲弊していた事が浮き彫りになり、モンスターの襲来から世界の生命を守り統率する組織が必要だと認識はあっても、あなたの様に陰謀論を唱えたり、世論に嘘の情報を与えたり、核を使おうとする政治家や戦争屋、暴徒化した無神論者、人類同士の不毛な争いをしている間に、後手ではなく、手遅れになっていったのですよ」


 司令の言葉にその場の皆が一瞬黙ってしまう


◆◆◆◆◆


「司令、怒ってるね。で、その司令は今どこにいるか知ってるライオネル君?部屋にいないんだよ」


 TV番組は録画放送であり、マルティナは司令を探していたのだ

談話室の隅を指差すライオネル

そこにはビール瓶を20本以上散らかし、テーブルに伏せ、暗い影を纏う司令がいる


「...何あれ」

「マルティナ隊長はご存じ無いでしょうけど、今朝からあの状態です」

「どういう事」

「実はこの後、このピリついた空気にその場で反省し、一言もちゃんと話せなかったと...それで今の今までやけ酒を」

「...今朝からって、ライオネル君はそれに付き合ってたの?」

「そうですが、そんな司令の前で番組見るのも面白いなーっと思って、飲ませ続けていました」


 その言葉を聞いて、ガバッと司令は起き上がる。マルティナがそれにビクッと反応すると、司令はマルティナに気づき泣き始める


「マルティナ、ライオネルがイジメるんだ」


 マルティナは、やれやれと露骨な表情をし、奥の冷蔵庫から水を取り出し、司令に飲ませる


「バカな事やってないで、酔いを覚まして下さい...酔うと泣き上戸なのは知ってますけど。タン司令とライオネル君は、このくらいじゃ酔わないでしょ」

「さすがに私にも泣きたい時くらいあるのだよ、マルティナ」

「奥さんに言いつけますよ。セクハラが酷いって」

「...」

「それはそうと司令、明日の作戦について資料をまとめたので、後で確認お願いします」

「了解だ」

「予定通りブリーフィングは、明日午前8時で宜しいでしょうか」

「了解だ。それまでに資料に目を通そう」

「と言うことだから、ライオネル君、司令を解放しなさい」


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