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戦闘動物保護部隊CAPUt!!〜愛しい駆除対象の英雄たち〜  作者: 柴犬乃ぐんて
第1部【戦闘動物保護部隊CAPUt】
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28/104

EP8 僕たちはどう生きるか4/4

キムに連れられ事務所に行くと、事務員男女問わず4人総出でお茶をしており、そこに白と同年代の整備員の女の子も数人いる


「白ちゃんも来たねぇ」


高齢で経理をしている女性がお茶とお茶菓子を出す


「あっ……どうも」


何かを察し、白がテーブル席に着くと、みんなズズーっとお茶を飲むと


「平和ですねぇ」


と、同じく経理担当の男性が、ほっこりする


「今月はまだ出動してませんから、整備もやる事なくてですねぇ」

「先月の連戦がウソみたいですよ。ギュウガ事案では、ほぼ全戦力が出ましたから、整備も大変だったけど」


と、整備の女性たちも続く


「本部のカスタマーは大変らしいですよ。カプトはどうするんだとかクレームと言うか、よく分からない電話やメールも多いみたいで」


キムは、そう言うとまた一口お茶を飲む


「やっと宇宙ステーションでの活動が軌道に乗り始めたのに」

「あっ軌道衛星だけに!?」

「ハハハ」


またお茶を飲む一同


「白のシニヨン、今日も綺麗に編んでるね」

「私くせっ毛だから編んでないと任務に邪魔になっちゃうから…でもショートは嫌なんで…隊長みたいにストレートだったらなぁ」


すると、みんなは口々に


「マルティナ隊長の髪は美しいですよね」

「人員が増えたらマルティナ様を布教出来ますね」

「人員が増えたら、雷斗様の美貌がまた世界に知られます」


マルティナと雷斗を褒め始める一同


(やっぱり、この会だったか…)


俗に言うフヨウ教と非公式雷斗ファン倶楽部の集まりだったのだ


「最近、マルティナ様はどうですか?上がゴタゴタしてますから心を痛まれてなければいいんですが」

「隊長は、普段通り気にせず過ごしなさい。私たちの任務は、いつも突然なのだからって」

「さすが、女神」

「…」

「雷斗様はどう?」

「いつも通りですよ」

「さすが雷斗様♡」

「…」

「白ちゃんは、もし増員がかかったらイプシロンから離れちゃうの?」

「そういう話は無いですよ」


その言葉を聞き、整備員の女の子がグローブ端末でメッセージを送る


[白は離れる予定無し]



うおぉぉぉぉ



なにか廊下のほうで数人が騒いでいる。白は何事かと思い席を立とうとするが、すぐに先ほどの整備員の女の子が


「イプシロンの隊員さん達が、バラバラに他の地域に異動になる可能性もないの?」

「だいぶ前に聞いた話だと、過去異動で小隊が解散した事は無いって隊長は言ってました」


うおぉぉぉぉ


また廊下のほうで叫び声が聞こえる


「なんですか、外が騒がしいですけど…」

「気にしない。盛りがついた猫がいるのよ」

「ステーションに猫はいない…けど…」

「じゃあさ、小隊が解散する時ってどういう時なの?」


整備員の女の子は、空になった白の湯呑みに、お茶を注ぐ


「…定年とか退職とか…殉職とか…」


黙ってしまう一同


「白ちゃんは怖くないの?モンスターの相手は」

「私は、狙撃手だから、接近してモンスターと戦う事は無いですから、雷斗や隊長がやられちゃったらって思うと怖いですけど…でも私がモンスターを殺れば、みんな助かるから」


白は少し俯き、湯呑みを握る


「私、2人とも大好きなんです。私の事、認めて、生かしてくれる存在なんです」


白の言葉に、その場にいた全員が泣き始める


「うんうん、さすが女神マルティナ様」

「雷斗様は、みんなの生きる希望だよね」


と、白そっちのけで感動している


「もし改変されたら、整備や事務はどうなるんですか?」


白はお茶を飲みながら、周りの人に聞いてみる


「事務はそもそも外部だからねぇ。毎年人事異動あるから、このままだとしても来年はいないかもよ」


キムが、お茶菓子を手に取り、一口食べると、残りを白に勧める。白が遠慮すると、整備の女の子が受け取る


「整備は、軍とカプト関係ないから、改変されたら変わるんだろうなぁ」

「改変が決まっても、今すぐって事はないですから、今年度は皆さんと一緒ですね。こういう平和で暇な日が続くと良いですね」


白が笑顔を送ると、一同も笑顔になる


「白ちゃんは、本当に優しいねぇ」




イプシロンステーション内の運動場。本部施設の武道場や運動場まで大きくはないが、バスケットのハーフコートほどのサイズの運動場だ

カナタとローズィー2人しかいない運動場で向かい合い、ヘッドギアとボクシンググローブをつけている


「行くよ」


スパーリングを始める2人

どちらも素早く動き、紙一重で互いの攻撃を躱し合い、徐々にスピードを上げていく

ローズィーの右ストレートが、カナタの頬をかすめる、ほぼ同時に右ボディを打ち込むカナタ。しかしローズィーは肘で防御している


「くっ」


完全に防御しているが、ローズィーの身体は少し浮く。さすがに体重差があり、パンチが重い


「大丈夫か?」

「かまわない、続けよう」


カナタは心配し拳を下ろすが、ローズィーはファイティングポーズを崩さない


「いや、やめよう。これ以上は任務に支障が出る」


カナタの言葉に渋々了解し、拳を下ろす…と見せかけ、大振りの右をカナタの顔に叩き込むローズィー


「やっぱり避けるか」


ローズィーの右を、完璧にグローブで受け止めているカナタ


「やると思ったよ」


冷笑しながら拳を払い、ポンとローズィーの額を小突く


「カナタってさ。怒る事ってあるの?私ならこんな事されたら怒るぞ」

「されて怒る様な事、人にするんじゃないよ」

「スーパーオーラの解放条件は、怒りだ」

「だからって」

「本気になれ、カナタ」

「俺は本気だよ」

「八咫烏な、お前には言わないけど焦ってるぞ。スーパーオーラが解放されないと導きのオーラは取得出来ないだろう?」


スーパーオーラの解放の先に、導きのオーラの解放がある。そういう事だとカナタ達は理解している


「カナタは優しいけど、たまに本気かどうか、熱意を感じない時がある」

「それは確かにあると思う。俺、祖父に剣術を習ってたんだけど、感情のコントロール徹底されてたからなぁ」

「カナタのおじいさんって凄い剣豪だって、タン司令が言ってたな」

「大災害の時に、剣で街を守ってたらしいよ」

「らしいって、その時の話って、おじいさんに聞かないの?」

「家族に当時の事は話さなかったなぁ」

「そういうものなのか?」

「感情に流されたら剣が迷う、守りたい者を守る為には、感情をコントロールしなさいって生前言ってたよ」

「大災害の中だから、言いたくない事も、色んな事があったんだろうな」

「まぁな、でもさ、本当に怒りでスーパーオーラって解放されるのか?」

「私も副隊長もそうだったぞ」

「八咫烏は、スーパーオーラの解放条件知らないからなぁ」


八咫烏にとっては、生まれ持っての能力だったので、どうやって使える様になったのか、とうの本人には知る由もなかった


「うーん、怒り以外の条件?うーん」


ローズィーは頭を抱える


「シャワー浴びてさ、副隊長にも聞いてみようぜ」




隊員室に戻ると、ライオネルしかいない


「あれ?みんなは?」


キョロキョロするカナタ


「ちょうどいい。副隊長」


ローズィーは、ライオネルに声をかけようとするが


「静かにしてくれ」


ライオネルは、PCモニターを真剣に見ている

どうせお酒をオークションで落としているのだろうと、ローズィーとカナタがモニターを覗く


「えっ!?」


思わず声が漏れる

モニターには、目を疑う文字と映像が映し出されている



まだ日が昇っていない、ベータ地区、第01地区(旧ワシントンD.C.)

朝を迎えていない夜空を炎が照らし、サーチライトが上空にいる何かを捉えているが、中継のカメラでは、小さくて姿を確認出来ない。しかし画面にはテロップで【ファルベブリッツ襲来】と書かれている


「ファルベブリッツ!?日本以外に!!??」


ファルベブリッツが現れたのは、八咫烏の件、ギュウガ事案ともに日本だった為、カナタ達を含め、全てのカプトはファルベブリッツを、イプシロン地区での問題だと認識していた


「しかもよく見てみろ」


ライオネルの言葉に、2人は画面を注視する


「街を破壊しているんじゃない!?この火災は…」

「…政府軍だ」


火災の元は、戦車や墜落した戦闘ヘリだ


「あいつ、俺たちの状況を理解して動いてるんじゃないのか…」


ライオネルの声は若干怒りで震えている


「政府軍の中でも最強と言われてるベータ地区で、これをやる意味…人類の事、わかっているとしか思えない…」

「カナタ…話し合うなんて、やっぱり甘すぎるんじゃないのか」


ローズィーはカナタを見る。カナタの表情は、悲しそうである


カメラがズームし、赤く炎に照らされた黒煙の中のファルベブリッツを捉える

ブリッツは右手を上げ、3重に重ねた火の玉の魔法陣を展開。次の瞬間、カメラはブラックアウトしてしまう

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