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戦闘動物保護部隊CAPUt!!〜愛しい駆除対象の英雄たち〜  作者: 柴犬乃ぐんて
第1部【戦闘動物保護部隊CAPUt】
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24/103

EP7 巨大戦!?50mの霊獣キマイラ4/4

動く事が出来なかったカナタ、ローズィー

そこに通信が入る


『第2小隊、応答願う』


マルティナの声だ


「こちらカナタです」

『ブリッツのおかげとは言いたくないが、戦闘は終わった。みんな無事か!!?』

「カナタとローズィーは無事です。副隊長とはぐれて、今確認します」

『こちらも雷斗君を探している状況だ。連絡を取り合って…』


と、マルティナが話していると、マルティナの視界に見慣れた男がヨタヨタと近づいてくる


「たいちょー」


ライオネルだ。ライオネルの服はボロボロで、ライオネル自身も怪我は見えないが、ススだらけの土まみれだ


「ライオネル君は、こちらで発見した」


とカナタ達に無線を飛ばした後、すぐにライオネルのもとへ走り出し、抱きしめる様にライオネルの身体を支えるマルティナ


「隊長、やっ優しい…」


ライオネルはマルティナの肩に顔を埋める


「また無茶をしたんでしょ…ライオネル君は…」


ぎゅっと力を入れるマルティナ

マルティナの優しさが申し訳なくなり、照れるライオネル


「そんな事ないですよ。ちょっと大きなぬいぐるみを人の子と見間違えて、ギュウガとファルベキングの戦いに近づき過ぎただけで…」

「ん?ファルベキング?」


マルティナは、抱きしめていたライオネルの顔を覗く


「ほら、ファルベキング(仮)と呼称しようかと…あのロボットみたいな巨人…ヒーローがファルベなら、ヒーローのロボは〇〇キングかオーとかジンでしょ」


とライオネルが言うと、マルティナはキョトンとするが、白は


「なるほどです」


と納得する。それを見てマルティナはそういう物なのかと首をかしげながら


「ライオネル君、雷斗君は見てないか?」


と尋ねると、ライオネルはもう一度マルティナの肩に顔を埋め


「俺は何も…少し…寝ます」


と、そのまま寝てしまう

すると、そこに雷斗が戻って来る


「寝たんですか?」


と、マルティナに抱かれたまま寝るライオネルを見る


「うん。良かった無事で…すぐに救護施設に連れて行く」


優しくライオネルの寝顔を見るマルティナ

雷斗はそれを見て


「今、助けても…人間は絶滅する運命なんだぞ」


と冷たく言い放つ

マルティナはその言葉にリアクションは起こさず、白も黙って3人を見ている



キマイラ化した牛鬼、ギュウガが暴れたあとの街並みは、それは無惨な状態だった

カナタとローズィーは、マルティナ達と合流するまで、瓦礫となった街の隅々まで声をかけながら歩き回った


「カナタ…ブリッツの言った事、私達今まで通りじゃダメだ…霊獣は世界各国にいるんだ…イプシロン地区でしか活動出来ない私達に、全ての霊獣を守る事は出来ない」


と、ローズィーは歯痒い思いを口にする


「その場に居ても、牛鬼を助けられなかったけどな」


と、カナタは、瓦礫になった街と、玉になった牛鬼に思いをはせる


「俺は…母ライオンでも、餌を待つ子ライオンでもないんだ」


と呟くカナタ。ローズィーは何を言っているのかわからず、怪訝な表情をする


「ブリッツは、群れの新しいオスライオンになろうとしてる…俺達は…殺される幼獣でしかないのかもしれない」

「何の話だよ」

「何でもないよ…戦うと決めた母ライオンにならなきゃなって思っただけさ」




この戦いは、地球世界政府軍、カプト共に、霊獣への認識を変えなければならない事案となった

全カプトと地球世界政府の代表の会議は、何時間も続き、議論が繰り返された



翌日、グリニッジ標準時、午前1時

夜勤の整備班と事務員1名残し、寝静まっているカプトイプシロンステーションの談話室兼食堂


タン司令が寝酒を求めやってくる

すると、そこにはライオネルが、同じく寝酒の為に日本酒を小さなグラスに1杯注いでいる


「ライオネル、どうした。怪我は良いのか?」

「えぇ、大丈夫です。打撲程度なので」

「そうか」


すると、ライオネルは別のグラスに、飲んでいる日本酒を注ぎ、タンに渡す


「ありがとう」


と、タンは受け取り、ライオネルの向かいに座る


2人とも酒には手をつけず、しばし続く沈黙


「司令…俺…まだ英雄には…なれてません」


ライオネルは、グラスの酒を見ながら言う


「あの頃より、強くなって、司令に近づいたつもりですが…まだ…」

「何を言ってるんだ。あの頃の私よりもお前はよくやっているライオネル」

「…」

「…失った者は帰って来ない…でもな、守れた命に誇りを持ってくれ」

「わかってます。感謝される度に…自分の無力さを感じてしまう…俺は…」



ライオネルとタンが祖母と弟を守った時、ライオネルは2人を守れた事に誇りを持ち、喜んだ

しかし2人以外の他の村人は、ほとんどの人間が死んでしまっていた

村の英雄と言われたが、子供のライオネルには、それが重くのしかかった


自分は2人しか、救えなかった


もっと多くの命を守る為、聴覚を治し、学校へ行き知識を増やし、ラグビーをし、チームプレイと自己犠牲の精神を養い、タンに憧れ、カプトに入った

そして八咫烏に霊獣を守る為に力を授かった


…なのに


今回の戦いで、結果、犠牲者が民間人だけで29人出ていた


「俺は…まだ、何も守れない…守れてないんです…タンさん……僕は…」


グラスを握り締め、注がれている日本酒の水面のゆらめきを見つめるライオネルの目には、涙が溜まっている


「ライオネル…お前はよくやっている。大丈夫だ。俺がついている。大丈夫だ」


タンは、グラスを置き、ライオネルの頭を撫でる


大粒の涙が、グラスの日本酒の水面を揺らす

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