EP6 緊急事態コンディションブルー4/4
【緊急事態コンディションブルー】は、6月の八咫烏事案に伴い、新設された【霊獣保護 及び 郊外への誘導】そして【可能であればモンスター殲滅の協力要請】だ
ローズィーと雷斗はすぐに合流し、帰還後のチェック中であったスペースシップ白鷺に乗り込む
白鷺のコックピットに雷斗が座ると、小声でローズィーには聞こえない様に、マルティナに話しかける
「意識を共有出来た。霊獣を発見したらしい」
「だからって町中で…」
「隊長、どうする?《《ローズィーが邪魔》》だが?」
「とりあえず現地に急行する。まだ霊獣かどうかは分からない…今は下手に動けないよ」
「…了解」
ローズィーはシートベルトを締めると、2人に声をかける
「準備出来ました」
「了解、白鷺。発進」
スペースシップカササギに残っている武器や弾薬で装備を整える。工房の協力もあり、出来立ての弾頭を自身のスナイパーライフルの弾倉に込める白
「あれが工房長が言う牛鬼って妖怪だったとして、本当に霊獣なの!?保護対象なの!?」
着々と装備を整えるライオネルに、白は不安を隠せないまま尋ねる
「分からん。どちらにしろ、街から離す」
ライオネルの決意の表情に白は困惑している。するとカナタが白の肩を叩き
「自分のやるべき事をやればいい」
白はカナタを見つめる
タン司令は焦っていた。作戦室で民間から上げられる映像に釘付けになる
民間人から映像の提供がある。つまり民間人に被害が出ている
八咫烏の件、ガルイラの件も民間人の立ち入らない場所であった為、情報が乏しかったが、それはつまり民間人の被害が出る場所での戦闘では無いという事だ
まだモンスター発生時の特有の通信障害は起こっていない
モンスターが本気で暴れたり、能力を使っていない証拠でもあり、あの【牛鬼】がモンスターではなく、霊獣である可能性が高いという事でもある
これまではモンスター、キマイラを退治し、動物を保護する事がカプトの任務だ
しかし今回は違う
保護するべき対象が街を壊し、暴れている状況
しかも午前中の出撃で補給をしていないカササギと変則的な状態の小隊
現地のライオネル達を信じるしかない
地中からいきなり現れた牛鬼は、徐々に海に向かって動いている
作戦オペレーターのキムが情報を精査し、司令に伝える
「司令、地域住民の目撃証言と映像から確かに妖怪 牛鬼に似ているという情報が上がっています。ライオネル副隊長がカササギで囮になり、誘導中。カナタ、白、両名は地上からカササギを援護しています」
「わかった、政府軍の動向はどうだ」
「政府軍も報告から、戦闘ヘリが出ていますが、保護対象である為、最小限の威嚇攻撃しか出来ず、主に民間人の避難に人員を割いていますが、上手く機能していません」
「初の緊急事態だ。仕方がないと言いたいが、失われた命にそんな言い訳通じるか!!」
自分たちの不甲斐なさに、バンッとデスクを叩くタン
「ライオネル、頼んだぞ」
タンの脳裏に、口から頬まで裂けてしまったのにも関わらず、涙を見せず、呆然と立ち尽くす幼い頃のライオネルを思い出す
スペースシップ白鷺は大気圏を突破。日本上空を降下している
操縦に集中する雷斗。マルティナは地上からの情報やイプシロンステーションからの情報を精査。ローズィーは祈る様に外を見ている
「(カナタ、副隊長…牛鬼は襲われているって…つまり)」
政府軍が住民を退避させている。スペースシップ カササギに乗るライオネルは、カササギには武器は付いていない、牛鬼の視界を飛び、こちらを見て、追ってくると攻撃を止め、住宅地に牛鬼が行かない様に誘導
すると、牛鬼が自分以外の何かに気を取られている事に気づく
カプトのスペースシップには動物保護の為に、モニターには、AI解析で生き物を優先的に捉える機能がある。地域住民は軍のお陰で速やかに避難をしているが、度々逃げ遅れたペットや野生動物が表示される
(牛鬼が見ているのは、なんだ!?)
牛鬼が木々をなぎ倒す
土煙が舞い、野鳥が逃げ飛ぶ
そのなぎ倒された木のそばに…
(クソ!!最悪だ)
ビューーーーーーーと警報音がイプシロンの作戦室に響く
「ライオネル副隊長が緊急信号を出してます…これは!!司令、コンディション、レッドです。目標、既にモンスターと交戦してます」
「何だと!!…現地の政府軍にモンスター討伐を打診。マルティナ達は!?」
「もうすぐ現場に到着予定です」
白は狙撃でモンスターを狙うが牛鬼と木々が邪魔で思う様に撃つ事が出来ない
「このままじゃ、私なんの役にも立ってない」
モンスターは、牛鬼の頭をよじ登っている
ドローンバイクで牛鬼を追うカナタ
視線の先にいる牛鬼は、雄叫びを上げ、苦しみ出す。すると牛鬼の身体の上に緑色の魔法陣が現れる
カササギのコックピットからも眼下に同じ状況が確認出来、魔法陣の上にはモンスターが立っている
モンスターは魔法陣に吸い込まれると、魔法陣は牛鬼を包む様に下がっていく
…そして
現場に到着するスペースシップ白鷺は高高度を旋回し、マルティナがライオネルに呼びかける
「ライオネル君、白鷺が到着した!!私とローズィー君が降下し、3人と合流、モンスター駆除にあたる!!」
『すみません、隊長……もう』
と、ライオネルが絶句する
次の瞬間、イプシロン作戦室に新たな警報音が鳴り響く
「司令!!ライオネル副隊長から緊急信号……コンディション…ブラックです」
魔法陣から現れたのは、顔は牛鬼の特徴を持ち、身体は直立で立ち、蜘蛛の様に毛むくじゃら、2本の腕と背中から6本の触手を生やし、二足歩行で歩く、全長50mのキマイラ
まさに怪獣だ
その禍々しい姿に圧倒されるカプトの面々
しかし雷斗だけは、口角が上がり、ニヤッとしている




