EP5嗚呼、愛する豚骨ラーメン3/3
ブルーは倒れているガルイラに跨り、オーラを纏った拳を下ろす
ガルイラはその拳を落とされまいと、尻尾で体を反らせ、両足をブルーの脇に当てる
ブルーは拳を下ろせず、足でガルイラの股間を踏みつける
悶絶するガルイラは両足を蹴り上げ、ブルーを蹴り飛ばすと、立ち上がり、怒りをあらわにする。ブルーはバク転で蹴りの力を逃がしている
「どうせ交配出来る身体じゃないだろ」
と、ブルーが言うと、ガルイラは飛びかかり、蹴り技中心で接近戦を仕掛ける
八咫烏と3人の特訓時、グリーンが使ったオーラ防御は、攻撃に使ってるオーラと同じ物だと八咫烏が教えてくれた。3人は言われて理解する。オーラは相手の力を奪う能力があり、攻撃にも防御にも使え、対象の力がオーラよりも弱ければ、消滅するという事だった
ブルーは、グリーンほど広範囲にオーラを展開する事は出来ない、両手にオーラを纏わせて、ガルイラの蹴りを手で弾いたりして防御しながら、パンチを繰り出す。しかし尻尾で身体を支え、両足で多彩な蹴りをしてくるガルイラにリーチ差で負け、徐々に防戦一方になってしまう
(私も蹴りが使えたら……)
八咫烏はこうも言っていた。オーラが自在に扱える様になれば、自分の身体のどこでもオーラを発生させる事が出来ると
自分の身体
オーラの量がレッドやグリーンより少ないのは体格の差なのかもしれないとブルーは認識していた。確かに女性である自分は2人に比べれば体は小さい
いやそれ以前に、自分の下半身は……
ただ、それを言い訳に出来る状況ではない
負傷した兵を一刻も早く医師に見せたい
この先には街がある
兵にも家族がいる
この先の街には、たくさんの幸せがあるんだ
「私がやらなきゃ、誰がやるんだぁ!!!」
防御展開したオーラの両手で、ガルイラの両足を掴む
そして身体を支える尻尾をローキックで蹴り飛ばす
グギャアアアア
それまで経験した事がない痛みがガルイラを襲う。そのまま回し蹴りをするブルー
湖の方向に飛ぶガルイラは、空中で体勢を立て直すと、着地し、すぐさまブルーを攻撃しようと踏み出すが、倒れてしまう
なんとローキックで尻尾が切断されており、上手く立てない
「私が、お前を倒す」
ブルーの右足には金色のオーラが煌めいている
尻尾を失った事でバランスが取れず立つがやっとのガルイラに向けて、ブルーは走り出し、ジャンプ!!その勢いのまま、落下速度と体重を乗せ、右足の金色のオーラを使った飛び足刀蹴り!!
ガルイラの首元に激しく重くぶち当たり、ガルイラの体は激しく発光する
着地し、振り返るブルー
するとガルイラの体は、光が溢れ出し、爆散!!身体は塵になり、飛散していく
その信じられない光景を、地球世界政府軍の兵士達は、声もなく見ている事しか出来ない
ブルーがその光景を見て
「早く負傷兵の治療にあたれ」
そう言って、その場を去っていく
「助かった…いや助けられたのか、俺達は」
ハドソンは去るブルーを追いかける事も出来ず…
それからしばらくし、戦闘のあった場所にようやく第1小隊が駆けつける
何台か潰れた車両と火がまだくすぶって煙を上げている
「皆さん無事ですか!!!ガルイラ!?鳥人間はどこに!!」
と、ハドソンに声をかけながらやってくるマルティナ
「カプトの隊長さんか?」
「失礼しました。カプトイプシロン隊長、マルティナ・フヨウです」
「見ての通りだが、みんな無事だ。負傷した者も速やかに病院に送れたので、死者はいないよ」
「ガルイラと鳥人間は!?」
「ガルイラは、その鳥人間が撃破したよ」
「何色の鳥人間ですか!!」
「青だ」
「…そうですか」
「それに、あれは鳥人間じゃない」
「??」
「ヒーローだよ。あれのお陰で我々…いや、この先にある街と未来が守られたんだ」
と、そこに雷斗がやってきて
「カナタもローズィーも姿がありません。2人は無線も応じません。副隊長は連絡がつき、こちらに向かっているそうですが…」
と報告
「私達よりも先に着くはずだけど……白、2人の索敵をお願い」
「了解」
白がドローンバイクを走らせると、すぐローズィーとカナタを発見する
「お〜い……はく〜」
カナタが手を振っている
「隊長、2人を発見しました」
と、無線で話し、白が2人の下へ行くと、壊れたドローンバイクにうなだれるローズィーと、壊れた無線などの装備品を持っているカナタが見える
「2人とも無事なの!?」
と白は駆け寄り心配する
「大丈夫だ、それよりガルイラは!?爆発音がここまで聞こえたんだ」
カナタは、白に訴える
「ガルイラは、隊長が見たっていう鳥人間によって駆除されたって言ってたよ。死者はいないって」
「良かったー」
安堵する2人
「私のドローンバイク、ガルイラに蹴り飛ばされてこのザマ」
動かないバイクを叩くローズィー
「で、俺は転がってるバイクに気づかなくて、急ブレーキ、俺が転がって、このザマ」
と壊れた備品を見せる
「始末書は書かなきゃだろうけど良かった。みんな生きてるし」
「あっそうだ、白」
とローズィーが急に立ち上がり、白に詰め寄る
「なになに」
「限定メニューの賭け、どうする!!!」
「はぁ!?今それ言うの??」
「まだ帰っても食堂が閉まる時間には間に合うだろ!?」
ローズィーは腕時計を見せる、時刻は19時前。イプシロンステーションの食堂は21時まで開いている
「わたしはもう、どうでもいいよー」
「じゃあ、雷斗の返答次第で、私が食べていいな!!」
「なんか心配して損したわ」
地球世界政府軍との共闘の場合、戦闘後の後処理、及び地域政府、住民への対処は軍が行う事になっている
それは軍が必要だというアピールにも繋がっている
街を守ったのは、カプトでも、鳥人間でもなければ、軍隊なのだ
隊長であるマルティナは、軍への報告作業もある、30分ほど打ち合わせの為、第1小隊は現地に残る事になった
「っう事だから、俺は限定メニュー放棄でいい。元はといえば、隊長に何が何でも試合で勝つ口実を作りたかっただけだしな」
と雷斗
ローズィーがそれを聞くと、一刻も早くステーションに戻ろうとせがむ
その様子を見て、ライオネルとローズィーは怪我をしているかもしれないから、早く戻りなさいとマルティナは優しく言い
イプシロンステーションの食堂、兼談話室
「いただきまーす」
ローズィーは目をうっとりとさせながら、特製濃厚とんこつチャーシュー麺の麺を勢いよくすする
「っはぁ〜幸せ」
その様子を、見守るカナタとライオネル
「そんなにラーメン好きだったのか」
「父が好きでね。たまに食べるんだ」
その言葉を聞いて、少しドギマギするカナタ
両親共に亡くしていると聞いているし、ローズマリーではなく、ローズィー呼びにして欲しいって言うのは、父親を思い出すからだと言ってたので、不仲だとカナタは思っていたからだ
「豚骨ラーメンが、お父さんとの思い出の味なのか?」
ライオネルが訊く
「ん〜〜ちょっと違うな。私さ、ローズマリーって言われると、不良娘の私を…愛してくれた父を失った事、思い出して泣いてしまう事があってさ」
麺をすすり、チャーシューを咥えて、ローズィーは言葉を探す様に、上を向く
「名前を言われるのは、まだ苦手なんだけど、豚骨ラーメン食べるとさ、父の笑顔、思い出して嬉しくなるんだ」
そう言いながら、スープを飲むと、しばらく香りと喉越しを楽しむ様に黙り
ふふっと笑顔になるローズィー
その笑顔は晴れやかで
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