EP5嗚呼、愛する豚骨ラーメン2/3
01地区の街より湖側、東へ10km地点
軍が街を守るように展開している。それを指揮するハドソンは、湖側から何かがジャンプしながら近づいてくるのが見える
「カプトが報告してきたキマイラ。あれがガルイラだな!!」
カプトの装備よりも強力な武装を使える地球世界政府の軍隊。装甲車の機銃や砲兵部隊による自走ロケット砲を使う
ガガガ
ドドドドドッ
爆撃と銃撃音が響く
さすがにガルイラも防御強化魔法に集中する為に足を止める…ロケット弾が爆発する度に、自身の皮膚や毛が焼けている……隙さえあれば…
指揮してるハドソンもそれを理解したが、想定以上の弾薬を既に使っている事から
「やはり意識の外からの攻撃が必要か。カプト隊員に通信を繋げ!!砲撃手は手を休めるな」
通信兵がハドソンに無線機を渡す
「こちら政府軍のハドソン曹長だ。既にガルイラとの戦闘に入った。君たちの位置が知りたい」
ハドソンの気が現場から離れたその時、一瞬だけ砲撃の間に隙が出来る
『こちら政府軍のハドソン曹長だ。既にガルイラとの戦闘に入った。君たちの位置が知りたい………くっ!……化物め!!』
何かが崩れる様な音と爆発する様な音、無線から響く悲痛な声、それらの音がローズィーの鼓膜を揺らす
追っていたはずのガルイラが、既に軍と戦闘を始めている、しかも殺られている!?
ドローンバイクは全速力を出している、それでも軍がいる位置までは後10分はかかるはずだ
不意にローズィーの脳裏によぎる記憶
実家のロビーで、18歳くらいのローズィーが両親と大喧嘩をしている
母は大泣きし、父は今にもローズィーに殴りかかる勢いだ、それをローズィーよりも少し背の低い妹が止めている
ローズィーは乱暴に扉を閉め、家から出ていく
それからしばらくして、妊娠しお腹の大きいローズィーの前で、その子の父親になる男が、両親の前で土下座をしている。ローズィーの父親は、何かを言いながら、その男の頭を上げさせる
さらにしばらくし、赤ん坊を抱きかかえるローズィーの父親、その視線の先には教会の十字架の前でウエディングドレスを着ているローズィーが永遠の愛を誓っている。パイプオルガンの音色が響く中、父親は孫をあやしながら泣いている
刹那、眼の前が真っ赤に染まる
知っている人達の悲鳴がホールに響き、母は目を見開いたまま動かず、妹は助けを呼んでいたはずの頭を失い、愛おしい我が子は無惨に転がっている
「ローズマリー生きろ!!ごめん、ありがとう、愛している!!」
父はローズィーを突き飛ばすと、手に刃を持つキマイラに身体を引き裂かれ、その刃もまたローズィーを引き裂き
「八咫烏、力を借りるぞ」
ハンドルから手を離し、走るドローンバイクに立つ様にまたがるローズィー
グッと胸を張り、胸の前で祈るように両手を組む、すると胸の前に小さな青い炎の様な煌めくオーラが出る
それを勢いよく手の平が前を向く様に突き出す
前方にオーラの魔法陣が現れる
ドローンバイクごと、その魔法陣の中に入る
「…変身」
肩に力が加わり、肩甲骨に意識を集中させる
すると、光の翼が背に生え、翼が3度羽ばたくと、ローズィーの身体を包み、首から下にかけて変身していき、頭が光るとフルフェイスヘルメットの様な鳥を模した形に変型。
翼は最後に光の粒子となって、首にまとわり付き、長いスカーフになる
魔法陣の中から現れた、ローズィーの姿は、八咫烏の力で変身した姿になっていた
時は少し前に戻る
「こちら政府軍のハドソン曹長だ。既にガルイラとの戦闘に入った。君たちの位置が知りたい」
ハドソンの気が現場から離れたその時、一瞬だけ砲撃の間に隙が出来る
ガルイラはその隙に宙にジャンプ、空中で体勢を変え、落下しながら蹴りを自走ロケット砲に喰らわせる
自走ロケット砲は、乱暴に潰した段ボールの様に潰れ、残っていた砲弾の火薬で爆発する
自走ロケット砲は無人の車両だったが、周りにいた数人の兵が爆発に巻き込まれる
「くっ…化け物め!!!」
爆発し炎上している自走ロケット砲の残骸の中から紫に光るガルイラが這い出てくる
「手を止めるな!!」
ハドソンはそう指揮をするが、負傷兵を退避させる兵や恐怖を感じてしまった兵が右往左往している
グオォォォォ
ガルイラが雄叫びを上げると、戦意を失くしてしまう兵も出ている。その兵達にガルイラは襲いかかる
…が
ベキョ!!
ガルイラのカンガルーの様な顔面が殴られ、
変形し、2度3度回転して地面に叩きつけられる
クワァァァァ
「モンスターだったら消滅したけど、キマイラには、効く攻撃程度の威力なんだな」
叩きつけられた状態でガルイラが、見上げると、そこにはブルーが右手にオーラを纏って立っている
「なんだ、新手のキマイラか!?」
青をベースにした身体に、黒いライン、同じ青色の長いスカーフ。鳥を模した様なフルフェイスヘルメットの顔
「鳥人間!?」
ハドソンの声は無線で、カプトイプシロン全員に届く
「ローズィー、変身したのか」
岩場にもたれかかるライオネル
ドローンバイクで先を急ぐカナタも、ローズィーの選択を気にする
「また現れたの!?」
そう驚くのはマルティナだ
「隊長の言っていた鳥人間キマイラですか!?」
白が目を輝かせながら、マルティナに確認する
「へぇ、多分……」
そう言いながら、マルティナは雷斗を見る
雷斗は何かを考えるが、決心したように
「今は深く考えてもしょうがないですよ。急ぎましょう」
「そうね。敵か味方か、見極めないと」
3人はドローンバイクを走らせる




