EP5 嗚呼、愛する豚骨ラーメン1/3
カナタたち3人の前方500mにそれはいた。明らかにオオカンガルーとは違う生物
丘の上の茂みに隠れ、それを観察する
この辺りは湖側に岩場が少々あるが、辺りは背の高い植物は無い、見通しが良すぎる
「八咫烏の情報があって良かったな」
ライオネルは双眼鏡でそれを見ながらいう。ローズィーも同意
「キマイラは、交配の結果じゃなくて、融合したモンスターの姿」
「あぁ、考えられる対策と装備が出来ているのはありがたい」
世界各国でモンスター索敵時に、キマイラと遭遇し多大な被害が出る事はこれまでにも多々あった、それはモンスターがすでに交配していたのだろうと結論付けられていたが、融合しているとすれば話は変わる
「オオカンガルーの跳躍は、一度で最大10mくらいと言われていますし、最大速度は時速60km。時速80kmのドローンバイクの方が速いですが...キマイラ化してどうなっているか...あの筋肉の発達からして、跳躍力はあっても、足の速さはそうでも無いのかも」
カナタも双眼鏡でそれを見ながら分析する
ライオネルが、それを聞きながら頭をひねる
「遭遇したのが、俺たちってのは不運だ。第1小隊なら白の特殊弾による狙撃で一発の可能性があったが」
カプトの戦闘装備は各国の軍隊や地球世界政府軍の装備よりもやや特殊である
それは対モンスター用に火力を落とさない様に設計されてはいるが、もしテロなどで奪われたり、人間に向けられても被害が少ない様に、弾数制限や使用武器の制限などがあった。例えばスペースシップには爆撃能力も迎撃能力も持っていないし、ドローンバイクは移動用であり、射撃武器などは固定装備されていない
「待ちますか?」
「隊長たちは湖の真反対と言うのも運が悪い。ここまで30分以上はかかる。ここから街まで約40km。軍のいるラインまで30km。すぐに対処するべきだろう」
それを聞いて、ローズィーは
「変身して、一気にやる?」
と、提案する
「いや、人間の力で頑張るべきだろう?」
「まっ確かにね」
「変身は最後の最後のとっておき...誰かの命が危険になった時のな」
そう言いながら、肩撃ち式ランチャーを担ぐライオネル
「あのキマイラを、ガルイラと仮称。いくぞ」
ガルイラの右側から走って近づくカナタとローズィー。共にアサルトライフルを装備
ガルイラは2人の走る姿と音に視線と耳を奪われる。すると2人とは別方向からロケット弾が飛んで来る。もちろん2人には被害のない角度だ
まさにガルイラにロケット弾が当たろうとした、その時ガルイラは見向きもせずロケット弾を尻尾で下から上に弾くと、弾はくるくると宙を舞う
カナタは咄嗟にロケット弾を撃つ
ガルイラの頭の上で爆発するロケット弾。ガルイラは悲鳴のような鳴き声をあげる
すぐさまローズィーとカナタはガルイラを撃つ
「効いていない」
2人は撃つのを止める
ガルイラの体は傷1つ付いていない、体はほんのりとムラサキに光っている
「あれじゃないか!?防御強化魔法」
「なるほど、常時展開しているって言っていたな」
アヌルソワマジャ!!!!
アダンウラニネタコナタコオナ!!!!
ガルイラは何かを叫んでいる
「あれも異世界語か」
ローズィーはそう言うと...
「おい!!お前たちのボスは誰だ!!なんでこの世界に来た!!!」
と叫ぶ
「さすがに通じないか、50年もこの世界にいるくせに」
2人はアサルトライフルを再び撃ちながら、距離をつめる
しかしやはり、ビクともしない
すると、ライフルの銃撃をもろともせずグッと腰を落とし、前傾姿勢を取るガルイラ
ダッと一歩踏み出すと、一気にジャンプする
「なに!!?」
500mは離れていたライオネルの目の前まで一瞬で間合いをつめると、尻尾で立ち、両足をライオネルに向けている
ランチャーを盾にし、ガルイラの蹴りを受けるライオネル...が、湖まで吹っ飛び、水柱が立つ
「副隊長!!」
水深が浅いとはいえ、気を失っていれば危ない
カナタはライオネルを助けようと湖に走り出す
ガルイラは3人に興味がないようで、街のある方角へジャンプする
「ローズィー!!ガルイラを追え!!俺は副隊長を!!」
「了解!!」
「速いって言っても、全速力でずっと走れるわけじゃない!!」
「普通の動物なら...だろ!!」
ドローンバイクをオートで呼び、飛び乗りガルイラを追うローズィー
カナタは湖へ向かい、装備を外すと湖に飛び込もうとしたその時、ライオネルが別の湖岸から這い出る
「副隊長!!」
「カナタか...水の上で助かった。岩盤だったら死んでたぜ...」
「あんなに飛ばされたのに、気絶もしないなんて」
「八咫烏の力で変身しなくても、強化されているかもな。今日の試合でも思わなかったか?」
「...隊長の攻撃、全部見切れた」
「実生活で八咫烏の力がバレない様に気を付けなければ...な。敵に人間と融合している奴がいるらしいしな」
「副隊長だから、今日の試合、少しふざけてたのか」
「幸い、俺はのんべえだからな」
フッと笑ってみせるライオネル
「とはいえ、身体中が痛くてすぐには戦えそうにない」
「第1小隊に連絡、ここではなく街に行ってもらいましょう」
「そうだな...カナタ、お前はローズィーを追ってガルイラに対処してくれ。連絡は俺からする」
「了解」
カナタはドローンバイクを呼び、その場をあとにする
無線を取り出すライオネル。防水のはずだが、水浸しだった事もありスイッチをカチカチと何度か押して、第1小隊に繋げる
「こちら第2小隊、ライオネル...」




