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戦闘動物保護部隊CAPUt!!〜愛しい駆除対象の英雄たち〜  作者: 柴犬乃ぐんて
第1部【戦闘動物保護部隊CAPUt】
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13/102

EP4限定メニュー争奪戦3/3

総当たり戦2回戦目、3回戦目と、マルティナ、カナタ、雷斗は順調に勝ち進み、4回戦目でマルティナとカナタが対決する



マルティナがここでカナタに勝てば、マルティナの5回戦目の相手はライオネル。全勝するだろう


試合場でマルティナと向き合うカナタ


「竹刀じゃ本来の剣術で戦えないね。二刀流は卑怯かな、カナタ君」

「いえ、戦場では道具は選べませんから」

「それは良い心がけだけど、やっぱり非難されている気になるなぁ」


勝負が始まる

マルティナは、80cmの長い竹刀を右手で上段、左手の40cmの短い竹刀は中段より少し高めで前に突き出し、腰を低く構える

カナタはその突き出した左中段の竹刀に合わせる様に構える


コンッコンッ、と何度か互いの竹刀の先端が交わる


深く当たれば、上段が振り下ろされる事になる為、カナタは竹刀を当てつつ、マルティナの両腕と両足の動きを注視する


マルティナの左足の踏み込みが深くなり、竹刀の当たりが強くなる


それをきっかけに、マルティナのテンポが上がり、徐々に竹刀の振りが強くなる、しかしカナタは2本の竹刀を完璧に自身の竹刀で受ける


防戦一方かと思いきや、一瞬の隙を、カナタは突きで攻める


突きを払いで避けるマルティナ。しかし両手に竹刀を持っているアドバンテージが無いほど、カナタの攻撃の回転数は早いが、マルティナが防御姿勢を整えると、途端に攻めを止め、防御に徹する


「攻め手ばかりの雷斗君の方がやりやすいな」


マルティナが、さらに姿勢を変え、攻めようとした時


『イプシロン隊に緊急要請、緊急要請。007発令。フェイフォン司令、フヨウ隊長は至急、本部統括センターに連絡お願いします』


武術場館内にその放送が響く。その放送を聞き、司令はすぐに統括センターに向かう


「勝負は次回だね」


マルティナもそう言い残し、統括センターに向かう


「カナタ!!007だ。俺たちはイプシロンステーション戻るぞ!!」


ライオネルの呼び声に、カナタは答える



緊急要請007とは、絶滅危惧種の生息地域にモンスター発生を表している


格納庫、それぞれのスペースシップの前に整列する一同。タン司令が作戦の概要を説明する


「オーストラリア、01地区の東側の湖付近で、モンスター発生を地球世界政府軍が確認、対処に当たっている。我々は軍と協力し、同地区のオオカンガルーの保護が主な任務だ」


マルティナがライオネルを見る


「先月の八咫烏事件の際の情報は、全カプト及び軍にも共有されている。モンスターは在来種と交配ではなく、融合する事でキマイラになっているって事でいいんだね、ライオネル君」

「はい、我々が金色の鳥人間のキマイラに追われた際、その様な事を言っていました」


変身したとは言えない3人は、カササギから離れた理由として、ブリッツに追われていた事にした、どうにか逃げ切り、自分達を諦め、戦場に戻ったブリッツをマルティナは目撃した...とつじつまを合わせた


「オオカンガルーは過去にキマイラ化の情報はない。それが本当ならカンガルーのキマイラが現れる可能性もある。第2小隊は軍と合流後、カンガルー保護を優先。第1小隊は軍とは別方面からモンスターの索敵、及び殲滅。保護は任せたよ。第2小隊が先に目標を発見した際はすぐに報告、いいね。分かっていると思うが、モンスター発生時の通信障害はすでに発生している。気を引き締めよう」

「了解(一同)」


タン司令が最後に


「必ず生きて帰れ。早く帰ってこい」

「了解(一同)」



『整備員は退避。各機発進シークエンスに入る』


 2機のスペースシップの格納庫から整備員が捌ける


『気密ロック解除、昇降機ダウン』


 格納庫の床がゆっくりと下がり、宇宙空間へ出る。眼下には地球が広がっている


『1番機、どうぞ』

「了解、こちら1番機SUN099「白鷺」ギアロック解除」


 マルティナがギアロックを解除すると、タイヤが機体に格納される


「白鷺、出ます」


 

『2番機、どうぞ』

「2番機SUN105「鵲《カササギ》。ギアロック解除する」


 同じくギアロックを解除するライオネル


「カササギ、発進する」


2番機カササギもオーストラリアに向けて降下していく


「オオカンガルーってさ、2000年代前半に害獣として駆除されていた歴史もあるんだよ。家畜の食べ物や奪われたり、農作物が荒らされたりして、自動車事故を減らす為にとか理由がたくさんあったんだ」


カナタはどこか悲しそうな声をしている


「今じゃ絶滅危惧種だもんな」

「私からすれば、今も昔も人が管理しようとしている事に変わりはないと思うけどな」

「もし、俺たち人類が別の種族にそうやって管理されたら、嫌だろ?」

「...そりゃ、もちろん。だけどカンガルーを管理しない理由にはならないだろ?」


するとライオネルが2人の会話に入る


「カナタ、モンスター...というか、あのブリッツの言葉、気になってるんじゃないのか?」


ローズィーには何の事かわからず、カナタを見る


「...あいつ、生き残るのは俺たちだって言ってた。俺たちからすれば、モンスター...異世界人は、地球をボロボロにした侵略者だ、それはわかっている...わかってるんだけどさ」


カナタは言葉をつまらせる、これを言うとまたローズィーの怒りを買うのはわかっているのだ


「ブリッツとは、言葉が交わせた...まぁ、お前なら迷うわな」


そんなカナタを気遣うライオネル


「カナタ、副隊長、あのさ」


ローズィーが言葉を選ぶように話し始める


「私はモンスターが憎い、憎くてしょうがない。許してやれって世界中の人に言われても無理だ。でもさ、霊獣たちがモンスターと戦っていた事、今は私たちがそれを手伝える事、ありがたいと思ってると同時に、責任が出来たと思ってる」

「責任?」

「今までは個人の復讐と言われてもしょうがないと思う、でもこの与えられた力は、世界中の生物を守る事に使いたい...正しく使う責任が私たちにはあるんだ」


この一ヶ月、ローズィーなりに考えたんだろう


「異世界人が、自分達の世界に戻るのなら、私は構わないし、追いもしない。でもこの世界を奪おうとするなら、容赦はしないし、私がやってやる...今はそう思ってるんだ」

「さっきまで、限定メニュー欲しさにヨダレ垂らしてたとは思えんな、ハハハ」


ライオネルが意地悪そうに言うと笑う


「なんだ、笑うなよ...なぁカナタ、お前はどうなんだ?」

「俺は......ブリッツの言い分を聞いてみたいと思ってる...本当に敵対するべきなのか」



オーストラリアの7月は季節的には冬になる

首都キャンベラを含む01地区郊外には東側に大きな湖がある。湖の南側、地球世界政府の軍隊が装甲車や自走多連装ロケット弾発射機を引き連れ、カナタたち第2小隊を迎える

マルティナたち第1小隊は北側にいる


スペースシップ、白鷺、カササギ共に都市近くの広場に停泊している

これは保護対象の動物の警戒を考えての配慮である

この年代のオオカンガルーは約4000頭。その多くはこのオーストラリアに分布している。オーストラリアの首都キャンベラ近くの国立公園が保護区となっており、頭数を管理していた

この湖は150k㎡、最大長は25km、最大幅10kmと大きな湖、水深は平均で1m、最深度は8m弱と深さはあまりない


「地球世界政府軍、オーストラリア方面部隊所属、ハドソン曹長だ。君たちの任務を援護しろと言われている」

「カプト、イプシロンのライオネルだ。隊の副隊長をやっている」

「北側の連中は、俺たちの援護は本当に要らないのか?」


第1小隊には、軍の援護部隊がついていない


「オオカンガルーの保護は、こちらに任せて。モンスターの索敵をするそうです」


カナタが説明すると、ハドソン曹長は怪訝な顔をする


「それこそ我々の援護が必要じゃないのか?」

「軍には、もし都市にモンスターが向かった場合に対処して欲しいので、こちら側に居て欲しい...と隊長から仰せつかっています」

「街は軍隊に、モンスター退治と動物保護はカプトに...慣例ではあるが」

「もし街にモンスターの侵入を許せば、地球世界政府軍もオーストラリア軍にメンツが立たないでしょ。それに大人数では、オオカンガルーも警戒するでしょうし」


カナタが言うと、ハドソン曹長は仕方がないと、了解する


この時代にも各国は軍隊を持っている。もちろんその武力を行使する対象は「人間」だ

国の軍隊は、テロや戦争になった場合、その武力を行使する


地球世界政府の軍は、モンスターやキマイラに対してのみ、その武力を行使出来る


一見、不合理に見えるが、国はモンスター等に対処を考えなくて良いという事は、国の防衛に力を注力出来るし、地球世界政府軍が人に対して武力を行使できないという条約が、世界規模の巨大な軍事組織が誕生しえないという安心に繋がる


そして地球世界政府の中で軍とは別の管轄、動物保護の観点から組織されたのが戦闘動物保護部隊だ


もともと地球世界政府発足時から動物保護を管轄する組織があったのだが、獣医の派遣や野性動物を一時的に受け入れる施設、物資や動物の輸送、一般に向けての情報の発信、義援金の募集など、野性動物に対しての福祉が主な活動だった

しかし動物保護活動中にモンスター、キマイラが現れた際、人を守る軍はあっても、動物を守る軍は無い。守らねばならない動物の命が失われる事が多かった


その結果、地球世界政府発足から7年後、モンスター襲来後から数えると12年後にカプトは組織された


カプトは動物保護の為に武力を行使する部隊という事だ


これが、国軍と地球世界政府軍とカプトの武力を行使する理由の違いの建前になる


同じ地球世界政府の組織内であれば、今回の様に協力も容易いが、各国の軍隊とはそういうわけにはいかない事情もあった



01地区の防衛は軍に任せ、第1小隊は湖の北側からモンスターを、第2小隊は南側からお互い湖の周辺からカンガルーを、それぞれドローンバイクで時計回り時速20kmで索敵する

3人は前後500m間隔で離れて走る


...およそ2時間後、時刻は16時を過ぎ、夕暮れになっている

湖をほぼ一周する、しかしカンガルーもモンスターもいない


「カナタ、オオカンガルーってどういう生態なんだ?」


先頭を走るローズィーから無線連絡がある


「知らなくて先頭走ってたのかよ」

「うるさい、答えろよ」

「だいたい3、4体の群れで生活しているはず。群れ同士で群体になる事もあるけど」

「強いから1匹でいるって事はあるか?」

「うーん、どうだろうな。あるにはあると思うけど、なんでさ?」

「私の...約20m先。おかしな個体がいる、大きさも他に比べて大きいような気がする」


そこにライオネルから無線が入る


「ローズィー距離を保て、キマイラ化してる可能性を忘れるな」

「了解」

「カナタ、ローズィーと合流するぞ」



ローズィーと合流するカナタたち。湖の南東方向。夕日を浴びながらそれは立っている

オオカンガルーの成獣よりも大型、2mはあるだろう

カンガルーというには、あまりにも発達した筋肉、上半身はゴリラの様に筋肉が発達しており、下半身もまるで人間の様に立っている。そしてカンガルーの5本目の足とも言われる尻尾は、身長よりも長く、そして体に負けないほど大きく太い


「こちら、第2小隊、ライオネル。キマイラを発見」

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