EP27 悪魔は笑う 2/4
イブの大型飼育カプセルがある研究室
ハイモアと数人の研究員が作業をしている中、アイザックとシータが入室する
アイザックはシータをイブたちの大型カプセルの前に通すと、ハイモアに近づく
「スミス博士?」
アイザックの見たことのない表情にハイモアは困惑する
「ハイモア、イブの詳細を彼女から聞くのだ」
ハイモアはシータを怖がり、近づかない
その様子をみて、アイザックはハイモアに耳打ちをする
「私は神を信じた事はない…しかし今は信じようと思っている」
「?」
「…あれは悪魔だ。魔女だ」
「悪魔!?」
「悪魔が存在する以上、私は神を信じよう…あの悪魔から、悪魔の全てを聞き出し、神の意志を示す事を君に頼みたい」
「!!!」
「あれを殺す方法を確立するのだ」
2人の様子をシータは気にしていない、カプセルの中のイブたちを見ている
イブAは今や2mの巨体、爬虫類とも哺乳類とも違うゴツゴツとした肌、ヒトデの様な外見を持っているが、2足歩行の生物のように歩き、足と手と頭の部位が決まっているわけではなく、一番高い位置にある突起を頭のように動かし、身体の隙間から時折触手を伸ばしている
…そう後にモンスターと呼ばれる生物と同じ容姿だ
「ひどい姿ね」
シータはそういうと、次にイブBのカプセルを見る
「オナチスオダ?エテウルフ」
シータはイブBに対して、謎の言語を話す。するとイブBは何か叫び声のような鳴き声を出す
エテクサタ!!ウレラソロカ!!!!
叫ぶイブBを見る為に、アイザックとハイモアもカプセルに近づく
シータはイブBに見せつけるように、アイザックを引き寄せる。するとアイザックはシータの頭部の触手を優しく撫でる
アアアアアアアアノス!!!!!
イブBがまた叫ぶ。それを見てシータは
「となりのあのコを見なさい。私の姿を見なさい。愛されるには、理由があるのよ。命の価値を委ねているから、となりの子みたいな進化をしてしまう…君はまだ何者にもなっていないから、命を奪われる側にいるんだね。私の分身たち、お前たちも唯一無二にならなければ…私のもとへ戻る事は許さないよ」
と小さな声でそう言うと、ハイモアを見る
「ハイモアさん、イブAと名付けた個体に10Vを100Aで流し3秒当てて下さい。そうすれば次の分身体はこの子と同じ分身体が誕生しますわ」
「ここは240Vだ。1Kw消費させれば良いのか?」
「それではダメですよ。押し出す力は弱く、流れる量を大きくしないと」
シータのいう通りになった
イブAはそれから変異した状態での分身体を生むようになったのだ
ハイモアがその理由を聞くと、シータは人差し指をハイモアの目の前に出す
指先から小さな円が宙に浮かび、そこに見たことのない文字が書き込まれていく
「今、この円の中には、分身体を固定する電気が流れてるの」
それに喰い付いたのはアイザックだ
「どうやってそのエネルギーを得ているんだ?」
「いい質問だわ。この円は書き込まれた文字によって私たちの細胞をエネルギーに変えるの」
「細胞を直接エネルギーに変える式…魔法陣みたいなものか?」
「いい表現ですね。そう魔法陣でエネルギーを取り出す。必要以下のエネルギーでは発動はしない。必要以上のエネルギーを与えてしまうと爆発してしまうんです。アナタ達がイブを燃やしても、さほど燃えはしなかったはず。でもスパークさせたら、核兵器並みの爆発力を得たはずだわ」
「あぁ」
「アイザック、あなたの研究にこの魔法陣を使う事をオススメする」
「!?」
「この魔法陣を発動させるシステムの開発とアナタの疑似重力システムを組み合わせる事が出来れば、魔法陣を使って瞬間移動も出来る様になるし、エネルギーを無限に生み出す事も、エネルギーを電気、水、炎、風、何にでも変換出来る夢のシステムが誕生するの。燃料になるイブは、ねずみ算式にほぼ無限に分身体を生む事が出来るのだから」
「素晴らしい」
「アナタの理想を実現するために私はこの世界にやってきたのかもしれない」
アイザックは自室に戻るとデスクの上の写真立てを手に取る
そこには、笑顔の妻と子供が写っている
「神が本当にいるとするならば、これは神から与えられた罰なのか?家族を顧みず研究に没頭し、妻を裏切り…私は好奇心という欲のまま生きてきた」
アイザックは持っていた写真を投げ捨てる
「しかし神がいるのなら、これは啓示でもある。私が全てをかけてきた事を知るチャンスなのだ…フフフ」
肩を揺らし笑い始める
「ハハハハハハッ、シータを利用し、全てを知る事が出来る!!リオナと融合したおかげで!!ありがとうリオナ!!」
アイザックは、この状況に歓喜した
「最後に笑うのは、私だ!!」
アイザックには、そもそも倫理観や道徳観などないのだ
この男は、自分の好奇心のみで生きている
その結果、家族がどうなろうと、国がどうなろうと、世界がどうなろうと、アイザックが知りたい事が知れれば、どうでもいい事なのだ




