EP26 異世界転移は、不幸の始まり3/4
翌日、オンラインも交えアイザック率いる研究所の科学者と、アメリカ政府、そして軍との意見交流が行われた
「つまりだ、あれは地球外生物ではないと言うのか?」
「ロケットに積んだ核爆弾に地球外生命体が付着していて、ここにワープしたという事だろ?」
政府や軍関係者が口々に意見を言うと、アイザックはこう告げる
「これは入力点つまりロケットの座標のズレがもたらした奇跡と言っても良い現象です」
「科学者が奇跡だと?」
「想像と想定を超えた結果がもたらしたのです…私のシステムは、私の予測を超えてしまった。これは私の失敗です、しかしその失敗が、異世界との繋がりを生んだのです」
政府の男が質問する
「異世界とのつながりと言いましたが、別の惑星とつながったのでなく、別次元とつながったと?」
「我々はそう考えている」
「では、こちらからその異世界に向かう事は可能ですか?」
「実験の結果により、異世界の座標は特定済みです。しかし核分裂による爆発エネルギーでは、不安定で座標がズレてしまう可能性がある。こちらから飛ぶ事はやめておいた方がよいでしょう、座標が少しでもズレれば宇宙の彼方に飛ばされるか、失敗して核爆発の中心で、蒸発してしまう」
「それは勘弁してほしいものですね」
すると別の政府関係者が
「では、今回転送された生命体は、たまたまその座標にいたという事ですか?」
「はい、偶然なのです。何もない空間であったかもしれませんし、石だったかもしれない…石だった場合、成分検査をして地球上に存在する物質で構成されていたなら、ただの失敗だった。しかしあの生命体が偶然にもそこにいたから、奇跡なのです。同じ実験をしても、次に同じ生命体や別の生命体が転移されてくるとは限りません」
「なるほど、だから奇跡か」
「はい、私の計算違いが生んだ奇跡です」
「その生命体は今は?」
アイザックが視線を送ると、一人の女性がうなずく
「謎の生命体の管理、観察を仰せつかったキキ・ハイモアです」
銀縁メガネをかけた白衣の女性ハイモアが説明を始める
「まずこの生命体をイブと呼称しました。イブにとって地球の酸素が毒になってしまうのではないかと懸念がありましたが、それは問題無いようです。同じく地球の重力も大きな負荷にはなっていません」
ハイモアは現在のイブの映像を出すと、おぉーっという声がいくつも聞こえる
「続いて食事に関して、イブは何を食べるのか…何を与えてよいのか、何が毒になってしまうのか、植物なのか、動物を食べるのか、付着している細菌で死んでしまうかもしれない…まずはその情報を集めるところからでした」
モニターの表示が変わり、イブのカプセルに入れてみた物が表示される
「結論からいうと、出現してからイブは何も食べていません…警戒しているようです…こちらとしても無闇に与えて死なせるわけにはいかない為、慎重に進めていました…すると」
また現在のイブが表示されたかと思うと、2画面になり、2画面ともにイブが表示される
それを見て、政府の男が質問し、ハイモアが答える
「これは?」
「現在のイブです」
「なぜ2画面あるのだね?」
「どちらも現在のイブです。イブが分身しました」
驚きの声をあげる一同
「分身?」
「分裂ではなく、分身?」
「増えたのか!?」
「そういう事になります。そして皆さんに承認して欲しい事があります。分身した個体イブBを使った生物実験を認可して頂きたい」
この認可はすぐに出る物では無かった
しかし研究の結果、イブとイブBがそれぞれ分身し、別個体をそれぞれ5日に一個体分身するのではないかという仮説から、生物実験は解禁された
5日毎にイブの分身体には何を食べるかの実験を繰り返し、イブBの分身体には《《どうやれば殺せるか》》を実験に使う事となる
ただ研究者達は見落としている事があった
その容姿、その大きさ、言語には聞こえない体を震わせる事で音を出す鳴き声
先入観で、イブには知性が無いと思いこんでいたのだ




