EP25 奪った力、託された力、作られた力 5/5
「副隊長…」
ライオネルがローズィーの顔を見る
ローズィーは俯き、暗い表情をしている
「俺たちは色んな思いの上にいるよな。それに押し潰されそうか?」
ライオネルが優しく言うと、ローズィーは髪をかき上げ上を向く
「この脚を手に入れて、モンスター達に復讐する為に軍に入ろうとして、軍は無理だったけどカプトに入れて…モンスターをたくさん殺して…そんな私が力を託されて…今日もまた別の力を託されて…」
ローズィーは少しだけ、声が上ずる
「私、この力を平和の為に使えるのかなって…殺す為にしか使えないのかもって……思って」
「サイバー義肢の技術の使い方の行き着く先が、戦争の道具って事と重ねちゃったって事だな?」
「はい」
「ローズィーはちゃんと守る為に使っているじゃないか」
「私は副隊長みたいに…あの力を守る為には使えてない…倒す事ばかりですよ」
グリーンはオーラをシールド形成に使い、ブルーはオーラを攻撃に使っている。たぶんその事だろうとライオネルは察した
「お姉さん!!」
子供の声が聞こえ、ライオネルは大通りを見る
そこには車椅子に乗っている少年が、こちらを見て、笑顔になり近づいてくる
「アドルくん!?」
ローズィーが少年を見て、その名を口にする
「知り合いか?」
「はい」
アドルはローズィーのもとに来るなり
「良かった、避難指示が解除されて、病院のロビーでニュースを見たら地上部隊が壊滅って言ってて」
アドルは涙声になっている
ローズィーはアドルの頭を撫で
「心配させちゃったね。それで車椅子でここまで探しに来てくれたの?」
「うん」
「でも危ないから、お母さんを心配させる様な事、あまりしないでね」
「わかってるよ。でもお姉さんが出来ない事は無いって言ってくれて、嬉しかったから」
ローズィーとアドルの会話を聞いているライオネルは、フフフっと笑い
「君はローズィーのファンか、お姉さんは強いぞ」
「うん。僕と同じなのに、凄いよ」
それを聞き、ライオネルはアドルの義足を見る
(なるほどな…義足にまだ慣れてないのかな)
そしてアドルの着ている服に目が止まり
「君もラグビー好きなのか」
ライオネルは、アドルが着ている地元のラグビーチームのレプリカユニフォームに気づく
「うん…でも…もう皆とは一緒にプレイ出来ないんだ…」
アドルは義足を気にする
するとライオネルは
「ラグビーは、体が大きくても、小さくても、足が早くても、遅くても出来るスポーツだ。自分ではなく、チームの為に、自分の出来る事を最大限に活かして、同じ目的を達成する為に頑張るチームスポーツだろ?」
「うん」
「例えばそれは、俺達カプトにも言える事なんだ」
ライオネルは、そう言いながらローズィーを見る
「ローズィーお姉さんは、身体は俺より小さいが、サイバーレッグを使いこなし、俺達小隊の前衛として、攻撃の要として戦って、動物と俺達を守ってくれている」
それを聞いて、アドルが来る前の会話の続きを話してくれていると気づくローズィー
「副隊長」
ライオネルは、ローズィーに笑顔を送る
「アドルくんだっけ?君、スクラムハーフだろ?」
「うん、分かるんですか!?」
「体格的にな、スクラムハーフなら練習の時にボールを出したり、パスの練習に付き合ったり出来る事あるじゃないか。確かに一緒に試合は出れないかもしれない、でもそれはレギュラーにならなければ、皆一緒だろ?今はまず義足に慣れて、みんなの為に練習を付き合える事を目標にして頑張ってみよう」
「みんなの為に…みんなの練習を手伝う事は出来る…うん!出来るかも!!」
「そう、ローズィーが言うように『出来ない事は無い』からな」
アドルに新たな目標を与え、自分も励ましてくれているライオネル
ローズィーはライオネルには敵わないなと思いながらも
「ありがとうございます。副隊長」
と、静かに口にした
ブリストル空港、軍の格納庫内のスペースシップ鵲
コックピットから外を見ているカナタ。アンホの兵隊たちがまだ格納庫を封鎖しているが、避難指示は解除されたと言う情報は受けていた
「今回は何も出来なかったな…あっ」
振り返ったカナタは、机の上の資料が目に飛び込んでくる
「エルドキナ戦の資料まとめも出来てない…はぁ」
カナタは資料をめくり、整理を始める




