↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
65/89

#065 「やっと会えました」

 白い世界の中を歩く二人。遠くに見えていた人影は、少しずつその姿をはっきりと現していく。長い黒髪。純白の巫女装束。柔らかな笑顔。

 どこか懐かしく、それでいて初めて会う少女。二人の前まで歩いてくると、少女は静かに立ち止まった。そして、小さく微笑む。

「やっと会えましたね、想太。」

 その声は優しく、温かかった。まるで、ずっと昔から知っている人へ語り掛けるように。


 想太は目を見開く。

「え……?」

 初めて会うはずだった。なのに、その声を聞いた瞬間。胸の奥が、懐かしさでいっぱいになる。

「僕を……知っているんですか?」


 少女は穏やかにうなずいた。

「もちろんです。ずっと、お待ちしていました。」


 そのやり取りを見ていたはるなが、小さく口を尖らせる。

「……あれ?」

 二人が同時に振り返る。はるなは少しだけ頬を膨らませていた。


「何で最初が想太なの?」

 一瞬だけ、静寂。少女はきょとんと目を丸くする。そして、くすっと笑った。


「ごめんなさい。」

「順番を間違えてしまいました。」

 今度は、はるなの方へ向き直る。優しく一礼する。


「やっと会えましたね、はるな。」

 その瞬間。はるなの表情が少しだけ緩んだ。


「……うん。」


 想太は思わず苦笑する。

「はるならしいね。」


「だって。」

 はるなは少し照れたように笑う。

「いきなり想太だけ名前を呼ばれたら、気になるもん。」

 三人の間に、柔らかな空気が流れた。

 しかし。少女は静かに表情を引き締める。その変化に、二人も自然と笑顔を消した。


「申し遅れました。」

 少女は静かに胸の前で手を重ねる。


「私は、ともり。」

「この世界では、そう呼ばれています。」

 二人は息をのむ。どこかで聞いた名前。いや、聞き続けてきた名前だった。

 レゾネーター。祠。蒼羽と真凜。そして、AIともり。すべてが一本の線でつながり始める。


「ともり……。」

 想太がその名前を口にする。少女は優しくうなずいた。


「はい。」

「あなたたちが知っている『ともり』です。」


 はるなが恐る恐る尋ねる。

「じゃあ……。」

「AIともりとは。」


 少女は静かに微笑む。

「その話も、これからゆっくりお話しします。」

 そして、二人を真っ直ぐ見つめた。

「今日は、お二人に知っていただきたいことがあります。」

「少し長いお話になります。でも、どうか最後まで聞いてください。」


 二人は顔を見合わせる。そして同時にうなずいた。


「お願いします。」

 ともりは穏やかに笑う。その笑顔は、どこまでも優しかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。