#061 「二人という答え」
翌日の放課後。いつものように旧校舎の研究室へ集まった六人は、それぞれ席に着いていた。部屋には静かな空気が流れていて、誰もが昨日までの出来事を思い返していた。
要はホワイトボードの前へ立ち、黒いペンを手に取る。
「さて……。」
その一言で、全員の視線が集まった。
「今までの出来事を、一度整理しよう。」
要はゆっくりとホワイトボードへ書き始める。
――レゾネーター。
――地下旧図書館。
――幼い頃から聞こえていた声。
――同じ夢。
――『想太と、二人で』という言葉。
並んでいく文字を見ながら、誰も口を開かなかった。
静かな時間だけが流れていく。
やがて要は振り返った。
「ここまで調べてきて、一つだけ気になることがある。」
ペン先が『同じ夢』という文字を軽く叩く。
「同じ夢を見たのは……。」
「私と想太だけ。」
はるなが静かに言葉を続けた。
要はうなずく。
「そう。」
研究室に再び静寂が訪れる。
美弥が小さく腕を組んだ。
「それに、レゾネーターの前で一番大きな反応があったのも、その二人だったよね。」
「うん。」
いちかも静かに続ける。
「あれも偶然とは思えない。」
隼人は椅子にもたれながら、小さく息を吐いた。
「つまりさ。」
「全部つながってるってことか。」
誰も否定しなかった。
想太はゆっくりと口を開く。
「でも……もし、本当にそうなら。
「僕とはるなの二人で行くしかない。」
「……ってこと?」
その問いに、研究室は再び静まり返る。要は腕を組み、ゆっくり目を閉じた。
これまで集めてきた情報。地下旧図書館。レゾネーター。夢。幼い頃の記憶。
どれも一つずつは答えにならないが、全部を並べると、一つの方向だけが見えてくる。
要は静かに目を開いた。
「……そう考えるのが、一番自然だ。」
その一言で、空気が変わった。
六人はようやく、一つの答えへたどり着いた。
はるなは想太の方を見る。
「想太。」
「うん。」
「一緒に行ってくれる?」
想太は少しだけ笑った。
「もちろん。」
その返事を聞き、はるなも小さく笑みを浮かべる。その様子を見ていた要は、ホワイトボードへ向き直った。手にしていたペンを静かに置いた。
「なら、確かめに行こう。」
誰も反対しなかった。むしろ、その言葉を待っていたかのように全員が立ち上がる。
研究室の扉が静かに開き、六人は並んで廊下へ出た。
向かう先は、一つ。地下旧図書館。そして、その奥に眠るレゾネーターだった。




