062 閑話 力を与えるのだ
ハンバーガーは美味かったな。
俺はこの世界で、ただ硬いパンをスープに浸して食べることしか知らなかったのにな。
パンを柔らかくすることで色んな方法で美味しくできる。
大した調理工程なしにだ。
パンに野菜と肉を挟み、ソースをかけるだけ。
これだけで劇的に美味くなる。
ひよりのいた世界に行ってみたいな。
どれだけのものがあるんだろうか。
想像がつかない。
何を食べても美味しい、そんな夢のような世界なのかもしれない。
「これからどうするか……」
ひよりは学園に通うみたいだな。
今の俺は本当に料理の腕は上がっているんだろうか。
ひよりの世界の食材ばかりを使ってどうなるんだろうか。
この世界の食材を作って美味しい料理を作れないとだめなんじゃないか?
世界一の料理人ってなんだろうか。
師匠と約束はしたんだがな。
『まだ起きているのだな。何か作るなら我に献上するのだ』
「今は作る予定はないんです」
『それなのになぜ起きているのだ?』
「ええっと、悩みと言いますか……」
『悩みとな。そんなに美味い飯を作れるのに、何に悩んでいるのだ?』
魔王様が相談に乗ってくれようとしているのか?
実はいい人なんじゃ……
そもそも魔王様はなんで世界征服なんてしようとしてたんだ?
「このままでいいのかなって考えていたんです」
『いいではないか。美味い飯を作れるお前は素晴らしいのだ』
「ありがとうございます。だけどひよりに頼りすぎてるんじゃないかって思うんです」
『あの異世界の娘か。あの小娘のスキルは戦闘向きではないが、勇者以上に危険なのだ。美味すぎるものは取り合いにも発展するのだ。力があれば支配することも可能になってくるのだ』
なんかまともなこと言ってるな……
『お前はあの小娘を守るのだろう?単純な力が欲しいのか?それとも権力か?金か?』
「俺が欲しいものは……」
『人間にしてはそこそこ強いようだが、その程度では確実に守れるとは言えないのだ』
「俺が欲しいものは料理人としての力です」
『それだけでは守れぬと言っているのだ……仕方ない。お前にはいつも美味い飯を世話になっているのだ。我が力を分けてやるのだ。見たところ魔法は使えないのだな。』
力を分ける?
何かくれるのか?
「魔王様、何をなさるんでしょう────」
『────ふん!』
「ぐああぁぁぁ!」
『ふぅ。我が力を与えるなど珍しいのだ。かつての配下にすらしてなかったのだ。これで勇者ほどではないが魔法も使えるようにしておいたのだ』
何が起きたんだ……
身体が熱い、力が湧き出る……
『じきに慣れてくるのだ。明日の朝には大丈夫なのだ。その力で小娘を守れるようになるのだ』
そんな力は望んでないのに……
俺はどうなるんだ……
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