048 閑話 スイーツ男子
俺は目覚めてしまったのかもしれない。
料理は好きだ。
俺の一番の特技だと思っている。
それは今後も変わらない。
だが俺のしていることはなんだ。
この大量の甘いものは。
ひよりからもらった材料で作るお菓子の山は。
料理なのは間違いない。
間違いないんだが……
「ついにできた……これが、生クリーム……」
────涙が出そうになる。
今じゃない、今は泣くな。
ホイップクリームと似ている。
似ているが、滑らかさが段違いだ。
それにこのコク。
自分で作るとここまで違うのか。
ひよりの話ではカスタードクリームというものもあるみたいじゃないか。
どうにかして作りたい。
そしてまた甘く幸せなとろけるような感覚を味わいたい。
「あー、また何か作ってる!みーちゃん調査だよっ」
『キュー!キュキュ!』
「みーちゃん隊員、もう発見したでありますね!どれどれ~?ふわっ、こ、これは生クリーム!」
『キューーー!』
「むむむ、これは実食調査が必要であります!みーちゃん隊員、用意はよろしいでしょうか!」
『キュキュ!』
「いざ!実食!」
なんだなんだ、いきなり現れたと思ったら、実食調査?
それはただのつまみ食い……いや、試食だろう。
普通に食べればいいんだがなぁ。
ひよりのために作ってるんだ。
楽しそうだから問題ないか。
「んーーーー!これこれっ!ナッシュくんさいっこうだよ~」
『キューーーー!』
最高、か。
胸が熱くなるな。
また新たなことを覚えた喜びもそうだが。
なによりひよりの笑顔を見ることができた。
俺の作ったもので。
この感情はなんなのだろうか。
ただ美味しいと言われるだけとは違うんだ。
ひよりに言われることが最大の喜びになっているのがわかる。
そのためなら俺はどんなものでも作りたいと思っている。
ひよりに会う前からそうなんだが、それは俺が世界一の料理人を目指していたから。
今も目指してはいるが、それよりもひよりに喜んでもらいたい。
なんだろうかこれは。
俺の知らない味と料理を知っているからなんだろうか。
よく分からん。
分からんが、今の生活は気に入っている。
それだけは間違いない。
みーちゃんとひよりが楽しそうにしている姿を見ているこの瞬間がな。
「みーちゃん、そろそろパンも開発しようよっ」
『キュー!キュキュキュ!』
「でしょでしょ?もう硬いパンはやだよ~」
硬いパンがパンだろう?
柔らかいものがあるのか?
「それはどんなパンなんだ?」
「それを研究して作るのがナッシュくんの役目だよっ」
…………ふふ、ふふふ、ふははははは!
任せとけひより!
お前の食べたいものは全部俺が作ってやる!
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