022 閑話 料理人、山へ芝刈りに
「ここがこの街のダンジョンか」
ダンジョンは魔物を倒すと霧散するからな。
素材の解体をしたかったから、ダンジョンに来ていなかったが、魔石を稼ぐだけならうってつけだろう。
「さて、行くか……」
ソロ活動は慣れてるはずだが、なぜだか虚しいな。
こんな時間からダンジョンに入るやつはいないから空いてはいるが……
まぁいい、浅い階層で魔石の荒稼ぎと行くか。
「おひとりでダンジョンへ挑戦ですか?」
「ああ、そうだが……」
わざわざ一人を強調せんでもいいじゃないか。
虚しさが加速してしまうだろう。
「冒険者カードのご提示をお願いします」
「これでいいか?」
「Cランクのナッシュ様……あなたが例の……どうぞ、お入りください」
例の?
ミノタウロスの一件かもな。
ギルド職員なら知っていてもおかしくはない。
さてと、サクサク倒していくかな。
ここのダンジョンは地下に降りていくタイプだったな。
5階層まではG~Fランクの魔物と言っていたな。
10階層まで一気に行くか。
E~D、それとCランクの魔石を大量に稼げばいいだろう。
地図もあることだし、最短距離で進むとするか。
「弱いな」
Dランクの魔物でこんなに歯ごたえがないとはな。
もう15階層まで来てしまったじゃないか。
みじん切りの練習にはいいが……
そうか、切ることを意識して戦闘することで、俺の捌きの技術がどんどん上がっている。
そういうことだろうな。
今日はこの階のボスを倒して帰るとするか。
「おい、お前、ここのボスをひとりで倒しに行くのか!?」
「……ああ、そうだが。何か問題あるか?」
「問題はないけどよ、無謀じゃねーか?俺たちはDランクの4人パーティだが、それでもここは苦戦するんだ」
「ここのボスは……確かワイルドボアの亜種だったか?」
「そうだ、ワイルドデスボアって2回りもでかいヤツだ。あいつは強いぞ」
「ご忠告感謝する。しかしな、あいにく俺はソロがメインなんだ」
「ひとりぼっちで行くのは無謀だぞ!お前ランクはいくつなんだ?」
……ぼっちって言うなよ。
悲しくなってくるな。
「俺はCランクだな」
「おお、俺らより高ランクなのか。ソロでCランクになるんだから相当強いんだな!獲物は何を使ってるんだ?」
「これだ」
「……ナイフじゃないよな。まさかこれって……」
「これは包丁だ。俺は冒険者ではなく料理人だからな」
「りょ、料理人?料理人なのにソロでCランク?あんたおかしいぜ!」
おかしい、のか?
料理の腕を上げてたらCランクになったたけなんだが……
「ほら、前が空いたぞ。君らの番だ。俺もそろそろ帰りたいからな、さっさと終わらしてくれ」
「お、おう!お前ら、行くぞ!俺達のパーティの絆の力で倒すんだ!」
なんだろう、なんで悲しくなるんだ。
ああやってみんなでひとつの目標に向かう。
素晴らしいじゃないか。
だが俺は冒険者じゃない。
料理人なんだ。
いつだって厨房では孤独な戦いなんだ。
だから、羨ましくなんてない!
ないんだ……
「ただいま……」
「おかえりナッシュくんっ!たくさん魔石取れた?」
「ああ、沢山あるぞ」
「ふふ、芝刈りお疲れ様っ!」
「しばかり?なんだそれは」
「いいのいいのっそれよりご飯にしよ?」
「そうだな」
「はいっ、今日の食材だよっ!」
「わかった、今から作ろう……」
ふふ、疲れて帰ってきて、そして料理をする。
料理人なんだから当たり前、当たり前のことなんだ、ぜ……
ああ、ひよりの笑顔が眩しいな。
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