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「本当に美味しかったわ、また後で来させていただくわね」
「はい!またのお越しをお待ちしております!」
そう深々と礼をするディシーを尻目に私たちは店を出た。あの後、ダリア様はあと一つ、あと一つだけといって合計4つのケーキを食べた。もう三つ目からは見てるだけでこっちが胃もたれしてきそうだった。ダリア様はなぜこの年にもなってあれほど元気なのだろうか。心配というか、不思議だ。というより、だいぶ時間が経ってしまってダグラス様を待たせてしまっていないかが心配だ。そんな私の不安は、すぐにかき消された。
「あら?ダグラスはまだ向かいの店にいるみたいね」
ガラス張りの文具店内を見れば、まだダグラス様がじっくりと商品を見ているのが見えた。
「どうしますか?」
「あんなに夢中になっているダグラスは久しぶりに見たわ。そのままにしておきましょう。他に何か見て回りたいところはある?」
「三人で見たいところはあるのですが」
私がそう言うと、ダリア様はハッとした顔をして私の手を掴んだ。
「なら、お洋服見に行きましょう!」
ダリア様は楽しそうに私の手を引いて歩き始めた。
「はぁ、楽しかったわ。本当にリュシエンヌはなんでも似合うわね」
やっとのことで、私は試着の嵐から抜け出せた。ダリア様の熱量に当てられ、店の方も盛り上がってしまい結局十着以上買ってもらうことになってしまった。私の服なのだから私が払いたかったのだけれど、ダリア様に払ってもらってしまった。
「ではこちらのお品物は後日、子爵家に送らせていただきます」
「えぇ、お願い」
私たちは店の方に見送られ店を出た。かなり時間が経っていることを話しながら、ダグラス様との待ち合わせ場所に戻る。そうすれば、壁に寄りかかって佇んでいるダグラス様の姿があった。
「あぁ、ダリア、リュシエンヌ。買い物は終わったか?」
ダグラス様は、私たちが声をかける前に、私たちの存在に気付いた。ダグラス様は今でこそ子爵という形で領主をやっているが、若い頃はかなり凄腕の剣士だったと聞く。だから私たちがいることにかなり離れたところから気づいたのだろう。
「はい!」
「待たせてしまったかしら?」
「私も先ほど店から出てきたところだ」
そういうダグラス様の表情はどことなく満足そうだ。きっとこの文具店がダグラス様のお気に召したのだろう。
「さぁ、これからどうしようか」
「あの!私、行きたいところがあるのですがついてきてくださいますか?」
ダグラス様の質問に対して、食い気味で私はそう答えた。少し驚いた表情をダグラス様は見せたけれどすぐに和らいだ。
「では、案内してくれ」




