オーナーなんです
「ダリア様、ダグラス様!今日はお出かけしませんか?」
私がここを発つ一週間前、私は二人をお出かけに誘った。
「私はいいんだけれど、ダグラスは…」
「仕事はないですよ!そうですよね、キト」
前々から今日はお出かけすると使用人たちに伝えておいたのだ。きっといきなり言って仕舞えばダグラス様は仕事を心配して着いてきてくれないと思ったから、キトに手伝ってもらい本日分の仕事は子爵補佐の方々だけでも捌けるような仕事にしてもらったのだ。だから、実質ダグラス様の出る幕はない!
「はい、お嬢様。当主様に任される業務は本日ありません、ですので思う存分羽をお嬢様と奥様と共に伸ばしてきてくださいませ」
動揺するダグラス様を尻目に私はキトとハイタッチをする。そうすれば、ダグラス様はふっと表情を緩め口を開いた。
「なるほど、謀ったのか」
「なんのことだか」
その言葉を受けてキトは首を傾げた。
「ダグラス様、一緒におでかけしましょ!」
「はぁ、別にこんなことをしなくてもリュシエンヌのことを優先したぞ」
ため息をつきながらもダグラス様はとても嬉しそうな表情をした。
「では後ほど会いましょう!」
「次はあのお店です!」
私はグイグイと、二人を引っ張るように街並みを歩いた。数日前からずっとお出かけのプランを練っていたのだ。ここら辺にあるお店は全て把握している。ここのお店はダグラス様が気に入りそうなペンや手帳が置いてある。その向かいには、ダリア様が足を止めるであろうスイーツ店がある。子爵領の近くにはいくつか街があったけれど、一番人通りの多いネプトではなくこの街を選んだのは、これが大きな理由だ。
「「ねぇ(なぁ)」」
ほら、二人とも同時に引っかかった。
「どうしました?」
「このスイーツ、とても美味しそうよ。寄ってみない?」
「私はこの文具店が気になるな」
二人は言い終わった後、お互いの顔を見つめ合った。
「……私は一人で文具店を見ているから、ダリアとリュシエンヌはスイーツ店に行ってきてはどうだ?」
「リュシエンヌ、ダグラスの言葉に甘えさせてもらいましょ、久しぶりに二人でゆっくり食べたいわ」
「そうですね!では、また!」
本当は三人でスイーツを食べたかったのだが、ダグラス様がそういうのであれば甘えさせてもらおう。
「そうは言ったもののすごい行列ね。入るまで少し時間がかかりそうよ」
「大丈夫ですよ、ダリア様」
私は、得意げにダリア様の手を取った。そして行列を無視して、店内に入る。
「お待ちしておりました、リュシエンヌ様」
この店はかなり有名なお店で、開店前から行列ができるほどなのだ。だが、貴族も平民も同じように楽しんでほしいから、予約は受け付けていない。なのに、なぜ私がこうやって行列を無視できたのか。
「ディシー。だいぶ繁盛していますね、さすがです」
「いえ、リュシエンヌ様のおかげですよ」
私とディシーの会話を聞いたダリア様がオドオドしながら口を開いた。
「リュシエンヌ、この方との関係を説明してもらってもいいかしら」
「はい、私がディシーの雇用主。つまりこの店のオーナーなんです」




