難しい
「うーん」
「ここ最近ずっとそのような感じですね」
「あ、ルリ。来てたんだ」
数分ほど前にとルリは答える。ノックもしたが返事が返ってこなかったから入ったと続ける。それに手元を見れば、飲みかけの紅茶があった。
「ねぇ、ルリ。もしかして」
「その通りです。リュシエンヌ様は私が出した紅茶をありがとうと言ってうけとってましたよ」
「え、ほんとに!?」
立ち上がって聞けばルリは黙って頷いた。どうやら本当らしい。そこまで私は考え込んでいたのか。
「悩みの種は贈り物ですか?」
そして長年一緒にいるルリには、悩み事まで見透かされているみたいだ。
「ルリにはなんでもわかっちゃうんだねぇ」
と私が言えばルリは得意げに笑った。
「リュシエンヌ様が生まれた時から一緒ですからね」
当然ですとルリは続けた。確かになぁ、ルリは。ルリだけは私の隣にずっといてくれているから。ルリには何も隠せないんだろうなぁ。
「贈り物ってこんなに難しいんだね」
ため息をつきながらそう呟く。
「そうですね。気持ちがこもったものであればなんでもいいともらう時には思いますけど、でも贈る方になると違いますよね。リュシエンヌ様は何を送られるつもりなのですか?」
ルリは部屋の掃除をしながら私に訊いた。
「簡単に身につけられるようなアクセサリーにしたいのだけどやっぱりありきたりすぎて、ね」
ダリア様は普段からピアスやネックレスをつけている方だから、きっと喜んでくださると思うけれどダグラス様は違うだろう。あまり着飾らない方だから。なら、ダグラス様へ贈る物はアクセサリー類ではないほうがいいのだろうか。でも、どうせならお揃いの物がいいな。
「今度街に出てから考えよ」
ある程度決まってから街に行きたかったけれど、贈り物をただただ考えて見ているのもいいかな。
「そうですね」
頭を使って疲れてしまった。少し体を動かしに行こうかな。
「ルリ、稽古しに行くから準備をお願いできる?」
「はい、わかりました」
「はぁ、もうそろそろでこの景色ともお別れかぁ」
「機会があればまたお邪魔させていただきたいですね」
私は稽古場に行くために庭園を歩きながら呟いた。
「そうだね、私の魔法があればすぐに来られるんだけど」
「連絡だって取りづらいですしねぇ」
そうなんだよな。王都とここはだいぶ離れている。そして、手紙を出すにしても届くまでの時間がかかる。頻繁に連絡を取りたいとは思わないけれど、いざというとき時間がかかるのはとても不便だと思う。手紙が届くのを待つより私が魔法で向かった方が一瞬だ。
「私には魔法があるけど……」
私はそこでふと思いついた。空間魔法とか色々駆使して、遠くでも顔や声が聞こえる道具を作れないだろうか。結構大変になるだろうけれど、やってみようかな。
「ごめんルリ!今日はやっぱ剣の稽古やめにする!」
「――リュシエンヌ様!?」
そうと決まれば早速、研究だ!あと数週間、間に合うかどうかわからないけれど試してみよう!




