# 第二十二話 青い雫
青く光る球体。
俺は思わず近付いていた。
大きさは発光茸より少し大きいくらい。
丸い。
透き通っている。
まるでガラス玉だ。
だが。
岩の隙間に転がっているそれは、内側から淡く青い光を放っていた。
(なんだこれ)
発光茸じゃない。
結晶でもない。
生き物でもない。
それなのに。
身体の奥が妙にざわつく。
不思議な感覚。
いや。
心地いい。
そんな感覚だった。
俺はそっと触れてみる。
その瞬間。
身体の中を何かが駆け抜けた。
(うおっ!?)
今までで一番強い。
暖かい。
いや。
熱いわけじゃない。
流れる。
巡る。
満ちる。
そして。
身体の奥へ吸い込まれていく。
球体の光が少し弱くなった。
(吸った……?)
俺は慌てて離れる。
球体はまだ光っている。
だが。
さっきより少し暗い。
そして。
今度は俺の身体の方に違和感があった。
中がいっぱいだ。
水を溜めた時とも違う。
食べた時とも違う。
何かが満ちている。
そんな感覚。
(なんだこれ……)
不安になる。
でも。
嫌な感じではない。
むしろ。
身体が軽い。
調子がいい。
不思議なくらい。
その時。
頭の奥に情報が浮かんだ。
魔力保持
解析進行度:1%
(……は?)
魔力。
魔力?
魔力って。
あの魔力か?
ファンタジーの?
(いやいやいや)
(いきなり魔力って言われても)
困る。
心の準備というものがある。
そもそも。
魔力ってなんだ。
電気みたいなものか?
ガソリン?
栄養?
全然分からない。
でも。
今までの経験上。
頭の中に浮かぶ情報は間違っていない。
つまり。
俺の中には今。
魔力という何かが入っている。
……らしい。
(えぇ……)
なんかすごいことになってきた。
そんなことを考えていると。
青い球体がまた微かに光る。
まだ中身は残っているようだった。
俺はしばらく考える。
そして。
結局。
もう一度触れることにした。
少しだけ。
本当に少しだけ。
すると。
再び身体の中へ流れ込んでくる。
暖かい。
心地いい。
満ちていく。
そして。
今度は。
頭の奥ではなく。
身体の表面。
そこに変化が起きた。
ぽう。
俺の身体の一部が。
ほんの僅かに。
青白く光った。
(……え?)
数秒。
それだけだった。
すぐに消える。
だが。
確かに光った。
見間違いじゃない。
いや。
俺には目がないけど。
そんなことはどうでもいい。
(今の……俺?)
俺はしばらく固まった。
そして。
ゆっくりと。
笑うような気分になった。
(魔法……なのか?)
まだ分からない。
ただ光っただけ。
それだけだ。
それでも。
転生してから初めて。
俺はこの世界が本当に異世界なんだと。
そんなことを実感していた。




