24/67
おだやか
おもしろいことに、てのひらで転がる金の粒が、だんだんと、かわいらしくおもえてきた。
けわしい道をのぼれば、まるでヒコイチを助けるように、粒をにぎった手が、勝手に前へでる。
喉がかわいてきたと思うと、ころころと手の中でさわぎ、ひらけば、こちらへはやくゆけ、というように小さくはねて、沢のありかを教えてくれた。
「おめえも飲むかい」
粒を流さないようそっと手のひらに沢水にひたすと、粒がちいさく震えて、喜んでいるようだった。
「 ―― おめえも、《番神様》の仲間なのかい? だとすりゃあ・・・ここの《山神様》は、ひどく穏やかな神様かもしれねえなあ」
ヤヘエといい、この金の粒といい、穏やかで、人をおどすところがない。




