温泉惑星の決闘!湯煙に舞うサイバーゴリラと天使の抱擁
【登場人物】
祥華院ガラシャ
美しきサイバー聖騎士。
温泉で羽を休めるつもりが、またもトラブルに巻き込まれる。
黒鋼の追跡者・オルフェウス-X
ガラシャの湯上り姿を死守するため、全方位に刃を向ける暴走ヤンデレ。
猿空大魔王・ヒデヨシ・コング
「レイヤー・湯けむり」の源泉を占領し、全宇宙の美女データを集めようとするサイバーゴリラ。
大天使ラファエル・ガブリエルⅡ
どこからともなく現れ、
すべてを「究極の友情温泉リゾート」として強引にまとめようとする見当違いな大天使。
前回の爆発から逃れ、
祥華院ガラシャがたどり着いたのは
「レイヤー・湯けむり」——全宇宙の傷ついたデータと肉体を癒やす、
一面のナノ粒子温泉街であった。
「……たまには、このような休息も悪くはありませんね」
ガラシャがホログラムのバスタオルを羽織り、
ナノ湯に足先を浸した、まさにその瞬間。
湯煙を切り裂いて、
またしても漆黒の重装甲——黒鋼の追跡者・
オルフェウス-Xが温泉の底からドカンと浮上してきた。
「ガラシャァァァ!
お前の湯上がり姿だと!?
危険だ!
この世界の光子粒子すらお前の肌に触れるのは許さん!
俺の体内に格納されている完全防護フィルムで全身を覆ってやる!!」
「……湯船の底から出てくるなと言ったはずです。消えなさい」
ガラシャが冷たく言い放つと同時に、温泉の源泉タワーが爆破された。
『ギャハハハ! 湯煙に乗じてお宝データいただきだ!』
現れたのは、
巨大な黄金の湯桶型パワードスーツを着た猿空大魔王・ヒデヨシ・コング。
『この温泉のナノ粒子をすべて
ワシの「ハーレム・サーバー」にろ過注入し、
祥華院の娘っこごとワシのプライベートスパにしてくれるわ!
食らえ、サイバーバナナ湯の花爆弾!』
ボカンボカンと湯船に叩き込まれるバナナ型爆弾。
だが、
誰よりも早くそれに反応したのは、
目から血のような赤光を放つオルフェウス-Xだった。
「貴様ぁぁぁ!
ガラシャの入浴時間を邪魔した上に、
その視界に下品な黄金桶を滑り込ませただとぉぉぉッ!?
狂乱モード起動! 全猿、温泉ごと分子分解してやるぅぅぅッ!!」
次元切断刀が唸りを上げ、
ナノ粒子の温泉が津波のように巻き上がる。
メカサル軍団と狂乱の夫が湯煙の中で大混戦を開始した。
そこへ、
頭上から讃美歌のような大音量のBGMと共に、
黄金の羽をバサバサと羽ばたかせる影が降り立つ。
大天使ラファエル・ガブリエルⅡである!
「ストップ!
ストップです皆さん!
ああ、なんという尊い『混浴の絆』でしょう!」
ガブリエルⅡは感極まった様子で涙を流し、
手にした黄金のタクトを大袈裟に振るった。
「裸の一騎打ち……それこそが男たちの真の友情!
そしてそれを見守る女神!
これぞ全宇宙が求めていた
『究極の湯けむり・和解シチュエーション』です!」
ガブリエルⅡが怪しい天使パワーを発動させると、
激しく殴り合っていたオルフェウス-Xとヒデヨシ・コングが、
謎の不可抗力によって強力な力で「ガバッ」と熱い抱擁を交わさせられた。
『ぶはっ!?
なんじゃこの黒いヤバい奴の抱擁は!?
苦しいウギャー!』
「離せぇぇぇ!
俺が抱きしめるのはガラシャだけだ!
猿の毛並みの感触でデータが汚染されるぅぅぅ!」
「さあ! 互いの体温を感じ合い、
過去の過ちを流しなさい!
これにて『超銀河・友情温泉大団円』の完成です!
めでたし、めでたし〜!」
パチパチと拍手を送るガブリエルⅡの背後で、
横断幕「祝・サルとヤンデレの湯けむり誓いの抱擁」が空中に展開される。
その凄絶な見当違いとカオスに対し、
ガラシャは静かに湯から上がり、
光芒の霊剣を抜いた。その瞳には、一切の情け容赦もない。
「……私の湯浴みを汚した罪、そしてその滑稽な芝居……万死に値します」
『神聖次元一刀・湯煙大消滅』!
ドッッッカーーーン!!
神聖なる光線が温泉街ごとすべてを吹き飛ばし、空へ上がっていく3つの影。
『またワシだけ損してる気がするウキャー!』と散っていくヒデヨシ。
『ガラシャに消去されるなら本望ぉぉぉ!』と叫ぶオルフェウス。
『えええ!? 友情のハグじゃダメなんですかー!?』と絶叫するガブリエルⅡ。
静けさを取り戻した(そして更地になった)温泉街で、ガラシャは優雅に髪を整えた。
「……まったく。少しも休まりませぬね」




