第8話 赤が入って乱れ始める(5)
たまきとかのんはF組の教室に入る。ファストフード中心の模擬店だ。まりな、みつば、かえでの姿があり、かのんが声をかける。
「みんなー! たまちゃんもいるよん!」
かのん、席に座る。一方のたまきは、まりな達に軽く問う。
「赤いマスって、3人とのんちゃんと仕組んでいたってこと?」
3人揃って首を縦に振る。
「それ、すみれちゃんとうららちゃん、知らないんじゃない?」
「サプライズとかドッキリって形で私達4人で考えてみたんだ!」
かえで、堂々と答える。
「もしかして、たまちゃん。怒っているの?」
まりな、少し怯えている。
「怒っていないよ。ただ、すみれちゃんが見たら間違いなく」
「私もアイデア出た時はちょっと怖かったけど。のんちゃんとみんなの距離を縮めるためを考えたら、気にしなくなっちゃった」
みつばとしては、堂々としていた。
「たまちゃん、座って! せっかくだし、みんなでお喋りでもしちゃお!」
たまき、かのんと向かい合うように席に座る。2人のテーブルにワッフルとポテト、ジュースが届く。2人ともお腹が空いていたため、食べながら会話をする。
「たまちゃんの、かわいい感じのオーラって、のん初めて感じたんだよね」
「そう? 都内の学校に通っていたから、都内の方がそういうタイプの人も結構いる気がするけど?」
「意外と高校生だといないかなあ。だから、まりちゃんと幼馴染って聞いて、2人を見比べたら、まるで双子ちゃんだったもん」
まりなが会話に入る。
「昔から、まりなの方がお姉ちゃんって役割だったよ」
「わかる! まりちゃんって気配り上手だし、みんなのこと大切にするってタイプだもん。たまちゃんは、どちらかと言えば甘えん坊タイプかも」
「どうして、そう感じるの?」
「だって、すみれちゃんと付き合っていることも考えれば。わかりやすいもん」
みつばとかえでも会話に入ってくる。
「のんちゃん、意外とのんちゃんも的確なこと言うから。ある意味毒舌」
「どう? たまちゃんは、のんちゃんのことどんな感じに思っている」
かえでは興味津々に、たまきに問いかける。
「のんちゃんって、凄いよね。どんな時でもブレなくて前向きで、子どもみたいにやんちゃで。でも、どうしてわざわざ原宿から、柏の葉に転校してきたの? 文化祭でまりちゃん達と出会った意外にも理由ってある?」
のん、一旦間を置く。
「前の学校、スクールカーストが強かったの」
かのんが、真剣に言い出すと、たまきは疑問を抱き、まりなの顔を見る。
「あれ? すみれちゃんが想像していたこととほぼ同じように聞こえるけど…」
「ごめん。あの時は、のんちゃんのイメージを悪くさせたくなくて…」
「ありがと、まりちゃん。でも、のんは正直に話したいから無理に誤魔化さなくて大丈夫」
「もしかして、松戸から原宿まで電車で通っていたってこと?」
「うん。キラキラした高校生活を送りたくて、制服と雰囲気だけで受験しちゃったの。でも運良く受かって。私立だったから、パパとママにお金のことで迷惑かけそうで怖かったけど、のんのことを思って、OKしてくれたの」
「そう言えば、仲が良かった子とかっていなかったの?」
「んー。いなかったかも。華やかそうに見えて、みんなオシャレに気を使っているけど、実際はプライド高い子が多くて、見た目とか能力とかで競い合うのが当たり前だったの。性格や中身を見るなんて考えられなかったから」
「じゃあ、去年文化祭に来た時、ホッとしたってこと?」
かのん、首を縦に振る。
「のん、嬉しくて後悔しちゃった。最初からここを受験すれば良かったって」
「まりちゃんも、かえでちゃんも、みっちゃんも結構面倒見が良いから救われたんじゃない?」
「あの時、本当に救われちゃったから、ここに来ればのんも心が落ち着いて、みんなとエンジョイ出来るって思えたの」
たまき、かのんの話を聞いて、微笑ましくなる。
「他のみんなにも、聞いてもらいたいなぁ」
まりな、みつば、かえで、かのんの4人は、たまきが穏やかな表情になるのを見て、達成感を感じたように純粋に微笑んだ。
うららが教室に入ってくる。
「あっ、のんちゃん!」
「うららちゃん、こっちこっち」
かのん、うららに向けてジェスチャーをする。うららはみんなの元にやってくる。
「私もボードゲームで遊んでいたら、赤いマスに当たっちゃって。よく見たら、のんちゃんとデートって書いてあったから」
「多分、久哉くん達が、ぼくがのんちゃんと一緒にいることを教えてくれたんだよね」
「そう」
まりな、うららに頭を下げる。
「ごめん。まりな達勝手なことをしちゃって」
かえでとみつばも続けて、頭を下げる。
「私達、のんちゃんをグループに入れるように考えて」
「かえでちゃんが言い出しちゃったから、つい」
「みんな、頭を上げて。私は面白いって思ったよ。文字を見たらつい笑っちゃった」
「ぼくだって、最初はふざけるなって思っちゃいそうだったけど、ある意味楽しく感じちゃった」
「ただ、1人だけ。納得がいかない子がいるけどね」
うららの言葉を聞き、5人とも心当たりがあり、回答は一致している。当然すみれだ。5人とも気まずそうな表情をする。
「他の男子3人もすみれを説得しようとしているみたい。私は、みんなで楽しくグループで活動出来ればそれでOK。とはいえ、すみれのあの感じだとね…」
5人ともすみれの表情を想像すると更に怖さを抱いてしま。そんな5人を見て、うららが機転を利かせて、話題を切り替える。
「たまちゃん、のんちゃんとどんな話をしていたの?」
「色々話したよ。折角だから、うららちゃんもどう?」
「勿論。私ものんちゃんのこと、知りたくて」
「やっぱりみんな優しい。きっと、すみれちゃんも本当は優しかったりして」
かのんがそう答えると、たまきが答える。
「そうだよ。ぼく達のこと、ちゃんと考えてくれているから」




