第7話 知名度アップはヒートアップ(4)
そして、数日後。多目的教室にて、まりなやたまき達が、文化祭の出し物について話し合っていた。
「色々考えたんだけど、ボードゲームってことでどうかな? つまり、俺らでボードゲームを作るんだ」
真っ先に、目を輝かせたのはたまきとかえでだった。
「楽しそう! 教室の装飾とかも含めて、ボードゲームをぼくたちで作れるんでしょ」
「学校全体が舞台ってことで!」
「かえで。ナイスアイデアだ」
かえでのアイデアに航琉が称賛する。
「学校全体が舞台か。裏方として、色々作るには楽しそうだよね」
真裕も賛成する。みつばも賛成しながら、案を出そうとしている。
「せっかくメンバーも増えて、校内でも私達が認知されるようになったから。少しカラフルにしないと…」
まりなが提案する。
「今まで以上にカラフルにしたり、当日は、まりな達がイメージカラーの服装で出るっていうのは?」
うららが意見を出す。
「イメージカラーだと、わたさんとは黒、真裕くんはグレー、私は白になっちゃう。あ、私は水色にすれば大丈夫」
すみれ、みんなの意見を聞き、内心嬉しそうに微笑む。
「モノクロ3人が加わっただけなのに。カラフルっていうのもね」
久哉の言う通り、"いろどりいいとこどり"としては、学校全体を舞台にしたボードゲームで出店することに決まった。
「そう言えば、D組はお化け屋敷なんだよな」
久哉の言う通り、D組ではすみれが雪女、航琉がゾンビを演じるお化け屋敷で出す。
「お化け屋敷と言っても、美術館をイメージしているからな。絵はすみれが描いてくれるみたいだし」
航琉の言う通り、ボロボロの美術館をテーマにしているとのことだ。
「私が絵が上手って、クラスのみんなが言うから、美術館の設定になっちゃった」
みつば、楽しそうに提案する。
「そしたら、F組で飲食店をやるから。ワッフルとかポテトとか美味しそうな絵を描いてほしいけど大丈夫?」
「まりながいるでしょ。私が描く絵じゃ、そっちのテーマに合わない気がするから」
みつば、苦笑いをする。
「そう言えば、そうだったね。まりちゃん、お願い」
「いいよ! B組も飲食って聞いたけど、どんな感じ?」
「ぼく達は、うどんを出すよ。そう言えばA組は?」
「ねね、確か真裕くんのクラスはダンスって聞いたけど、真裕くんも踊るの?」
たまきが尋ねると、何故かかえでが答えながら真裕に尋ねる。
「いや、僕は音響係だから。裏方専門だしね」
航琉、真裕を羨ましそうに見ている。
「俺は表舞台に立たされるのに…」
「おいおい、そんなしょげるなって。ある意味ゾンビ役はわたさんならではだろ」
「僕もそう思う」
真裕は、久哉の肩を持つ。
「こら真裕」
航琉、若干諦め顔。他の5人(すみれ以外)は笑う。
うらら、進路に関する話題を持ち出す。
「そういえば、みんなは進路どうするか考えた?」
真っ先に答えを出したのはたまき。
「ぼくは、美容。もっとお店を大きくしていければなぁって思って」
「そっか。たまちゃん家は美容室だもんな。俺は、大学か専門かで迷うんだよなぁ。何やりたいか決まってもないし」
久哉も、まだそこまで考えていないようだった。
「俺は、創作関係しかできないかもな。多分、社会に馴染めそうな感じがしない」
航琉、ネガティブな回答をする。
「僕も、普通に大学か専門出て、就職になりそう。流石に高校卒業したら、地味で目立たない人生になるだろうし」
真裕は、ありきたり過ぎる回答。
「たまちゃんは偉いよね。私も大学出て就職になるかも。お茶は好きだけど、仕事にどう活かすかは別だし」
みつばも、ありきたりな回答。
「かえでちゃんは、料理好きだから、調理や栄養の学校がいいかも。でも、インフルエンサーもやってみたい」
かえでは、やりたいことがたくさんあるようだ。
「かえでちゃんったら、欲張りね。私も大学出て就職になりそう。何の分野かは全然決めらない」
言い出したうららも、そこまで進路を固めていない。
「言いだしっぺなうららでも、決めていないなんて珍しいじゃない。私は考えるとすれば、芸術関係くらい。普通の進路じゃ、しっくり来ないし」
すみれ、普通じゃ無理だと思って、芸術を考えている。そして、まりなが回答する番が来る。
「まりなは、保育・福祉関係を考えているんだよね。ママみたいに優しくて頼れる人になりたくて」
まりなが言い終わると、進路に関する会話が続く。とはいえ、久哉、うらら、みつば、真裕は方向性が固まらずにいる。
たまきとすみれは自転車、うららは徒歩で柏駅方面に向かって下校している。
「そう言えば、手賀沼の花火大会もうすぐだね」
たまきが言い出すと、うららが反応する。
「そういえば、すみれとたまちゃんって、デートしたことあるの?」
うららが、会話に入りながら2人に尋ねる。
「あるとすれば、ショッピングや一緒に帰る暮らし行かないかも」
たまきが答えると、すみれがフォローする。
「つまり、みんなが考えるようなデートはまだ、やっていないから」
「2人ともどう? たまには別の場所でデートをするとかってやってみたいと思ったりしないの?」
うらら、少し具体的に尋ねる。
「ぼくは、水族館とか遊園地とかに行ってみたい」
「私は今のところ、そこまでこだわりはないかも」
「ごめんね。変なこと聞いちゃって」
うらら、若干自分が空気を読んでいないことを謝る。
「せっかくだから、みんなも誘う?」
すみれ、うららも会話にいることを踏まえたうえで、気を使いみんなを誘う手段を取る。
「良いかも。あ、じゃ私はここで。またね」
気がつけば、柏駅まで着いている。うらら、電車に乗るため、2人と別れる。
「たまちゃん。みんなにLINE送って」
「OK」
たまき、本当はすみれと2人きりで行きたいが、みんなも誘うことに同意した。
一方のまりなは、みつばとかえでと商業施設の中を歩いている。3人はLINEの通知音に反応し、スマホを開く。グループLINEに、たまきから「手賀沼の花火大会、みんなで行きたい」とのメッセージ。
「せっかくだから、みんなで行こうよ!」
かえで、乗り気になる。
「たまちゃんからの誘うって珍しいかも」
まりなとしては、たまきがすみれと帰っているので、すみれにみんなを誘うようにお願いしたように思えていた。
「もしかして、すみれちゃんとデートのついでに。みんなも誘う感じじゃない?」
ある意味、みつばの考えは的中していた。
「勿論、まりなも行く」
「もしかして、たまちゃんのこと心配?」
「ちょっとね。それだけじゃなくて、せっかく9人になってから初めてみんなで、お出かけするから。まりな楽しみ」
まりな、気持ちを入れ替える素振りをする。
その頃の男子3人。久哉と航琉は自転車、真裕は徒歩で南柏駅方面に向かって下校している。3人とも、LINEを見ている。
「花火大会か。暑いけど、夏らしいからありだな!」
「花火大会か。ということは浴衣」
久哉と真裕には、航琉が女子達の浴衣を妄想していることが想像できる。
「わたさん。ここは行くだろ」
「俺は浴衣は着ないからな。それより、人混みは苦手だ」
「僕も。影薄いから迷子になりそう」
「おいおい。2人ともノリ悪いぜ。ここはポジティブに考えるんだよ」
「久哉。お前までかえでになるなって」
「そう言えば、松戸の花火大会も同じ日にやるからなぁ」
「そっか。真裕は松戸だから、そっちのほうが近いよな」
この時点では、久哉は参加の意思あり。航琉と真裕は、濁っていて参加の可否を決めていない状態であった。




