第7話 知名度アップはヒートアップ(3)
数日後、収録された内容が放送される。各クラス、ニコニコと笑いながら映像を眺めている。その中でD組は、玄斗と昂汰が、映像に映る真裕を見ておかしそうに笑いながら見る。
「この真裕くんって、いつ頃入った?」
玄斗がすみれと航琉に聞く。
「GW明けくらい」
すみれが答えると昂汰が不思議そうな顔をする。
「俺、初めて見たんだけど、誰か知り合っていたってこと?」
「俺とたまきとかえでは、去年から知っていた」
玄斗、少しからかい気味に真裕を評価する。
「わたさんとすみれと同じで、陰キャっぽいよなぁ。でも、やっぱり2人と違ってパッとしない」
昂汰が、実際に本人に会おうと考えて意見を出す。
「試しに、いじってみるか」
「やめなあんた達、調子に乗りすぎるから」
すみれに、止められる。
「それにしても、これから俺は学校中から視線を集めることになるのか…」
航琉が若干萎えている素振りをすると、玄斗が航琉が笑う。
「ま、わたさんはある意味被害者だもんな」
「どちらかと言えば、わたさんと真裕くんじゃね?」
「そうだ。俺と真裕は裏方専門。目立つのは好きじゃない」
「ちょっと、私も被害者なんだけど?」
すみれ、3人にツッコむ。玄斗と昂汰がおかしそうに笑う。航琉、口角を少し上げる。
真裕がB組の教室の中に入ってくる。生徒達から視線を集められ、若干動揺しながら、たまき、久哉、うららのそばまでやって来る。
「おっ、真裕からこっちに来るなんて珍しいな」
「テレビに映ったせいで、クラスのみんなに注目されちゃったから、どうしていいかわからなくて」
「普通に過ごせば、大丈夫でしょ。影が薄くなくなった証拠よ」
「でも、どうやって」
真裕、うららに言われると悩んでしまう。
「この機会だから、もっとクラスのみんなと喋るのが良いよ。心配なら久哉くんが着いていってくれるけどね」
たまき、久哉に任せようとする。
「おいおい、たまちゃん。俺に全振りするつもりか?」
「だって、久哉くんがリーダーじゃん。でも、ぼくも着いていっても良いけどね」
「どうせなら、わたさん含めて男子4人っていうのもありだな」
久哉が提案すると、"男子4人"という言葉を聞いて、たまきは新鮮な気持ちになる。
「ぼくと、久哉くんと、わたさんと、真裕くん。なんか、ぼくだけ浮いている気がするなぁ」
「どちらかと言えば、たまちゃんはかわいい系で、他の3人はクール寄りだからね」
「それだと、ぼくの方が真裕くんより目立っちゃいそう」
うららに言われると、たまきは若干自分だけアウェイになっていないか少し不安になる。
たまき、久哉、真裕はD組にやってくる。玄斗と昂汰が真裕に近づく。
「もしかして、真裕くん?」
玄斗に問われると、諦め顔の真裕
「やっぱり、知れ渡っちゃっているな」
すみれが遠くから、ツッコむ。
「この2人、イタズラ好きだから気をつけて」
昂汰、敢えてムッとする。
「イタズラ好きとは、酷いこと言うな」
たまき、笑顔で圧をかける。
「だって、そうでしょ?」
航琉、中立の立場を取る。
「心配するな真裕。そのうち慣れる」
「というか、わたさん。俺とたまちゃんと真裕と一緒に来て。A組で真裕の存在感をもっと、アピールさせないと」
「あの放送だけじゃダメなのか?」
「そうだよ。僕はテレビに映ればそれで十分」
玄斗が会話に乗りながら、昂汰と自分も一緒に入れるよう久哉に提案する。
「それじゃ俺と昂汰も行くわ」
すみれ、若干鬱陶しく感じてくる。
「度を越すのだけはやめて」
久哉、玄斗、昂汰を軽く睨みながら、たまきにお願いするように声をかける。
「たまちゃん。真裕くんが嫌な気分にならないよう、フォローして。他の4人だとどうなるかわからないから」
「わかった!」
たまき、すみれからお願いされると内心、頼られている感じがしたと思い、張り切る。
F組の教室にうららが入ってくる。まりな、みつば、かえでと4人で会話をする。
「真裕くん。校内放送の影響でクラスでも割と注目を浴びちゃって、混乱しているみたい」
能天気なかえでは前向きに捉えている。
「いいじゃん! 誰からも相手にされないより楽しいと思うなぁ」
一方のまりなとみつばは若干複雑だった。
「まりなは、真裕くんが気疲れしないかちょっと心配かな」
「私も同感」
すみれが入ってくる。
「男子達が揃って、真裕くんをクラスに馴染ませる作戦みたいなことをやるみたい」
"男子達"という言葉にまりなが反応する。
「たまちゃんも入っているの?」
「入っている。というより、私がつけた。久哉と玄斗と昂汰だけじゃ、心配だし」
みつばは、玄斗と昂汰が入っていることに疑問を持つ。
「えっ、なんであの2人も!?」
「うちのクラスに久哉とたまちゃんと真裕くんが来たから、わたさんを誘ったついでに、あの2人も」
「とりあえず。言ってみよっか!」
かえで、張り切る。
「私はとりあえず、たまちゃんに任せているから。気になるなら覗いてくれば」
まりな、みつば、かえでは教室を出る。すみれとうららが残る。
「うららは行かないの?」
「逆に人が多すぎると、真裕くんも監視されているみたいで圧を感じちゃうからと思ってね」
「みんな、真裕くんのこと心配し過ぎ」
「そういう、すみれだって気にしているじゃない」
すみれ、うららに言われたのが図星なため、敢えて何も言わない。
A組の教室内。たまき、久哉、航琉、玄斗、昂汰が覗きながら入る。真裕は彼らの後ろに隠れながら入る。
「おいおい真裕。自分のクラスだろ。俺らの後ろに隠れてどうするんだ?」
たまき、真裕の横に移動する。
「これなら、大丈夫でしょ?」
真裕、少し安心した表情。たまきや真裕を見た、悠乃が声をかける。
「あ、工藤くん! それに、同じサークルのみんなも一緒だなんて」
玄斗と昂汰、悠乃にツッコむ。
「あの、俺らはサークルのメンバーじゃなくて」
「たまたま、こいつらと仲が良いからついてきて。それと真裕くんが気になってさ」
A組の生徒達、たまき達に注目する。たまきは、ドキッとした表情をする。
「おいおい、たまちゃん。真裕より緊張しているな」
「だって、初めてこの教室に入ってみたから」
久哉が教室内を見渡すと航琉がツッコむ。
「どうせ、女子だろ? かわいい子がいないか確認していることくらいわかる」
女子数名が並ぶ6人を見て評価する。まずは、航琉と真裕から。
「寒河江くんと工藤くん。似たものコンビだけど、何かが違う気がする」
「最近、工藤くんの存在感が出てきている気がするかも」
航琉と真裕は圧を感じている。
「剣崎くん、チャラくて要領良さそう」
「えっ、それだけ? というか的確だな」
久哉、あっさりと返す。
「2人は一体? 付属品?」
付属品と言われているのは、玄斗と昂汰。
「付属品言うなって!」
「俺らのこと知っているだろ」
女子達はたまきに視線を移す。
「たまちゃんって、女子の中に混じっても自然に馴染みそう」
「普通に溶け込めるからすごい」
女子の1人、、真壁美玖亜がたまきに接近して、興味津々に質問をしてくる。
「確か、すみれちゃんと付き合っているんでしょ?」
そう聞かれると、たまきは首を縦に振る。
「凄い。まさに、コールドガールと、かわいいジェンダーフリー男子の組み合わせ」
美玖亜からの評価に、たまきは若干複雑な表情をする。
「すみれちゃんが、コールド。クールを通り越して?」
「ちょっと、ツンとしていて愛想があまり良くないんだよね。たまにうららちゃんといるのを見ていると、うららちゃんが優し過ぎるように見えるから」
「そっか、うららちゃんと1年の時、同じクラスだったね」
「私も」
たまきと美玖亜の会話に入ってきたのは、崎田鈴菜。悠乃と美玖亜と鈴菜は、1年次から3人揃って同じクラスであり、うららとも仲が良かった。
「そういえば、まりなちゃんとは幼馴染で今も仲良しってことでしょ?」
悠乃が会話に入りながら、たまきに聞いてくる。
「ママ同士がもともと友達だから、ぼくとまりちゃん、幼稚園から仲良しなんだ」
まりな、みつば、かえでが教室を覗く。まりなは女子達とお喋りしているたまきに視線を移す。
悠乃、まりな達に声をかける。
「あっ! 噂をすれば。ねね、こっちに来て!」
かえで、まりなとみつばの手を握って、教室に入っていく。
「今、まりちゃんとすみれちゃんについて、話していたところ」
たまきの言葉を聞き、かえでがちょっぴりがっかりしつつ、楽しそうにリアクションする。
「かえでちゃん、話題に出てこなかったの?」
一方のみつばは、爽やかスマイル。
「つまり、私の話題が出てこないってことは、目立っていない。セーフ」
まりなは、かえでとみつばにツッコむ。
「大丈夫、これから2人の話題が出てくるかも」
一方のA組の男子達の関心の的は真裕である。男子達は真裕に視線を移す。
「工藤くんって、久哉と仲良かったなんて」
「久哉くんっていうよりかは、わたさんとたまきくんと知り合いだったから」
真裕が回答した後に、久哉がフォローする。
「俺ら4人とも、みんなタイプ違うのに、なんだかんだ今のところ気が合うんだよな」
「そうだよな」
「というか、玄斗と昂汰は入らないの?」
「俺らは、普通の高校生ってことだから」
「何度も誘われてわいるけど、パスしているんだ」
うらら、教室を覗く。女子がたまき、男子が真裕にそれぞれ注目している姿を興味深く眺める。2人とも、楽しそうに会話している姿が映り、うららも安心している。
「たまちゃんと真裕くん。注目の的になっちゃって、たまちゃんは別のクラスなのに」
まりな、うららのそばに寄ってくる。
「真裕くん、クラスで注目されていているけど、意外と馴染んでいるね。まりな安心しちゃった」




