第6話 微かに感じる影と刺激(2)
まりな、6枚6色の折り紙を机に並べて眺めている。
「まりちゃん、どうしたの? 折り紙並べて」
みつばの言葉につられ、他のみんなもやってくる。たまきが色を眺めている。
「ピンクに黄色。オレンジに緑。紫に青。6人だった時のみんなの色だよね」
まりな、続けて白と黒の折り紙を並べる。
「それに白と黒。うららとわたさんね」
すみれ、素っ気ないリアクションをする。
「カラフルなんだけど、何か物足りない気がするのは気のせい?」
かえでにしては、少し疑問を抱くようなリアクションをする。
「大事な色が抜けているような気がするよな」
久哉が言い出すと、みんなで8つの色を眺める。少し間が空き、みんなが気付いたように口を揃えて答えを出す。
「赤!」
「俺が青だから、すぐわかった」
「緑と対称的な色を考えてみたら、赤」
「オレンジと似た色を考えてみたら、赤」
「白との組み合わせで、黒以外だと赤かな」
「黒と同じ、インパクトがある色を考えたら、赤」
8人中、5人が立て続けに、赤にたどり着いた意見を述べた。
「私は、かなり前から気付いていたけどね」
すみれは、若干上から物申す。
「実はぼくも、気付いてはいたんだけどね」
「まりなも同じ」
「ちょっと!」
みつばとかえでがツッコむ。
「2人とも、それ早く言ってほしいな」
久哉もツッコむ。
廊下から、1人の男子生徒が背中を向けて走り去っていく姿が映る。たまき、一瞬だったため、気にしてしまう。
廊下を眺めているたまきに、まりなが声をかける。
「どうしたの、たまちゃん?」
「なんかさっき、誰かがぼく達のことを見ていた気がする」
「廊下通りかかったら誰でもチラ見ぐらいするだろ」
航琉曰く、そこまで気にすることはないとのこと。
「なんか、興味があるように長く見ていた気がしたんだよね」
「もしかして、このサークルに入りたいってことか?」
久哉の見解だと、サークルに入りたいけど入ろうとする勇気が出ないということである。
「ということは、赤のイメージがする子だったりして」
かえで、イメージカラーが赤のような子を想像していた。
「でも、そういう子ってチラ見はしないと思うけど。どちらかと言えば、自分で堂々と、声をかけてくるタイプじゃないかな」
うららとしては、イメージカラーを赤だと例えるなら、もっと積極的に声をかけてくると言うことだ。
「赤じゃなかったら何色だと思う?」
まりなが問う。みんな、なかなか答えが出ない。
「もしかしたら、1年生で入りたい子が、なかなか声かけにくくてっていうパターン?」
みつばとしては、入部を希望する新入生を想像している。
「まぁ、今は色のこととか、誰かに見られていたとかは置いておいて。とりあえず、お疲れ様だな」
久哉、その場を上手くまとめながら話し合いを終えて、解散させる。
廊下からとある男子生徒が多目的教室覗いている。誰も見ていないため、気付いていない。
まりなが、振り向いたと同時に、彼は咄嗟に走り去っていく。
「あ、やっぱり誰か近くにいる気がする」
「誰か、ぼく気になるから追いかけてみる」
「まりなも」
「かえでちゃんも」
まりな、たまき、かえでが教室を出ようとする。
「今は追う必要ないでしょ。また来るかもしれないからその時に」
すみれ、3人を止める。
「もしかしたら誰かしらのクラスを覗いたりすることもあるから、その時が狙い目だな」
久哉も、別の機会を窺えば良いと考えている。
「ごめん、ぼくが余計なこと言っちゃて」
「まりなも」
まりたま揃って謝る。
「まぁ、気長にやればいいってことだよね」
かえで、次の機会に備えようと前向きに考えている。
一方、多目的教室を離れ、ひたすら廊下を歩く男子生徒の姿があった。彼はボソボソと小声で呟く。
「結局、話しかけられなかった。それにボッチだからなぁ」
彼の見た目は短髪のセンター分けウルフカットが特徴でメガネをかけている。
とある日のB組。たまきと久哉がお喋りをしてた。
「わたさんから、絡んでくることってある?」
「俺となら、あるっちゃあるけど。ただ少ないかもな」
「他の子に声をかけているところ、あまり見たこと無くて。この教室に入ってきているのも、見たこと無いし」
「うららちゃん、どう?」
久哉の後ろの席に座るうららが、会話に入ってくる。
「そうね。確かに、1年の時もそんな感じだったかな。あら。噂をすれば」
航琉が教室に入ってくる。
「わたさんだ! 自分からやってくるなんて!」
たまきの声につられ、B組のクラスメイト達、若干動揺する。
「おいおい、みんな驚くこと無いだろ」
「俺さ。誰かに追尾されている気がして」
「追尾?」
3人が口を揃える。
「多分、たまきが言っていた奴だと思う」
「1年生かな? それとも2年生ならぼく達が知っている子なのかな?」
「知っている子なら追尾とかしないと思うのよね」
「となると、俺達が知らない奴って説が濃厚かもな」
うららも久哉も、自分達が知らない誰かだという答えにたどり着く。
「俺も全く想像つかない。恐らくそいつは、存在感を消すのが上手くて。クラスでも影が薄いかもな」
例の生徒、廊下から4人を眺めている。
F組でまりな、みつば、かえでが例の男子生徒について話していた。
「まりな、やっぱり気になるかも。一体誰なのかなぁ」
「正直、気にしなくてもよくない?」
気にするまりなを、みつばは少し案じている。
「かえでちゃんも、興味あるんだよね。そしたら、SNSを使って人探しみない?」
「それはダメ! 逆にこっちがストーカーって疑われちゃうでしょ…」
「まりなは、実際に自分で探してみたいなぁ」
「じゃじゃ、行こう行こう」
「2人とも、完全に私の話聞いていないんだから…」
「なるほど。でもまずは、何処の誰か把握しておかないと」
すみれ、3人の背後からさりげなく、会話に入ってくる。まりなとみつば、軽く動揺する。
「すみれちゃん、急すぎ」
「すみれちゃん、何か良い方法でもあるの?」
「向こうがコソコソしているなら、こっちも気付かれないように追尾するのがいいかも」
「そっか、その手があった!」
かえで、大声でリアクションする。
「声がでかい。あんたじゃすぐ気付かれるから、私とわたさんでやってみる」
「ここは比較的大人しくて優しい組み合わせで行くべきかも。私とうららちゃんで」
みつばとしては、すみれと航琉の組み合わせだとビビるための代替案を提案。
「みっちゃんだと、気付かれたらオーバーリアクションしちゃいそう」
まりな、ツッコむ。




