第5話 いろどってものくる(3)
4月に入り、まりたまと仲間達は2年生へと進級する。
まりなとみつばとかえでは2-F組所属となった。相変わらずテンションの高いかえでは、まりなとみつばと同じクラスになれて、更にテンションが上がっている。
「まりちゃんとみっちゃんと同じクラスだなんて、かえでちゃんって幸せ者なのかな~」
みつばは、面倒臭そうに見せかけるも、実際は嬉しそうである。
「このクラス、結構うるさくなるかもね」
まりなも、2人と同じクラスになれて嬉しそうだった。
「他のみんなとも同じクラスになれたら良かったけど、新しいクラスでも頑張らないと」
みつばは、他のメンバーがどこのクラスかを話す。
「確かすみれちゃんがD組で、たまちゃんと久哉くんがB組。あとうららちゃんもB組」
まりな、すみれが寂しそうにしているか心配する。
「すみれちゃん、大丈夫かなぁ。仲良しな子がいなくて寂しそうにしているかかなぁ」
みつばがツッコむ。
「大丈夫でしょ。すみれちゃん、馴れ合うのあまり好きじゃないから」
かえでは前向きに捉える。
「そうそう。寂しいと思ったら、かえでちゃんがいるから。それに他にも友達がいるから心配ないって」
「2人とも、ありがとう」
たまきと久哉は2-B組。そして、久哉の後ろの席に座っていたのはうららだった。
「俺の後ろに、うららちゃんが来るとはね」
「五十音順だから当然でしょ」
うらら、おっとりにこやかにリアクションする。たまきが、2人のそばにやってくる。
「久哉くん。もう1人、入って欲しい子がいるって言っていたけど、決まっているの?」
「わたさんか。1年の最初の頃から誘っていたんだけど、群れるの好まいないからなぁ」
「独特だからね。1年で同じクラスだったからわかる。案外すみれと似ているから、ペースも合いそう。私としてはありかも」
「それに久哉くん、わたさんと絡むこと多いもんね。むしろ、ぼくと絡むより多いくらい」
「嫉妬するなって」
「別に嫉妬してないって。ぼくもわたさんが入ってくれるなら嬉しいけど、他の子達のことをどう思うのかなぁって」
「明るくにぎやかなかえで、マイペースでのんびりなみっちゃん、それに世話焼きなまりちゃん。まぁすみれもいるから大丈夫だと思うけどな」
「わたさんとどんな関係? もしかして、私とすみれと同じで入学前から知り合いとか」
「たまたま、お互いサッカー部っていう共通点があって、練習試合の時に初めて知り合ったからさ。その時から、わたさんは基本的に1人を好んでいたんだ
「ぼくとしては、スポーツっていうより、創作とか企画することの方が向いている気がするんだよね。去年の文化祭、F組のお化け屋敷のクオリティが高かったし」
「わたさんのゾンビ、みんな怖くて驚いていたもんね。でも、すみれの雪女役もなかなかリアルで、負けず劣らずだったかな」
彼らが"わたさん"と呼んでいる少年とは寒河江航琉という生徒である。
そんな航琉は2-D組の所属している。"いろどりいいとこどり"のメンバーとしてはすみれも所属している。強いて言えば、玄斗と昂汰も。
航琉は、前髪を流した長めのヘアが特徴。表情はすみれよりも乏しく、感情を読むことや表現することが苦手だという。風変わりで孤独を愛しているとはいえ、久哉とは仲が良いらしい。そんな彼のそばに、すみれが歩いて話しかけてけくる。
「わたさんって、あまり他のこと絡まないのね」
「寺本すみれ。久哉と幸田さんからある程度話は聞いている。お宅も愛想が無いな」
「まぁ、全然どうってことないけど。あなたがうららと同じ1年F組だったことも、久哉と中学から知り合いだったことも聞いているから」
「久哉から誘われているけど、どうも陽キャが多くて」
「わかるよ。とくにかえで」
2人とも、お互い似た者同士ということもあって、意気投合していた。
「それより、よく星野たまきみたいなやつと付き合えるな」
「よくわからないけど、あの子といると少しだけ気が軽くなるのよね。明るくて恥ずかしがり屋で、こどもみたいだから。それに、高校に入ってから変わった子達に絡まれるようになったし」
「栗橋みつばと、杉原まりなもか」
「そうね。でも意外と久哉以外のの4人と上手くいけているんだよね。まぁ私も他の誰かから見れば変わり者みたいだし」
「因みに、俺は変わっているか?」
「十分、変わっていると思う」
「そうか」
2人の会話を、周囲が興味深そうに見ている。
「ねぇ、すみれちゃんとわたさんがお喋りしている」
「去年の文化祭で言う雪女とゾンビの組み合わせ。なんとも絶妙」
「いやぁ、すげえ絵面だわ」
2人、会話している生徒達を顔見する。周囲は凍てつくようにビビる。
玄斗と昂汰が、すみれと航琉に近づいてくる。
「2人とも怖がらせちゃダメだって」
「けど俺、わたさんとは色々と話してみたいと思っていたんだ」
「わたさんどう? この子達、厄介だけど遊んであげるといいかも」
久哉が教室に入ってくる。
「ついでに、もっと厄介なのが来たけど」
久哉が、キザにツッコむ。
「おいおい。厄介だなんて人聞き悪いぜ」
玄斗が久哉の発言に乗る。
「てことは、俺ら3人まとめて厄介者ってことか」
「3人まとめてはちょっとなぁ…。ま、愉快な仲間達ってことでどうだい?」
昂汰が賛同する。
「それがいいや」
久哉、航琉にサークルの件を問いかける。
「それよりわたさん。うちのサークルに入る件は?」
「俺も考えている。けど、馴染める気がしない。玄斗と昂汰の方が合うだろ」
「俺もコイツラ誘ったんだけど、他の5人が変わり者だからって断られてさ」
因みに、誘った時点での5人なのでうららは含んでいない。
「因みに、うららも入ったから」
航琉、微かに動揺する。
「うららって。幸田さんが!? 因みに変わり者なのか?」
「強いて言うなら、潔癖なところがあるな」
「7人の中だと、一番まともかも」
「俺の中ではホワイトな感じだと思っていた」
「ホワイトってどういう意味で?」
航琉、厨二モードになって妄想しながらうららの印象を述べる。
「さっぱりした感じで癖がなく、見た目も悪くない。それにハーフアップにニーソといったファッションが、清楚感溢れて…」
すみれ、同様とドン引きが混じったようなリアクションをする。
「ちょっと、わたさん?」
「今のが、俺の気に入っているわたさんの面白いところ」
「あんたも趣味悪いね」
「言っただろ。俺は変わり者に興味があるって。うららちゃんホワイトなら、わたさんは、ブラックだな」
「久哉。悪くない回答だ」
玄斗と昂汰、久哉と一緒に面白可笑しそうに笑ってしまう。逆に、すみれはノリについていけない様子だった。
久哉以外のが6人が、多目的教室で新メンバー加入絡みの会話をしている。かえでとしては、新入生の子が入るかどうかが気がかりだ。
「新入生の子達、なかなか入らないね」
一方の、みつばは新入生の加入にはやや消極的。
「私は、同じ学年だけの方がいいかも」
すみれが、みつばの発言に乗る。
「私も、新入生はお呼びじゃないかも。多分、絡みにくいオーラを出しちゃっているみたいだし」
たまきが、すみれの発言に乗る。
「ぼく、すぐ甘えちゃうし子どもっぽいから、年下の子達にバカにされそうなきがするんだよね」
「たまちゃん、わかっているじゃん。ついでに、まりなやみつばみたいなタイプとかも舐められそう」
みつば、若干不満げに言い返す。
「うわ、すみれちゃん酷っ!」
まりな、悲しい表情。
「そうだよね。まりな、子どもぽっくて泣き虫だし、お節介で嫌われそうな気がするかも…」
うららとかえで、まりなの肩をさする。
「ほら、スマイルスマイル!」
「まりちゃん、ネガティブになっちゃダメ。まりちゃんが邪魔だなんて誰も思っていないから」
「そうだって。ぼくにとって、みんなは大事な仲間だもん」
「ありがとう、みんな」
まりな、ホッとした表情に変わる。同じタイミングで久哉が入ってくる。
「はい、みんな注目。今から新メンバーを紹介するぜい」
みんな、真剣な眼差しをする。かえではどちらかと言えば楽しそうな表情をする。
「ほら、入れって」




