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まりたまエモーション ハイスクール編  作者: 綾野羊
第1章 まりたまと新たな世界
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第4話 恋がふくれる(4)

 まりなとたまきは、いつもの公園でベンチに座りながら、すみれのことで会話が続いている。


「たまちゃん。すみれちゃんと楽しく話せて良かったね」


「すみれちゃん。クラスやみんなといる時より、話せていたかも」


 まりな、たまきの言葉を聞き、少し寂しさを抱いてしまう。自分だけすみれとお喋りをする機会が少ないと改めて感じている。


「本当はまりなも、すみれちゃんと2人で色々話したい。みんなより関わっていない気がして」


「そう?」


「久哉くんは小学校からの友達、たまちゃんとかえでちゃんは同じクラスだし、話す機会が多いでしょ」


「みっちゃんは、最初は上手くいっていなかったけど、今はそんなこともないからね」


「そうなると、やっぱりまりなが…」


「ごめん。まりちゃんとすみれちゃんが一緒にいるのが少ないことに気付けなくて」


「たまちゃんが謝ることじゃないって」


 たまき、寒くて少し震える。まりなは、たまきをそっと抱きしめる。


「まりちゃん?」


 たまきは、まりなに抱きしめられることは慣れている。とはいえ、まりなの様子が気になる。

 

「率直に聞くけど、すみれちゃんのこと好き?」


 たまき、一瞬沈黙した後に、重々しく首を縦に振る。


「でも、どうしてそんなことを聞くの?」


「まりな達、双子みたいにずっと一緒だから、どうしてもたまちゃんのことは気になっちゃって」


「まりちゃん…。やっぱりぼくって、小さい頃から全然変わっていないように見えるのかな」


「まりなもそんなに変わっていないよ」


「やっぱり、そうだよねぼく達」


「それより、すみれちゃん、何か抱えていることありそうなら、まりなも何か力になりたいし」


「ぼくだって力になりたい。でもぼく1人じゃダメだし。結局、まりちゃんやみんなの力を借りちゃうかも」


「まりなには、甘えたり頼ったりで大丈夫だから」


「でも、昔からまりちゃんには甘えてばかりだし」


「甘えている方が、たまちゃんって感じがしてまりなは安心する」


「ねぇ、まりちゃん。お願いがあるんだけど…」


「どうしたの急に?」


「ぼくの力になってくれる? すみれちゃんと付き合ってみたい」


「付き合う?」


 まりな、一瞬言葉が詰まる。


「でも、みっちゃんとかえでちゃんは?」


「好きだけど、今はすみれちゃんが…」


 たまきは、悩んでいた。まりな、たまきが悩んでいることを察した末、決断する。


「勿論いいよ。まりなも応援する。2人揃ってまりたまコンビなんだから、どんどん頼って」


「まりちゃん。ありがとう」


 まりな、たまきの両頬に触れながら、真剣な眼差しをする。


「辛かったり困ったりしたら、抱え込まないでね。まりながついているから」


「でも大丈夫? すみれちゃんと付き合ったら、ぼくすみれちゃんに甘え切っちゃうと思うけど」


 まりな、たまきの言葉を聞いて、黙り込む。複雑過ぎてどうしたらいいかわからない状況だった。


「でも、ちょっと寂しくなるかも」


 まりな、たまきから手を離し、背を向ける。少しばかり目が潤む。


「まりちゃん? やっぱりダメ?」

 

「大丈夫。でも、これからもまりなとは友達でいて欲しいし、お姉ちゃんみたいに甘えて欲しい」


 たまき、まりなに頭を寄せる。まりな、たまきの方へと振り向く。


「まりちゃんのことは忘れない。だって小さい頃からの仲だもん」


 まりなはたまきの頭を撫でる。


「ありがとう」


 少しずつ、2人とも笑顔になっていく。


 お茶会当日、6人に加え、他にも20名前後の生徒達が集まった。たまきと久哉を除き全員女子。そして同級生しかいない。


 たまきと女子達は、みつばが点てたお茶を飲み、お菓子をたしなんでお喋りをしている。とある女子が、みつばに話しかける。


「みっちゃんって、好きなことか気になる子っている?」


「正直、あまり考えたことがないかも。しかも、中学まで男嫌いだったから。でも、たまちゃんみたいなジェンダーフリーな子とか、久哉くんみたいにキザだけど根は真摯なタイプと出会えて、ちょっと考え方が変わったかも」


 たまきが、フォローする。


「そういえば、前にまりちゃん言ってたよね」


 まりな、みつばとの思い出話を持ち出す。


「みっちゃん、最初はかなり内気だったもんね」


「私が内気っていうより、みんなが社交的だから。気付いたら意外と喋るタイプになっちゃった。入学式の日に、まりちゃんとかえでちゃんに声かけられたからね」


 別の女子、腑に落ちたようにコメントする。


「みっちゃん、良かったね。声かけられて」


「最初は、変わった子が多いと思ってちょっと警戒していたけど、今はそれが嘘のように感じているんだよね」


 すみれも、会話に入る。


「結局、一番みんなの世話を焼いているのって私だけどね」


「それは、すみれちゃんがしっかりしているからでしょ」


 みんなの笑い声。またまた別の女子が、かえでに話を振る。


「かえでちゃんは、好きな子いる?」


「かえでちゃんは。世界中のみんなと友だちになってみたい!って思ったことがあるんだよね。でも、今は仲の良い身近な人や知っている人を大事にする。それが自分のモットーかな」


「まさに博愛主義じゃん。かえでちゃんの取り柄って明るさだもんね。怒ったり泣いたりしているところみたことないから」


「そう? かえでちゃんそう言ってもらえるだけで嬉しい。博愛主義ならまりちゃんだって」


「まりなも? 確かにみんなのことを大切にしたいって思うから。揉めたり争ったりするのは見ていて苦しくなるもん」


「慈悲深いね」


 女子達の笑い声。久哉は、たまきと女子達の会話を楽しそうに眺めている。


「玄斗と昂汰、誘ったけど断られたわ。まぁ、正解だな。俺としては目の保養になるし」


 すみれ、クッキーを食べながら久哉に隣り合う。わざと久哉に大声で語りかける。


「良かったじゃん。女の子ばかりで。この中に好みの子はいる?」


「バカ、すみれ声でかいって!」


 久哉の視点に1人の女子が映る。彼女は1人で凛として、みんなの笑い声が飛び交う会話を眺めながら、軽く微笑んでお茶を飲んでいる。


 久哉、彼女に軽く指を指して、すみれに説明する。


「すみれ、あの子。F組の委員長の」


こううらら。一応知り合い」


「さっきから、誰とも絡んでいないけど、来た意味あるのか?」


「優しそうな雰囲気で品があるように見えるけど」


 幸田うらら。1年F組の委員長の彼女は、既にすみれとは知り合いである彼女からは優等生のオーラが湧き出ている。


 たまき、すみれと久哉の会話に入ってくる。


「どうしたの?」


「久哉、あの子が気になるみたいで」


 たまき、うららに視線を移す。


「久哉くん。幸田さんのこと」


「たまちゃん。すみれのテンポに乗るなって」


「だって、すみれちゃんの言うことの方が正確だし」


「俺を見捨てるなよー」


「たまちゃんは私の味方みたい。ナンパ好きなら、声かければいいでしょ」


 久哉、たまきとすみれからうららに声をかけるよう促される。


「プライド高そうな女子は苦手なんだよな。すみれは別として」


「うるさい、早く」


 久哉、軽く舌打ち。



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