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まりたまエモーション ハイスクール編  作者: 綾野羊
第1章 まりたまと新たな世界
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第4話 恋がふくれる(1)

 10月31日。まりなの16歳の誕生日。多目的室では、まりなの誕生日を祝っていた。この日のまりなの髪型は一番お気に入りの、左右で三つ編みを輪っかにしたもので、ピンクの花飾り付きのヘアゴムで結んでた。


 たまき、みつば、かえでが朗らかにまりなの誕生日を祝う。


「ハッピーバースデー!」


 すみれはあっさりと祝う。


「おめでとう」


 久哉はスマートに祝う。


「まりちゃん、誕生日おめでとう」


「みんな、ありがとう」


 まりなは満面の笑みをしながら、みんなに感謝する。たまきとみつばとかえでから、まりなにプレゼントをする。たまきはピンクのサテンのリボン2組、みつばは花飾りがついたヘアピン、かえではブランケットを渡す。


「まりちゃんっぽいと思うもの、ぼくなりに考えて買ったんだ」


「私も」


「かえでちゃんのチョイスはどう?」


 まりな、嬉しくて、つい涙を流してしまう。


「こんなにもらえるなんて」


 すみれ、小型のコンディショナーを渡す。


「いつも、髪結んでいると思って。ケアしながら大事にして」


「すみれちゃん、ありがとう」


「それより、久哉は?」


 久哉、オレンジと紫と黄色の花が入った花束を渡す。


「今日はハロウィンだから、ちょっと色にこだわった。気に入ってくれたら嬉しい」


 みつばがツッコむ。


「あれ? 青は無くてもわかるけど、ピンクと緑が入ってないのがちょっと…」


「そっか。ピンクを入れれば良かった。それより緑の花なんて見たことないぞ」


「まりな、ピンクはいっぱい持ってるからいいよ。ありがとう久哉くん」


 まりな、自分にプレゼントがこんなに来るとは思ってもいなかった。というのも、日頃からまりながみんなのことを大切にしている見返りである。


 かえでが、お菓子をたくさん机に広げる


「みんな好きなの持っていって」


 すみれがツッコむ。


「トリック・オア・トリートの意味って知ってる」


「お菓子をくれなきゃイタズラしちゃうぞでしょ」


 久哉がツッコむ。


「それは、トリック・オア・トリートを拒否った時のフレーズだから」


 みつばが正しく回答する。


「お菓子を交換しようってこと」

 

 たまきが間に入る。


「みんな、お菓子を持っているならシェアしようよ。今日はまりちゃんの誕生日だから」


 まりな、たまきの言葉を聞いて嬉しそうな顔。たまきも、お菓子を机に広げ、まりなとみつばも持っているお菓子を取り出す。


「あれ、久哉くんとすみれちゃんは?」


 すみれが持っていたのはポテトチップス一袋のみ。


「私、これしかないけど。良かったら」


「すみれらしいな。俺も持ってくればよかった」


 賑やかムードになり、楽しみに溢れた空間となる。


 日が暮れて、教室にはたまきと久哉が残る。


「女子4人を先に帰すなんて。たまちゃんもしかして何か俺だけに伝えたいことがあったりして」


「ねぇ久哉くんって、好きな子いたりする?」


 久哉は若干戸惑うが、一瞬で冷静になり返答する。


「いるかもな。そういうたまちゃんはどうなんだ?」


「ぼくもいる」


「因みにそのことって、まりちゃんは知っている?」


「一応ね」


「もしかしてあの3人の誰か?」


「厳密に言うと、久哉くんも含むかな」


 久哉、たまきの答えに動揺する。


「俺? でも、たまちゃんなら性別気にしないからわからなくもない」


「ぼく、おかしいよね。好きな子がいる前で他にもいるって言っちゃって」


「いや、俺的には自由で構わないと思うけど。俺はたまちゃんは友達としては好きだけど、恋愛ってなると違うな」


 たまき、少しがっかりとした表情。


「そんな顔するなって」


「ぼく、みんなに憧れていて。久哉くんは面倒くさがりだけどかっこいいところが魅力的だし」


「そうか? 俺、ナンパなイメージ持たれているのに。でもその答え、たまちゃんらしいわ」


「すみれちゃんのクールで風変わりだけどしっかりしたところも憧れる」


「すみれねぇ。基本的に群れるのは苦手だけど、たまちゃんとまりちゃんと出会ってから変わった気がするな」


「そう? それにみっちゃんの真面目と面白さのバランスが良いところとか、かえでちゃんの天性の明るさも憧れちゃって」


「たまちゃん、惚れっぽいな。因みに、まりちゃんはどうなの?」


「まりちゃんは、ぼくにとってはお姉ちゃんって感じだから…どう言えばいいかなぁ…」


 言葉が詰まるたまき。


 まりなが教室に入ってくる。


「2人揃って、どんな話していたの?」


 2人にとって答えづらい雰囲気。まりなが切り込みながら久哉に問う。


「もしかして、久哉くん。まりなのこと好き?」


「そりゃ、好きだよ。何事も純粋に頑張っている姿、俺はすごいと思う。ただ恋なのかどうかは俺にはわかんない」


「まりちゃんは、久哉くんのことどう思っているの?」


 逆にまりなも答えづらくなる。


「えっと。大切な友達。だけど…」


 まりなも言葉が詰まる。


「ごめん。まりなどう言えば良いのかわからない…」


 まりな、教室を出ていく。


「まりちゃんってさ、責めるの避けるところあるよな」


「まりちゃん、慈悲深いから。相手を傷つけないかって、気にし過ぎるんだよね」


「違うなら、正直に言えばいいのに」


「それなら、久哉くんも言えば良かったのに」


「だから、俺は恋じゃないからな!」


 久哉の強めの声に、たまき少しビクつく。


「悪い。強く言い過ぎた。気にしなくていいから。俺らも帰るか」


 杉原家の夜。テーブルに、誕生日ケーキとオードブルが並べられ、家族3人でまりなの誕生日パーティーを行っている。まりなは、結んでいたヘアゴムをたまきからもらったピンクのリボンに替えていた。涙を流しながら嬉しそうに、愛美梨と父・もるに感謝を伝える。


「ありがとう。まりな、ママとパパの子で良かった」


「16歳になっても、泣き虫なところは変わらないわね」


「僕が見ている限り、髪型も小さい頃からほとんど同じ」


「もしかしたら、まだまだ大人になれないかも。ふふ」


 雰囲気や趣味が子供っぽいと見られがちなまりなは、たまきやみんなの前では面倒見の良いキャラで通している。とはいえ、両親の前では思う存分に甘えてしまう。


「でも、まりちゃんが学校楽しそうなら、僕も少し安心かな」


「心配性なところは、親子だからパパに似たのよね」


 愛美梨が言うと、まりなが照れる。


「もう、ママったら。でもパパ、あんまりまりなのこと心配し過ぎないでね。まりながパパのこと心配しちゃうから」


「でもまりちゃん、友達のことよく心配しているでしょ? とくにたまちゃん」


「たまちゃんか。普通の男子っていうタイプとは違う子だけど、ずっと仲良しだから気にするんだろうね」


「やっぱり、まりなにとってたまちゃんは他の子よりも、特別なのかなぁ…」


 まりなは、少しボーッとする。愛美梨が、まりなの髪を結んでいるリボンを見つめる。


「それより、そのリボン。誰かからのプレゼントでしょ?」


「たまちゃん」


 まりな、他の4人からのプレゼントも取り出す。


「他にも、こんなに貰ったの。まりな、全然すごいことしていないのに…」


「みんな、友達だからだと思ってプレゼントしていると思うよ」


 真守が答えると、まりなは納得した表情をしながら、ケーキを食べる。愛美梨のスマホからLINEの通知音。麻紀絵からメッセージが届いた。


 一方の星野家。たまきは、麻紀絵と父・(ゆう)()と3人で夕食。麻紀絵は愛美梨にLINEで、「今日はまりちゃんの誕生日だよね。おめでとうって伝えて下さい」とメッセージを送った。愛美梨から、「ありがとう」とOKのスタンプ。


「たまちゃん。今日は、まりちゃんの誕生日だったよね。楽しくお祝いできた?」


「勿論。楽しかった。リボンをプレゼントしたんだ」


「たまきが自分で買ったのかい?」


 祐太に問われると、たまきは頷く。


「ちゃんと、まりちゃんを大事にするんだよ」


「パパ、言われなくてもわかってるから。ぼくだって、まりちゃんには色々と助けてもらっているから」


 食事が終わり、たまきと麻紀絵の2人になる。


「ママ。ぼく、好きな子が4人いるんだけど、おかしいかな?」


「どうしたの急に?」


「折角の高校生活だから、勉強や遊びだけじゃなくて、恋愛もしてみたいと思って」


「好きな子が4人ね。絞りきれていないってこと?」


「ま、1人は久哉くんだけど、恋愛対象じゃないって言われちゃったし」


「じゃ、3人ってことね。まりちゃんに相談してみれば?」


「そう言うと思った。1回相談したことあるけど、答えが出なくて。それに、まりちゃんってちょっとお節介なところあるし」


「なるほどね。だからパパがいないところで相談しているのね」


「わかる? パパがいると、もう少しまりちゃんのことを気にかけなよって言うと思って。それに3人もいるって聞いたら、流石にパパもどうしたらいいかわからなくなると思って」


「確かにね。悩むか、誰か1人選ぶように言われるかも」


 麻紀絵、たまきを落ち着かせるように、くすりと笑う。

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