表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
まりたまエモーション ハイスクール編  作者: 綾野羊
第1章 まりたまと新たな世界
PR
20/29

第3話 魅惑に遊ばれる日々(3)

 夏休みに入り、6人は文化祭絡みで多忙な日々を送っていた。というのも各々のクラスだけでなく、グループでの出し物もあり、文化祭実行委員会のサポートもあるからだ。


 多目的教室では教卓の前で、まりな、たまき、久哉、かえでの4人が話し合いをしている。話題はグループでの出し物ではなく、B組とD組の出し物について語っていた。


「D組の宣伝は、かえでちゃんとたまちゃんでやることにしましたー!」


「この際だからぼくも、やってみようと思って」


「背後からすみれが登場するパターンもありだな」


 久哉は、D組のお化け屋敷に興味津々だ。


「久哉くんったら、うちのクラスの宣伝も考えてね」


「一応B組は、まりちゃんとみっちゃん。で、このグループは俺以外の5人」


 軽く、久哉がグループの宣伝について触れた。


「久哉くんも表舞台に立たないと。グループの意味がなくなっちゃうよ」


 かえでが、ツッコみながら久哉が目立つポジションに立つように促す。とはいえ、久哉は自分以外の5人を煽てながら逃げようとする。


「大丈夫、美少女4人とかわいい男子がいれば宣伝はバッチリだからさ」


「久哉くんの方が、ぼくよりトーク力高いから宣伝向いているって」


「たまちゃんのほうが、キャラとしての受けがいいだろ」


 まりな、文化祭当日の開会式に関しての話題を持ち出してくる。


「それより、開会式での司会アシスタントを6人の中から誰か選んでって頼まれているんだけど…」


「かえでは目立つし、ここはまりちゃんとたまちゃんで行くか」


「それいいかも。かえでちゃんも賛成! ね、すみれちゃんとみっちゃんは?」


 気だるそうなすみれと、バテ気味のみつばは、教室後方の壁に寄り掛かりながら、お喋りをしていた。


「想像以上にやること多いし、暑いから今にも倒れるそう。ね、すみれちゃん」


「確かにね。でも私が暑さに負けたら、雪女の意味がなくなるから」


「クールなすみれちゃんも暑さには弱いなんて」


 久哉が、茶化しながらすみれとみつばを呼ぶ。


「そこの2人、ちゃんと会話に入ってこいよ~」


「大丈夫、ちゃんと聞いていたから」


「私も。うちのクラスの宣伝はまりちゃんと私でOK。でもクラスのみんなと話し合わないとね」


 ここで、すみれがグループの出し物について話題を出し始める。


「クラスの出し物の宣伝もいいけど、グループでの出し物は?」


 すみれの言葉で、みんなが忘れていたという素振りをする。久哉がその場をうまくまとめて、話題をグループでの出し物に切り替えた。


「そうだよな。やっぱりやること増えると何か忘れそうになるからな。よし、じゃここからはグループの出し物について話し合うか」


「やること多くて大変だけど、みんなで楽しくやりたい。クラスでも、グループでも」


「かえでちゃんも」


「まりなも」


 みんな、前向きなスタンスで臨もうとしているようだ。


 久哉がアイデアを出す。


「お笑いコントはどう?」


「いいんじゃない。久哉とみつばとかえでの3人で」


「いやいや、すみれはツッコミで必要だって」


「かえでちゃんはボケ、すみれちゃんはツッコミ確定だからね。私と久哉くんは両方出来るし」


 すみれ、まりなとたまきの名前が出ていないことに気づき、2人の顔を見て察した上で、みんなに問いかける。


「まりなとたまちゃんは?」


 まりなとたまき、なかなか4人の会話に入ろうとするも、自分の役割が思い浮かばない。


「ぼくってお笑いだと何が向いていると思う?」


「まりなもあまり、しっくり来ないかも」


 まりなとたまきの言葉を聞いて、他の4人が役割について考える。そんな中、かえでがお笑いに絡んだアイデアを思いつく。


「ねね、コントを交ぜた劇はどう?」


「お芝居を混ぜた方が飽きずに見られそうだから、いいんじゃない」


 すみれとしては珍しく、快くかえでの意見に賛成した。他の4人も同じく賛成の意向を示す。


「ぼくもいいと思う」


「まりなも。配役と設定を考えないとね」


 団らんとした会話が続き、モチベーションが上がっていく。会話が続く中、まりなとたまきの内心では、どこかモヤっとした状態だった。そして、たまきがテーマが思いついたテーマは文化祭だった。


「テーマは文化祭ってどうかな? 文化祭の出し物を活かしたネタを使ってみようよ」


「随分変わったアイデアだな。でも面白いと思う」


「賛成。私達のリアルな日常が伝わるから、逆にやりやすいかも」


 久哉とみつばが賛成の意を示す。勿論、まりなとすみれとかえでも賛成。


「まりも賛成。クラスの出し物の衣装のままでも出来るからいいと思う」


 こうして、グループでの出し物が決まった。


 まりなとたまきは公園のベンチに座り、シャボン玉を吹きながら黄昏れていた。2人ともどこか疲れている表情。まりなはたまきの表情を見て心配そうに見つめる。


「まりちゃん?」


「たまちゃん、無理してる?」


「そんなことない。と言いたいけど、やること多くて疲れちゃって。ただでさえ、ぼくってひ弱なところがあるから」


「ひ弱なのはまりな。結局あの時も久哉くんに助けてもらったし」


「まりちゃんは頑張っているって。ぼくなんて。みんなに申し訳ないことばかりしている気がする」


「どうして? たまちゃん頑張っていると思うけど」


「ぼくって、アイデア出しているだけであまり役に立っていないかも」


「それを言ったら、まりなだってサポートしか出来ていないよ」


「まりちゃんは、みんなのケアが得意じゃん」


 2人とも、自分の価値に対して疑問を抱いていた。どうしても、他者と比べてしまう。


「それでも、ママには叶わないし。たまちゃんはまりなよりも明るくて輝いているって」


「それを言っちゃえば、明るさならぼくよりも、ママやかえでちゃんのほうが上だと思う」


 数十秒程の沈黙が続き、まりながたまきに問う。


「ねぇ、たまちゃんって自分のことどう思ってる?」


 たまき、少し考えながら答える。


「やっぱり、みんなと比べて全然大したことないって思う。グループでもクラスでも、みんなが魅力的に見える」


「そっか。やっぱりまりなと同じ」


「まりちゃんも?」


「たまちゃんが、みんなのことを見て惚れているようなところを何回か見ているの」


 たまき、少しドキッとしてしまう。


「嘘? そう見えてたの?」


「たまちゃんの仕草ってわかりやすいもん」


「ぼくって立場が一番下に見える気がして。久哉くんはお兄ちゃん、まりちゃん達はお姉ちゃんみたいに」


 まりな、たまきの両頬に触れて顔を見つめる。


「どうしたの?」


「何抱えていたり、悩んでいたら、どんなことでもまりなに言ってね」


「今までそうしていたと思うよ。困ったら時は誰かに相談するって」


 まりなが、目を潤ませる。


「ごめんね。まりな頼りなくて」


「どうしてそう思うの?」


「だって、たまちゃんがかわいいから。放っておけなくて」


 たまき、シャボン玉を膨らませて、まりなの頬にくっつける。そして、指でシャボン玉を潰す。まりな、少し驚いた評定をする。


「まりちゃん心配し過ぎ」


 たまきの表情は無邪気な笑顔だった。


「たまちゃんが元気な証拠だね」


 まりなも、無邪気な笑顔になって、シャボン玉をたまきに吹きかける。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ