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まりたまエモーション ハイスクール編  作者: 綾野羊
第1章 まりたまと新たな世界
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第2話 いろどりいいとこどり結成(3)

 そして、例の金曜日を迎えた。6人は多目的教室に集まる。やはり、ジャンルは決まらず状態であった。


「それじゃ、みんな何やりたいか一人一問一答で」


 久哉が前向きに仕切り出したのは良いが、意見を言う者、言えない者、否定ばかりしか言わない者ばかりで、不毛な議論が続くことになる。


「はい! スポーツなんでもやりますの会」


 かえでの考えは、色んなスポーツをとりあえず楽しんでいくスタイルでいくことだった。


「スポーツやりたいのはわかるけど、何でもは流石に考えて無さ過ぎ」


 すみれにとっては、「やっぱり」と想定内だった。


「じゃあ、絵を描くのはどう?」


 たまきとしては、芸術や娯楽を推していた。


「絵はなぁ。工作とかものづくりだったらいいけど。因みに俺はスポーツ観戦がいいかな」


 久哉の趣味はサッカー観戦や、スポーツのゲーム・アプリを遊ぶこと。彼は何事もそつなくこなせるタイプだが、面倒な工程や無駄が発生することにストレスを感じやすい。


「図工とか美術ならなんでもOKとかはどう?」


 たまきもすみれにならって、芸術分野という大枠で、創意工夫をしながらみんなで楽しめると考えた。


「それ、いいかも」


 まりなは、たまきの意見に賛成した。久哉、みつば、かえでもなんとなく、たまきが考えていることを理解していたが、少し迷っていた。


「たまちゃん。くくりが大き過ぎるって」


 すみれ、未だに納得がいかない様子。みつばが、すみれの態度に若干イラつきを感じ始め、口に出し始める。


「あの。すみれちゃんさ。ずっと否定ばかり言っているけど」


「しっくりこないのよね」


 あっさりと返すすみれ。その言葉に、ムキになっていくみつば。


「さっきからすみれちゃんだけアイデアだしてないでしょ!」


 すみれ、若干口を荒げ、みつばをキツめに詰めていく。 


「そういう、みつばはどうなの? あんたも同じでしょ!」


 すみれとみつばの揉め合いが顕著になってくる。2人とも口論は臨んでいないが、納得がいかず、考えがまとまらない状況が続く。そんな中、まりなが2人をいさめようと謝り出す。


「ごめん。まりな色々考えたけど、アイデアがでなくて」


「まりなとたまちゃんも、アイデア出せなかったり、空回りしたりじゃん」


 すみれ、みつばの次はまりなとたまきに対して強く指摘してきた。


「ちょっと! すみれちゃん言い過ぎだって! まりちゃんとたまちゃんを悪く言わないでよ!」


 まりなはみつば、たまきはすみれを落ち着かせようと間に入る。


「2人とも落ち着いてよ」


「せっかく、仲良くなろうとしているのに。まりな、仲間割れは嫌」


「ぼくだって、頑張ってアイデア出したけど…」


 まりなとたまき、落ち込みそうになる。


「おいおい、そう気を落とすなって」


「そうそう前向きに」


 久哉とかえで、4人のコンディションを心配しながら前向きにさせようと、ギスギスした雰囲気を緩和させる。


「かえでちゃん。流石に同好会やるには、性格も趣味も特技もバラバラだから無理かも」


「ごめん。かえでちゃんが甘かったかも」


 みつばの意見に、かえでは素直に前向きに自分の甘さを認める。


「かえで、あんたも少しは頭使いなさいって」


「かえでのことを責めるなって!」


 相変わらず容赦ないすみれに、久哉も少しキツくなる。


「みんなで私を否定する気?」


 みつば、我慢できず、手で顔を抑えながら泣き始めて嘆き出す。


「すみれちゃんのわからず屋!」


「みっちゃん、別にすみれちゃんはそんな訳じゃないって」


 たまき、すみれへの誤解を晴らしながら、みつばを慰めようとする。


 まりな、耐えきれず目に涙が溜まっていた。次第に顔全体にこぼれ落ちる。


「みんな、揉めないで!」


 まりな、悲痛を訴えるように、声を大して泣き叫ぶ。まりなの声で5人は無言になる。たまきは「やっぱり」という顔をしていた。これは泣き虫なまりなならではの昔から得意芸。というのも、揉め事や喧嘩の雰囲気が怖くて耐性が弱いことが大きい。まりなが泣き出して叫び、泣き面を見てしまうと、みんな一斉に静まる。


「ごめん、暫く頭冷やすから。後は好きにして。じゃあね」


 すみれ、居心地悪さを感じたことから、教室を出て帰宅していく。


「何よあの態度。まりちゃんの言葉が通じてないなんて、無敵にも程があるって」


 みつば、泣きながらすみれの愚痴をこぼす。


「とりあえず、別の案を考えないとね」


「そうするしかないな」


 久哉とかえで、めげずに議論を続けようとする。たまきも2人に協力する。


「ぼくもなんとかアイデアを出す。それより、まりちゃん大丈夫?」


 まりな、未だに泣き続けている。というのも、自分の力不足への痛感と、みんなの辛さの代弁から生じたものだった。みつば、まりなに駆け寄って肩を擦る。


「まりちゃん。今日はもう帰ろう」


 まりなとみつばも教室を出て、帰宅する。残されたたまき、久哉、かえでの3人は議論を続けようとするが、どこか物足りなさを感じていた。


「俺達も今日は帰ろうぜ。今週はここまで。一旦まずはみんなお疲れ様だな」


「土日にリフレッシュして、また月曜から気持ちを切り替えて楽しくいこうよ」


 たまきも、久哉とかえでの言葉には賛同。ただ、3人の不安定なコンディションを目の当たりにして、どこか苦しそうだった。


(時間が解決するのを待ちたくはないなぁ。ちょっと考えてみる)


 日曜日の朝、たまきは自分の部屋の机で、色鉛筆を使いA4サイズの紙に絵を描いていた。スマホ画面に映る、まりなとのツーショットを見ながら、スケッチをしている。描き終わると、写真フォルダから4人の写真を探す。あったのはかえでとの写真のみ。


「久哉くんとまだ撮ってなかった。みっちゃんとすみれちゃんとも」


 麻紀絵が後ろから除きながら声をかける。


「あら、久しぶりにお絵描き?」


「友達の絵を描こうとしたけど、どうやって描こうかなって」


 麻紀絵は絵を眺める。


「昔からまりちゃん、変わらないわね」


「髪型もキャラもそのままだから」


 たまきのスマホからLINEの通知が鳴る。まりなからのメッセージだった。


「すみれちゃんを描いた絵か写真ってある? 急にごめんね」


 たまき、まりなも同じ悩みを抱えていると知り、返信する。


「ごめん、ぼくもない。もしかして、今絵描いている?」


「うん」


「ぼくも。あと、久哉くんとみっちゃんの写真もなくて」


「たまちゃんも、同じだなんて。2人揃って似た者同士なのかなぁ」


 たまきは、まりなの手を借りたいと思いながら、考えた。まりながそばにいた方が、何か導き出せると思い、メッセージを送る。


「ねぇ今から学校に行かない?」


 たまき、まりなを誘うことにした。


「いいよ」


 まりなから快い返信とスタンプが送られてきたことで、椅子から立ち上がる。


「ママ、ちょっと学校行ってくる」


「急にどうしたの?」


「やりたいこと思い出しちゃって」


 たまりなとたまきは、多目的教室で、持ってきた絵や写真を眺めていた。


「ありがとう、まりちゃん。すみれちゃんだけ無いけど、助かった」


「すみれちゃん、観察するのちょっと怖いし、写真撮っても無表情になりそうだから」


「だよね。ぼくも試しに描こうと思ったけど、視線が」


 たまき、まりなの描いた絵を見ている。


「クラスの子、みんな描いたの? 高校に入っても変わらないね」


「想い出として残るから」


 昔からまりなはよく、クラスメイトや知り合いの似顔絵を描いていた。一通り、すみれを除き1人1枚、5人のイラストが描けた。自分の似顔絵の縁を、まりなはピンク、たまきは黄色で描き足した。


「昔からぼくは黄色、まりちゃんはピンクだよね」


「たまに水色を使うこともあったよね」


「ぼく、黄色の次に水色が好きだからね」


 2人で他の3人のイラストを眺めながら楽しく会話が続く。


「かえでちゃんはオレンジ。明るく元気だから。久哉君はちょっぴりクールだから青かな。みっちゃんは?」


「みっちゃんは、緑のイメージがある。明るめの緑かな。ミントグリーンみたいな」


「ビビりだけど、もともと静かなタイプだと思うから合ってる」


「あとね。よく緑茶を飲んでいる」


「ナイス。緑だね」


「すみれちゃんは何色?」


「紫だと思うよ。すみれなだけに。だけじゃなくて、独特な雰囲気とか、冷めた感じから」


「勝手にみんなのイメージカラー言っちゃっているけど、みんなその色が好きだといいよね」


「6人違った個性があるから、カラフルな感じがする」


「後は役割。すみれちゃんと、久哉くんと、かえでちゃんははっきりとしているからね」


「まりちゃんは、思いやりがあるし。心のケアが得意だから、カウンセラー。昔から、困っている人を放っておけないからね」


「たまちゃんは、アイデア出すのが得意だから、企画担当とかアイデアマン。楽しいことや面白いことを常に考えるからピッタリ」


「みっちゃんは、どうかな?」


「みっちゃん、意外と豆知識持っているんだよね。それと、すみれちゃんやかえでちゃんみたいにインパクトはないけど、サポートタイプとしては向いてると思う」


「裏でみんなを支えたり、気付いてないことを気付かせてくれるような気がするかもね」


「みんな、いいところいっぱいあって、まりなは上手くやっていけると思う」


 たまき、気持ちよさそうに手を上に伸ばす。色々とアイデアが思い浮かんで好調だ。そんなたまきを見て、まりなも微笑ましかった。


「アイデア出すのって大変だけど楽しいね」


「たまちゃんが、ここまで一生懸命になっているから、まりな嬉しい」


「だって、せっかく仲良くなったのに台無しなんて、嫌だじゃん」


「たまちゃん頑張っているから、甘いものでも食べに行こっか」


「まりちゃんのおごり?」


「まりな、そこまでお金持ってないよ~」


 2人は、どこかスッキリしたように笑い合っていた。

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