第1話 六人六色の出会い(5)
まりたま揃って自転車で走り、学校の駐輪場までたどり着いた。降車して、歩いていると自転車に乗ったすみれの姿。まりたま、すれ違いったタイミングですみれに声をかける。
「おはよう」
すみれも2人に気づき、相変わらず冷めたトーンで挨拶を交わす。
「おはよう」
挨拶をした駐輪場へと自転車を置く。すみれの後ろから、みつばが歩いてくる。すみれとみつば、目が合う。反動でビビるみつば。
「おはよう。みつば」
「おっ、おはよう。というか名前覚えているなんて」
「私見て、そこまでビビる?」
「だって、すみれちゃん神出鬼没っていうかちょっと独特っていうか」
「あなたも変わってる。かえでみたいにリアクションがオーバー。まりなみた
いに敏感」
みつば、複雑な表情ですみれを見つめる。
「普通の子に見られてないなんて。逆にすみれちゃんは自分が変わっているって思ってる?」
「考えたこと無いかも」
「何それ? 人を変人扱いしておいて」
まりたま、2人の会話に入り、声を揃えてみつばに対して挨拶。
「おはよう。みっちゃん」
みつばは、まりたまに救いを求めるかのような顔をする。
「まりちゃん。それにたまちゃんも」
すみれ、相変わらずみつばをおかしい子だと思って見ている。
「私と2人きりが、そんなに嫌だったのね」
「というより、まりちゃんとたまちゃんが全く動じてないのがすごい」
久哉、あくびしながらに4人に向かって歩いてくる。
「すみれに友達がこんなに出来たなんて」
すみれとみつば、"友達"と言われて不思議な感覚を抱いていた。
「まりな、たまちゃん、みつば。みんな友達ってことでいいの?」
「私、まだすみれちゃんとはそこまで」
「まりなはOK。みんな友達同士だと思う」
「ぼくも」
かえでが後ろから走ってくる。
「凄い。かえでちゃんの友達が揃い踏み」
かえでと久哉。目が合う。
「確か、久哉くんでしょ?」
「すみれ、さりげなく俺の名前広めたな」
「広めるも何も、かえでが私にまとわりつくから覚えちゃっただけ」
「かえでちゃんでーす! よろしく!」
「すみれの言う通り、騒がしそうだな」
みつば、すみれと久哉に同情しながら笑う。
「それね」
「お褒めに預かり光栄光栄」
まりたま以外の4人、校舎へと入っていく。4人のやりとりを止まりながら、眺めて微笑ましく思う。
「たまちゃん。この学校選んでよかったね」
「ぼくも。なんかみんな頼もしくて。楽しめそう」
「みんな違ってみんないい」
「ビジュアルでからかわれたことがどうでも良くなってきた気がする」
「まりなは出会ってきた人達、みんな大切にしたい」
「なんかまりちゃん、昔から変わらないね」
「たまちゃんとは、ずっと仲良しなのも変わらないね」
昇降口からかえでの叫ぶ声がする。
「2人とも、早くおいで」
まりたま、4人に向かって歩いていく。
廊下を歩く、すみれ、久哉、みつば、かえで。久哉とみつばはB組に入っていく。久哉とみつば、教室に入り、席に座りながら会話する。
「なんかさ。私だけアウェイな感じがするんだよね」
「どうして」
「周りが、昔から友達同士って子達ばかり」
「俺とすみれ、まりちゃんとたまちゃんのことか」
「久哉くんも、すみれちゃんも似た者同士だよね。何考えているかわからないから」
「そう? まぁ、まりたまコンビが素直過ぎるだけだろ」
「まりちゃんとたまちゃんは、なんというか妖精っぽくて、幼さが残っているよね」
「あの2人、目立ちたくなくても目立っちゃうところあるよな」
「しかもキャラも似ていて、シンクロしていて珍しい」
「まりちゃんは世話好き、たまちゃんは甘えん坊。姉と弟って感じするよな」
「かわいい系コンビと、クール系コンビ。なんか既に出来上がっちゃっているからなぁ」
「みっちゃんには、かえでがいるだろ」
「え~、かえでちゃんとコンビって…。淑やかと賑やかで真逆じゃん」
「みっちゃんだって、刺激受けるとうるさくなるじゃん」
「なんか、ムカつく」
「そう言うなって。すみれとかえでだっていいコンビだろ。寒いと暑いで真逆だしさ」
「それね。タイプ違ってもあの2人、コンビネーション良いから不思議」
「ま、みんなで気にせず仲良くしていけばいいじゃん」
みつばの男子嫌いは、たまきや久哉との会話で徐々に克服しつつあった。久哉もまりたま、みつば、かえでとの出会いがあってか、退屈さを感じにくくなってきた。
すみれとかえでがD組の前まで歩くと、玄斗と昂汰がいる。玄斗と昂汰、すみれとかえでを見てビビり、かえでが、2人を楽しそうにつつく。
「かえでちゃんに興味津々みたいだねぇ」
「はぁ。違えし」
「朝から萎える~」
「あなた達、かえでの遊び相手にちょうど良いかも」
すみれは教室に入っていく。前日の怒りもこの時は消えていた。とはいえまだ表情は無い。同じタイミングでD組まで歩いていたまりたまが、すみれの後姿を見つめる。
「(冷たいけど、どこか優しい。ぼく、凄い子と友達になれたみたい)」
まりな、たまきと、教室に座るすみれを見つめる。
「(たまちゃんも、すみれちゃんに憧れているのかな)」
この時、たまきがすみれに想いを寄せていたのか、人として憧れていたのかまでは、まりなにはわからなかった。
かえで、教室に入っていく。
玄斗と昂汰、まりたまを見て一歩下がる。少し笑うたまき。
「どうしたの?」
「いや、その。ごめん2人とも昨日は」
「うん。ごめん」
「ぼくは大丈夫だから。でも、次はダメだから」
まりな、笑いながら至近距離で2人に接近する。
「悪ふざけはほどほどにしないと。ね」
「近いって。2つ結びでこうやられると」
「えっ、お前そういう性癖があったのかよ」
「いや、違うって」
まりたま、揃って笑う。それぞれの教室に向かっていく。




