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第78話 向き合う


久しぶりにイブキくんとシュウヤくんと私の3人で帰ることになってしまったが、ヨルくんと別れてから2人としっかり話す時間がなくてなんだか気まずい。

夕暮れに照らされながら2人の後ろを歩いていると、2人は横に来るようにと言わんばかりにこちらを手招いて、間に挟まる形になった。


「まだ体調治ってなかった?」


イブキくんは心配そうにこちらを見る。


「ううん、体調はおかげさまですっかり治ってるよ」


「それじゃあ、何で浮かない顔をしているんだ?」


今度はシュウヤくんに質問される。


「それは……」


正直なことを言うか、それとも誤魔化すか悩んでしまう。


「言いたくないなら、言わなくていい。

俺はヒマリとこうやってゆっくり歩けるだけでもいいんだ」


シュウヤくんは優しい声でそう話した。


「確かに。最近ハロウィンパーティーの準備とかでバタバタしていたから、ようやく日常が帰ってきたような気がする」


独り言を零すように話したイブキくん。


「そうだね。2人だけじゃなくて、みんなとゆっくり過ごす時間が夏休み明けてから全然なかったし、その間にも色々あったから、疲れてたのかもしれない」


思っていても口にしなかったことを零すと、心が少し軽くなる。この2人なら受け止めてくれるような気がした。


「ヒマリは全力でまっすぐ走り続けるのは良いことでもあるけど、苦しかったり、大変な時はもっと僕たちを頼って欲しい」


イブキくんは歩みを止めて、私の顔をまっすぐ見た。

隣にいるシュウヤくんも同じようにこちらを見る。


「そうだな。俺たちは友達だ。気負いすぎず、もっと気楽に色々と話して欲しい」


夕日がスポットライトのように眩しく、2人の優しい言葉に私の心は温かくなった。


ーーだが、彼らと私の関係性は曖昧である。

前に告白してくれたのに、私がうやむやのまま保留しているからだ。

こんなにもまっすぐに想ってくれる2人に対して、私は今まで失礼な態度をとっており、本当に最低である。

だから、ハッキリさせないといけない。


「ありがとう!2人に話せてよかったし、これからはもっと相談するね」


そうして、今まで逃げていた自分の気持ちとようやく向き合うことにした。


「やっと心が晴れたみたいな顔になった」


イブキくんは安堵したように話した。


「そんなにどんよりしてた?」


「ああ、ハロウィンパーティーの準備期間中はずっと眉間にシワがよっていて、手一杯みたいに見えていた」


シュウヤくんは冗談っぽい口調で話したが、そんな風に見えていたのかと自分のことが客観視出来ていなかったことに気が付いた。


「そうだったんだ……確かに、ずっとライブを成功させることに必死だったような気がする」


「逆にそのヒマリの一生懸命さを見て、僕たちも最後まで頑張ろうって思えたんだ。

だから、ヒマリのおかげで成功したとも言えるよ」


「そうだな。俺たちとヒマリの頑張りで、大成功したな」


2人は自分たちの功績を称えた。

素直に褒めることができる2人を羨ましいと思いつつ、その2人の言葉で心の中の蟠りが溶けていく。


「そうだね!みんなのおかげで、大成功したね!!

ーーあ、でも、そのせいでみんな今日大変な目に合っていたから、良くないのかな」


「確かに大変だったが、それだけ心を動かすパフォーマンスが出来たという点は凄いことだと思う」


シュウヤくんはフォロー上手である。


「そうそう。その問題は一旦様子見することで決まったし、今は楽しいことに目を向けよう」


イブキくんもポジティブに考えるように諭した。


「そうだね。2人には助けられてばかりだな」


「いつも助けて貰っているのは俺たちだ。このぐらいのことは大したことではない」


「そうだよ。僕たちはヒマリの存在にとても救われているから、むしろこれで君のことを助けられるなら嬉しいよ」


2人の言葉が照れくさくて、どんどん顔が熱くなっていく。


「顔赤いけど、大丈夫?」


赤面している原因を作った張本人なのに、イブキくんは意地悪を言っているようには見えなかった。

シュウヤくんも心配そうにこちらを見た。


「まだ無理は良くないみたいだな。早く寮に帰ろう」


軽い雑談をしながら、あっという間に帰路についた。

そして自分の部屋に戻ってから、イブキくんとシュウヤくんにそれぞれメッセージを送った。

休みの日に会って話したいことがあると伝える。


2人の予定を聞くと、シュウヤくんは午前中なら良いと、イブキくんは午後なら大丈夫と言い、同じ日になってしまったが、なんとかなるだろうと思い、日付が決まった。

シュウヤくんとは11時に公園で、イブキくんは14時にフラワーズパークで待ち合わせることになった。

週末の予定に今から緊張しつつも、ようやく彼らと向き合うことができる。そう考えると、少し肩の荷がおりたような気がした。今まで2人には申し訳なさを感じていたし、ヨルくんとの問題もあったため、あやふやになっていたことに答えが出せる。

あとはその場で私の気持ちをしっかりと言えるかが心配だが、今は向き合う気持ちになった自分を褒めながら、就寝に向けて準備をする。

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